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番外編 円卓の騎士編終わり

「今回は助けてもらって、なんと礼を言ったら……」


 アルは申し訳なさそうにそういった。

 処刑の日の後、俺は釈放され今ではこうして王の横で街を歩くくらいには自由になった。

 ただ、なぜか開放をしてはくれないが。


「礼はいらないけど……」


「いいや、させてくれ。 美味しいご飯をご馳走させてくれよ」


「それは……この国の料理って美味いのか?」


「あぁ、この間お忍びで街に降りた時とても美味しかったんだ」


「ふぅん。 それはまた」


 世界地図だとイギリスあたりだろう。

 文化的には最高ランクの栄華を誇る日の沈まない国ではあるが唯一食文化のレベルが低いことで有名だった。

 地理的条件が似ているので、食事の不味さは避けられないものなんだよ。


「信じてないなその反応は」


「楽しみではあるよ」


「そうか。 楽しみにしておけ」


 何故、こうも自信満々なのかそれを確かめるには少しかかる。

 俺たちが歩いていると、趣味の悪い光景に出会う。


「あれはこの国の文化なのか?」


 ボロの服を着ているものが、石をぶつけられている。

 石をぶつける人たちは、特徴のない一般市民。

 見ているだけで嫌悪感を覚える。


「あれは……ちょっと行ってきます」


「おい!!」


 アルが石を投げられている者の前に立った。

 彼女に石がぶつけられる。

 民衆は彼女の正体に気がついていない。

 それは彼女の魔法の影響でそうなっているのだ。


「ちょいちょい、やめなよこんなの」


 俺は、石を投げることを扇動するものに話しかける。


「何を言っている貴様。 あの女の仲間か?」


「やけに非人道的だからやめなっていってるんだ」


 俺は彼の腕を掴む。

 その手を強く握ると奴は振りはなそうとするが、離れない。


「や、やめろ」


「……話聞く気になったか?」


「分かったから」


 俺は手を離してやった。

 彼は腕を抑え続けた。


「で、これは何?」


「俺の奴隷を使って商売をしているんだ。 石をぶつける対価を払ってな」


「ふうん。 奴隷以外にもぶつけてるようだけど」


「……すぐにやめさせろ」


 ちらりと視線をアルへと送る。

 石を弾く姿をが笑えた。


「あ、あぁ。 やめさせよう」


 俺はかつてフェローと言い争ったことを思い出した。

 全ての奴隷を助けることはできないか。


「1つ、石を貸してくれないか? 金は払おう」


「そんなものどうするんだ」


「いいから」


 対価を払って石を受け取る。

 俺はそれを振りかぶってアルへと投げた。


「なっ、なに!!」


 アルはそれを地面に弾く。

 地面は削られ石がめり込んだ。


「あー、楽しいな」


 石が投げられるのがやむ。

 それを確認したアルはこちらへ近づいてきた。

 拳を握り、俺の頭を叩く。

 痛みがゆっくり背筋に伝わった。


「何をするんだよ」


「それは僕のセリフだ!!」


「いや、金を払ってまでやるなんて、そんなに楽しいのかと」


「私に投げるなよっ!!」


「彼女たちに投げるのはかわいそうだ」


「私はかわいそうじゃないのか!?」


「いや、お前なんか弾くし大丈夫だろ」


「嫌な信頼をするなっ」


 俺は何度も殴られる。

 指を立てて周りを見ることを促すと、アルは周りに気がついた。


「ほら、もう誰も投げてない」


「……計算していたのか?」


 涙目のまま彼女は俺に問うた。

 俺の答えは沈黙だ。


「黙るなよ。もういい、君、この子達を買おうじゃないか」


 その言葉に俺は一言言おうとするが、無粋な真似はやめておく。

 それでこの件は終わりとなったが、今後がどうなるのか少し楽しみだった。

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