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君と僕の捕縛世界  作者: 宝来來
試練編
45/78

遠回り

 「ま。まあ………えーと、あの……」


じれったいけど待つか。そんな言いづらいのか?


「調律っすね……………」


「調律?」


「音高を先立って調整することですよ、お兄ちゃん」


「意味くらい知ってるよカシエル!ボクが知りたいのは何をする役職なのかだよ……」


 双子の小芝居をはさみ、しどろもどろに説明するガブリエルさん。


「自分は音を主体とした魔法っすから…………色々できるんっすよ。それで……なんというんすかね……異常事態が起こって……それを天秤みたいにっすね、均衡になるように調節する的な……それっすね」


 なるほどなるほど………でもなんで言いづらそうにしてたんだ?


「でもなんでスラスラ出てこなかったの?………あ。ですか?」


 まだ敬語に慣れないのかよ…………元気でいいとは思うけども。確かにカマエルの疑問は当然だ、、どうせかっこよくないとかなんじゃないか………?


「だって!格好よくないじゃないっすか!?超ダサいっす!ミカっちとかはキラン☆とか効果音つけて言えるほど超超格好いいのにっすよ!?それに対して調律って………………家系魔法に直接関与してるじゃないっすか!しかも、自分は仕事少ないんっすよ!あ、いや増やしてほしいとかじゃなくてっすね…………むしろ減ってるほうが嬉しいんっすけど。自分は他人にサボってると言われるのが嫌なんっすよ!あ、ほら他にもっすよ!今どきはギャップ萌えが流行るんっす!なんか、こう…間逆な役職みたいな??そんなのがいいんっす!!!例えば……そうっ、ラフっちみたいな陰気な!陽気な自分とは間逆な黒子とか地味なやつがいいんっす!!!」


 図星だった。しかも、天使が………しかも上級の天使が流行りを。僕は今まで上級天使は神の言いなりの忠実な下僕で、無慈悲で迷いのない言うなれば我儘無しの一直線なイメージがあった。恐怖だとか近寄りがたいだとか、そういうのだ。


 ガブリエルさんと出会い、そのイメージも変化がわいた。フレンドリーっていうよりはふざけてて。やっぱ、百聞は一見に敷かずというからに噂やイメージは本人の風評被害だな。


「自分のことを陽キャと思っているのはいいなのです。ですが、陰気とはラフさんのことを言っているなのです?ラフさんに失礼なのです。謝れ、なのです」


 ウリエルさんは、先程の何杯もの大きさの岩石を魔法で成形し、浮遊魔法でガブリエルさんの頭上に。脅しをかけ、声も低く威圧状態である。


 が、ガブリエルさんは怯むことなく、平然と言ってのけた。


「へ?ラフっちは自分で自分のこと陰キャだと言ってたっすよ。コミュ障でちょっとの人混みですぐ吐くし自分はゴミクズ以下な最低天使だって言ったじゃないっすか?まさか知らなかったっすか?」


 ラフっちことラファエル=オフィエルは自虐精神が強いらしい。しかもネガティブみたいだし。


 当然のごとくがガブリエルさんは言ったけど、ウリエルさんに挑発してるみたいになってた。まあ予想通り、多少の苛立ちがまじりつつも冷静なウリエルさんであった。


「…勿論なのです。ですが相手に言われるのと自分で言うのとは全く持ってその効果は違うのです。それを自覚するなのですよ、ガブさん」


「はーいっす」


 ガブリエルさん曰くウリエルさんとは大親友といっていたので、二人の間柄の会話の仕方からみるとラフっちことラファエルさんもその一人のようだった。3人揃って大親友か…………いいな。


「……………あの、空気を壊すようで悪いんだ、ですけどさっき言ってたカシエルが言ってた禁忌魔法っていうのは具体的にはどんなのがあるの、ですか?」


 そういえばガブリエルさんに口塞がれて聞いてなかったな。確かに気になる。僕は確実に記憶の一つを辿っている。おそらくこのことを聞けばすべてがつながるのだ。頭痛は止まらないが我慢できないほどではないのだ。


 きっと、大丈夫だ。


 自分でも知らぬ間に早くなる鼓動と変な汗、そして震える手。そっとファトのちいさな白い手が僕の手を包んだ。ぬくもりはないけれど、あたたかいと感じた。


「また授業で詳しいことは教えるっすけど…………まあいいっすよね?」


「ご自由になのです」


 ウリエルさんに受託を得て、ガブリエルさんは口を開いた。


「エノク=シンは禁忌魔法の一つ、天使を被験体に扱った悪魔との融合実験っす。天使に悪魔の血肉を摂取させることで悪魔との適合率を高めて、あわよくば悪魔の能力を使えれば…………という実験だったみたいっす」


 僕も、手を繫ぐファトも言葉が出なかった。驚愕でも恐怖でもなく、納得だった。納得、してしまった。そして死を感じるほどの、激痛が走る。立ちくらみがしたものの無理やり我慢して、口実を作ってすぐさま退却した。


 ずっと俯いてて痛みを耐えていただけあって、その時のファトの表情を僕は知らなかった。

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