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君と僕の捕縛世界  作者: 宝来來
試練編
13/78

一方的で、地味で、臆病な

「ラグ、起きろ!」


「ラグエル、起きなさい!」


「ぐえっ」


腹パン、顔パンを食らった僕は痛みで目が覚める。

起こし方が雑じゃあないか?もっと大事にして欲しいものだ。


「………………起こし方に不満だ。早々に殴るな、暴力を奮うな」


僕は片手ずつ腹と顔を抑えながらゆっくりと立ち上がる。


「仕方がないじゃない。全然起きないんだもの」


「ちなみにどんなことをして起こそうとした?」


ジト目で僕が睨むと、二人は目を合わせて苦笑い。


「さ、さあ。どんなことをしたでしょう?」


本当に僕は何をされたんだよ。しかもその手に発動させてる雷弾はなんだよ。


「…………その魔法は何?」


「静電気くらいのちょっと痛いくらいだから大丈夫よ」


じろりと睨むとレミエルは開き直っていた。


「ザドキエルも…………見えてたんだろ。止めろよ」


「面白そうだったからな!」


こいつの場合は悪意だらけだ。未来視て僕が無事なのを知ってか、見守ってたんだろうな。


「で、なんで起こした?」


「そりゃあ、あんたの試合が始まるからよ。ほらさっさと行きなさい」


レミエルに背中を押されて、結界内へと無理やり入らせれた。そして最後に二人にエールを送ってもらった。


「頑張りなさい」「勝てよ」


その言葉を胸に秘めて、改めて決心する。


はっきり言えば今は調子が悪い。言い訳でもなく、本当に。精神的肉体的に、何トンもの重りが背中にのしかかったように体は重いし、未だにふくれあがる魔力を抑えるのに必死である。


陰影魔法で魔力増加を隠してるけど、マイナスに対してのプラスが間に合っていないのだ。この試合でどうにか魔力を消費したい。これ以上は制御出来ずに、僕が壊れてしまう。


そのためにも相手がどの程度か定めなければならない。あわよくば、増えた分の魔力を消費したいところだ。


「うん、頑張る」


僕がそう言うと、二人は満足そうに笑ってくれた。

そして対戦相手を見すえる。


相手はサリエル=プルゥド、禍々しく疼く黒の魔力に相反して見た目は愛らしい男児だった。僕より背が低く、栗色のくせっ毛に虚無な瞳。深淵より覗き見る闇が奥にあり、薄くうかべた笑みには悪寒を感じざる得なかった。その目に僕はどう映って見えているのだろう。


沈黙をまたいで、ガブリエルさんが等々に発言した。


「ラグっち万を持して登場っすね!頑張ってってくださいっす」


僕ってそんな期待されてたっけな。


「期待してるんっすよ、ラグっちには。何か変えてくれる気がするっすから」


「…………?」


ガブリエルさんは顔とトーンを暗くし、最後はボソリと言った。天真爛漫なガブリエルさんにしては珍しい。


「まあ、ラグっちにはいずれ話すかもっすね!それじゃあ始めるっすよ!」


いいように誤魔化された気がする……………けど今の僕に走ったこっちゃない。今を、この男児を倒さなければならないのだから。多分強敵だしね。


「試合開始っす!」


手を大きく振り下ろして幕開け。


が、僕と男児は見つめあったまま動かない。それどころが、男児の方は隙だらけで攻撃する気がないように見える。僕はと言うとスタートしてすぐの奇襲に備えた低く構え、肩の力を抜いた状態。


どうするべきか、迷うことなく僕は男児に殴り掛かる。もちろん陰影魔法をして。僕は男女平等手加減はしない。僕の持てる力を持って試験に合格しないといけない。


が、見えないはずの拳を軽々と避けられた。それでも似たような経験は何度もしてきた。動揺することなく、体格差に気をつけながら攻撃を続ける。身体をねじり、屈ませ、狙い済まして。


近接ではこちらが不利である。相手の力は未知数である為、遠距離の方も試さねばならない。自らの魔法構築にも隠蔽魔法をかけながら、大魔法を構築する。時間はかかってもいいから確実な、致命傷を負わせたいところだ。


対して男児はまだ余力ありありだ。魔法を構築してる訳でもなく、隙を伺う訳でもなく、防御に徹しているように思える。時間稼ぎか?


そんなことを考えていると魔法構築が完了した。僕は攻撃の手を止めて、詠唱を唱える。


「『天空に神幻の陽炎を惑いし道に影さしたまう』」


地に右手を起き、ぐいっと押す。


「出現『翳影喰』」


すると、僕の影の面積が増加していく。縦横に伸び縮み、肥大化し物理化される。影から無数もの手が現れて男児へと狙いを定める。影の手は男児の首、手首足首、胴体に搦め着く。抵抗する間もなく拘束される。


「握りつぶせ、『翳影喰』」


小さな影の手が巨人の手へと変貌。男児の体をにぎりつぶす。秒針ごとに手足骨が軋み、首があらぬ方向に180°回転。ゴキリ、と嫌な音をさせて今も尚扼殺は続く。


男児の手足は真反対に、回転し握りつぶした跡が痛々しく残る。関節は既に外れて、骨も折れて、激痛がするだろう。だが、初めに首を折った為痛覚などとっくに感じないだろう。


これは決定打になった。僕の勝利だ。そう思い始めながらも、油断しない。この男児からは嫌な予感がするからだ。このくらいで死なないと思ってしたのだが……………杞憂だったか?


刹那、異変が起こった。男児に絡みつく『翳影喰』が消失した。否、喰われた。魔法そのものが、魔法に込められた魔力が消失したのだ。


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