天使のような悪魔のような
「「……………」」
その元気っぷりに悪魔のファトも思わず手を止めていたけど、興味をなくしまたあやとりを始めた。
「元気………ですね」
なんて言っていいのかわからず、とりあえず言うだけ言うことにした僕。
「元気っすよ!やぁっとめん……大変だった試験官の役目終えて万々歳っす!」
この人のそうゆう所嫌いではないけども。威厳をもて威厳を。
「それで説明するってどうゆうことですか?」
「ラグっちは三日間眠りっぱなしだったっすから。〘グレゴリ〙の入学説明まだしてないのラグっちだけなんっす。それを説明するっす」
三日間……………あれ?なら僕以外の天使は入学説明受けて…………学校生活始まってるのか?
「レミっちとザドっちは退室っす」
二人は一度僕へと目線をやるも、レミエルは目線をすぐ逸らしザドキエルはにかっと笑って退室して行った。
すると、ガブリエルさんは右手の人差し指をたてる。翠に輝き構成される魔法、おそらく遮断魔法の類だろうか?今からする話はそれだけ重要なのか?
「それじゃあ、始めるっすね!」
ガブリエルは立て続けに右手を地面にかざして見せた。部屋に合ったシンプルな白の椅子を出して、座る。
「まずは合格おめでとうございます、ラグエル=フル。結果は以下の通りです」
真面目な口調になるガブリエルさんは偉く大人びているようで、整った美人の顔立ちがよりクールに見た。そんなガブリエルさんから渡されたのは羊皮紙だった。血文字で以下のことが上記されていた。
〈天使育成機関〘グレゴリ〙入学おめでとうございます。あなたはこれから『神の盃』に基づき、一生徒兼一戦士として、教育を施します。そしてあなたが卒業した暁には似合った称号を与えましょう。
最後にあなたへの卒業課題を示しておきますので、下記の魔法陣に手をかざし、『神の盃』の経典を唱えてください〉
「ラグエル=フル、『神の盃』の経典は覚えてますか?」
「大丈夫です」
『神の盃』とは神が定めた法がまとめられており、破れば上級天使により裁きが下る。最悪の場合処刑される可能性もある。そのうちの法は『神の盃』十の約束事にあたり、他にもあまたの経典魔法が記されている。約束事については僕もあまり覚えてないが、経典魔法は覚えている。
これもあの両親に叩き込まれた知識のひとつ。
まずは経典魔法共通の初めの詠唱から、属性が付与されている章とその節を唱える。
「経典一章【寛容】一節、魔力接続」
羊皮紙の魔法陣へと手をかざす。
「『我、蒼蒼たる星々に誓い、寛大なる神の望みを叶えまする』出現『神巧写』」
すると魔法陣は光り、1枚の手紙が出現する。ガブリエルさんへと目線を移し確認を摂り、ゆっくりと開ける。その際に興味が移ったのか、ファトもこちらに浮いたまま覗き込んできた。
そして手紙にはこう書いてあった。
「…………………………」
「この世界は間違っている、故に天使も悪魔も神をも欺き世界を裏返して見せよ…………じゃと?」
この手紙の文字自体は自分意外に見えないらしく、ガブリエルさんは静かに待っていた。
「……………」
どうゆう意味だ、これは。世界が間違っているとか、同族や敵ましてや神を欺いて裏返せ……………世界改変ってことか?
そもそも、僕は神を信じてはいないけど、恐れてはいる。だって神は人々のどんな罪を受けいれ、裁きを許しを与える。そんな存在がいるの知った時は心底恐怖した。そんなおぞましい化け物が存在することを。
神を化け物と例える事態不躾だが、僕の個人的な見解だとそうなるのだから仕方がないだろう。こじれた主観を持つ僕は弱い。弱いから、そういう思考に陥るのだから。
さて、そんな弱い僕に世界改変なんて大層なことが出来るだろうか?否、出来ない。断じて、だ。
それでもこの卒業課題をクリアしないと駄目なんだし、そもそも実行するにしても学校のカリキュラムの一環での野外遠征とか100年後に迫った天使と悪魔の大決戦でするのか?無茶すぎるだろ………。
黙りこくる僕にガブリエルさんは柔らかな口調で問うてくる。
「不備がありましたか?特例としてなら、一度だけ変えることもできます」
「………………対価は?」
「悪魔みたいなことを言うのですね。安心しなくても勿論あります」
あるのかよ…………。
「簡単です。あなたの翼を剥ぎ取らせて、一生飛べない天使にしてあげます。備考として、さらに卒業課題もランクアップしますけどいかがですか?」




