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君と僕の捕縛世界  作者: 宝来來
試練編
38/78

逃亡と甘え、怯え

 呼吸が荒くひどく疲れているように見える。屋上からここまであまり距離ないしなんかあったのか?


 すると、サンダルフォンに呼吸を荒げたまま方をガシッと勢いよく掴まれる。初対面よりなんか更に威圧感がある。思わず息を呑んだーーーーーーが、答えは予想外のものだった。


「…………………お前脳筋野郎とロリ野郎が探してやがったぞ」


「……………え?」


それはザドキエルとレミエルのことか?


「それて学園中探し回ってたから会ってやれ」


「は、はい…………」


 それ、だけ?それだけのためにあの沈黙とこのつかれよう?ま、まあ、伝えてくれたのならありがたいけども………


「そ、それじゃぁ僕は、二人を探しますね。わざわざありがとうございます」


 また沈黙が続くのは嫌なのでそそくさ帰ろうと思ったら大声で呼び止められる。僕も条件反射で答えてしまったし。


「それと!」


「は、はい!」


「オレとして二人が鬼のごとく怒っていたから会わないことをオススメするぜ」


「……………なら会いませんよ。この件に関しては本当に伝えてくれてありがとうございます。あの二人怒ると怖いんです」


 どちらかというと親しい二人だからこそ、甘く見てくれずこっぴどく叱られるので普通に嫌なのだ。

 ほっと胸をなでおろす僕に、頷くサンダルフォン。


「わかる………わかるぜ。オレもメタトロンによく怒られるが、ったっく……頭上がんねぇからな。長い付き合いのつもりだが立場上向こうが上だからな……逆らえねぇ」


 立場上………ねぇ。言葉に引っかかるがまあ僕には関係ないと思い、スルーする。サンダルフォン髪を乱雑にし、仕方ないといった柔らかな笑みを浮かべる。心地の良い間が空き、唐突に柔らかな笑みを崩さずに言った。


「………あー、恩付けがまじいと思うんだが一つお願いを聞いてくれないか?」


「話次第による」


 申し訳な下げに目をそらし不安が曇っていっているのがわかる。別に聞く義務も叶えてやることもないが、あの二人からの危機から回避できたのはチャラ男のおかげだ。話………は聞こう。


「お前……………友達になってくれねぇか?」


「え?」


 間抜けな声を出した上に首を傾げてしまう。友達?友達って……?誰と、誰か?


「別にオレとじゃねぇよ!?いっ、いやオレとも友達になってほしいけども!オレが言ってるのはメタトロンのことだ」


 必死に弁解するチャラ男がなんだか可愛く見えてきて、でもその必死さがお願いが不思議にしか思えなくて。


「メタトロン………あいつはな、他人とあんまり距離を縮めたりしないんだ。理由は……まあ、トラブルとか心身的な問題で弱くなるから、らしい。オレにはよく分かんねぇけどな」


 なんとなくわかる気がする。


 ………もし他人に、友達に会話を交え、親しみが湧けば、人質とか物騒なことが起きたら判断が鈍る。助けるか助けないか。いわば、人間として弱くなるのだ。大事なものとかあると。

 僕にとってはザドキエルやレミエルだ。もし、二人の命が危うくて僕が犠牲になれば助かるというのならば喜んで犠牲になるし、絶対怒られるだろうけど僕が二人にもらった分を返せたのなら満足だ。二人が生きているならって…………


「……………………友達を作ると弱くなるからね」


「そうなのか?」


「うん…………守らなきゃいけないものが増えちゃうからね。特に自分に精一杯なら友達と向き合って生きていくには難しいはずだから」


 僕の場合はそうだけど、メタトロン=ワイトという天使は少し違うだろう。人形少女のことは全く知らない、予想でしかないけども。その雰囲気とか言動とか正確とかから。


「…………………メタトロンさんはきっと、自分のことを知られるのが嫌なんだよ」


 僕と同じで。


「自分が醜くて汚くて不純って知ってるから、失望させたくないんだ…………と僕は思う。僕だってそうだ。けど」


 だけど、僕は知ってる。自分の弱さをも受け止めてくれる大事な存在がいることを。

 僕がどんな人物か知るザドキエルやレミエルは隣にいてくれた。隣にいるだけで、どれだけ嬉しいか頼もしいか知っている。


 自分のことばっかりだから、自分が嫌いだから。


 自分がどう思われてるとか余計に気にしてしまうから、無関心でいたくて目を背けて逃げている。


 現の僕がそうだ。

 本物の過去の記憶を思い出したくない、待ってくれている友がいるのにも関わらず。「友達になりたい」といった双子の片割れが向ける行為に押されてばかりだ。ファトとも本音は喉まできているのに、言葉を濁して沈黙して察して………逃げているのと同じだ。


「彼女はもしかしたら、逃げてるのかも」


 ぽつりぽつりと紡ぐ言葉にサンダルフォンは真摯に耳を傾ける。


「……………なにから、だ?」


「自分自身が最も恐れていること、だよ」


 わかっているとも。これは僕にも言える。僕が自問自答しているのだ。言い聞かせて言い訳を建前を作ろうとしている。

そういう点では人形少女と僕は似たもの同士なのかもしれない。

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