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君と僕の捕縛世界  作者: 宝来來
試練編
74/78

終焉始動

 ぬくもりと魔力の消失を念入りに確認し、床へゆっくりとおろした。穏やかに笑う死に顔に一瞬戸惑うも、気持ちを切り捨てた。自分のことはまずは後回しに、現状況の把握を急ぐ。拭いきれぬ気持ちを片隅に置き、ここ第二研究室をム見渡した。


 一番初めに目に入ったのが壁に幾数のモニターが貼られ、操作パネルやレバーが並ぶスペースだった。


「ここで外の様子を監視してたのか…」


 ラグエルは何となくいじってみる。だが全く起動しなかった。電力自体はまだ落ちていないようだし、自分の技術、運の無さに落ち込む。外の様子を見られればと思ったのだが仕方がない。


 気持ちを切り替えようと深呼吸したとき、周囲を物色していたファトがラグエルの袖を引いた。ラグエルの右隣の機材が無く、資料が積み上がっているスペースにてなにか覗き込んで読んでいるようだった。つられて覗き込むと、悪戦苦闘したβ=ファングの資料や他被検体のデータが記されていた。

 失敗作も成功作も満遍なしに。


「魔獣との融合か………」


 資料を軽く見通すと今回の出来事に理由がついた。


 β=ファングのあの異様な姿、魔獣のようだと表現したのは正解だった。

 魔獣との融合、

 血液への魔法式の埋込、

 魂の移植と増殖、

 どれもラグエルとファト。

 双方が受けてきた人体実験の数々だった。悪魔との融合、悪魔の血液を摂取し馴染ませる、天使にメフィストの魂を移植させる…全て、繋がっている。


 資料を見通して、あと一つ。失敗例、ラグエルやβを除く天使の原型を失いどこか損失していたナニカ。それらも含め、実験には各々の魔法が活用されていることに気づいた。


 反撃魔法の生命力抵抗力を利用した魔獣融合。

 治癒魔法と相性の良い操血魔法を緩和させた魔法融合。

 操魂魔法を利用し核を自在に複数の命を持たせる魂融合。


 ならばラグエル=フルはなんの魔法を利用した?只々、魔力量が桁違いだとかそうゆうもの関係なくして。僕がもう魔法は主に二つ。陰影魔法と月光魔法、どちらも家系が派生だ。悪魔との融合の適応体、記憶から探るにもラグエルのほか多くの天使が失敗例となっていた。何故、何故だ。


 ラグエル自身には到底考えられることではなくこの短時間で導いた予想がファトだった。ファトに質問しようと隣を向いた。そこには幾数ものモニター前に目をキラキラと輝かせる無邪気な悪魔の姿だった。ラグエルの視線に気づくと、ドヤ顔で言い放った。


「主よついたのじゃ!」


どうやった、なんて野暮なことは聞かなかった。きっと適当に弄ってたらついたのだろう。


「じゃがここのモニターしか映らぬのじゃ。もしかするとはじめに破壊しながら徘徊したのが今になってガタついたのかもなのじゃ」


 徘徊。第二研究室に行く前、すべての会を巡り策を練っていたのだ。

 第一研究室の人工悪魔製造研究。

 第二研究室の天使の新兵器導入研究。

 第三研究室の天使と悪魔の融合研究。

 第四研究室の被験体の廃棄場

 第五研究室の未熟、半端な被験体の遊戯場


 ワンフロアを見渡し調査し、予想した結果だった。地下に足を進めるに連れて、ラグエルもファトも頭痛と吐き気に襲われてばかりだった。難航したが、どうしてもやめられない理由があったのだ。


 禁書庫でのウリエルの言葉を思い出す。


『その結界魔術、堕落『侵魔』は術者本人がトリガーなのです。そして破壊すればーーー君臨『終焉の業』が発生してしまうなのです』


 最悪のリスクを避ける為、その効力と防御方法を調べていたのだ。取り敢えず色々破壊回った(暴君にも程がある)、それと策を一つ練った。


 結界を結界で覆う。より精度、効果、魔力が上のものでないと成功はしない。『侵魔』で略奪した分の魔力+術者の魔力。ラグエルには数値を予想できなかった。あくまでも機器による演算ではラグエルとファトの合計数値度同等であった。現在、君臨『終焉の業』が瞬時発生すれば、直ぐ魔法を発生できるよう構築し、魔力の接続をしている。

 つまり、ファトと手を繋いで待機している状態だ。


「発動条件は術者の心臓が止まった時、『侵魔』が解かれたときなはず………」

「なぜ発動しない?」


 放題な魔力は感知していない。魔法、魔術は魔力を同源とすることには変わりないのだ。ただ、魔力流れる血液を使った陣を使う。だから五感に意識を集中させなければならないのだ。

 機器を弄るファトの横、特に意識した訳でなく、ただ何となく。背後ーーー横たうエノクの方に視線をやった。


 人影が写った。

 四つん這いにエノクの屍のもとで何か、していた。


 刹那、電力が落とされる。ぷつんとモニターも、そこらにつながるコードの光も消える。動揺するも互いに絶対に手を離さなかった。ラグエルは人影のあった場所を瞬きせず見つめ続ける。そして次の瞬間、視界にノイズが走った。人影が一瞬女性のシルエットに、そして、憎む妬み殺すほど愛した一人の男性の姿にーーー見えた。

   



      

     「君臨ーー『終焉の業』(また、逢おう)

 



 衝撃と真っ白な光に包まれた。

 全身を焼く光の炎は留まり、強圧がラグエルの体を吹き飛ばさんとする。佳境、だが確かに膨大な魔力と鼻孔を殺す悪臭な血の匂いを察知した。魔術が発動した。魔法も発動させたが、失敗に終わる。魔力量が足りなかったのだ、ちゃうど一人分。


 さて、終焉の始まりだ。

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