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潜入ミッション

 この温泉街には、とても美味しい飲み物がある。

 それは炭酸で、明るい緑色で清涼感がある飲み物らしい。

 中には、丸いアイスクリームが入っており、それが溶けていくにつれて味が変化していく。

 風呂上がりにキリッと飲むのが最高だそうだ。


 ーー結論を言うと、生涯俺はそれを飲むことができなかった。


 今、目の前の店で売っているそれを買いに行けない。

 何故なら、その横の掲示板に俺の顔がウォンテッドで張り出されているからだ。

 デッドオアアライブ、生死問わず捕まえたものに報酬を。


「あいつ、権力を使いやがってきたねえな」


 愚痴も言いたくなる。

 俺は、このハンサム顔を晒したまま、天下の往来を行ったり来たりするだけで大騒ぎを起こすような人間にさせられたのだ。

 こういう時、どうすればいいか判断に困る。

 脳筋だからと言い訳を続けていたが、少しは考える癖をつけると良かったな。


「フェローが居てくれたら、アドバイスがもらえるのかな」


 しかし、仲間たちと合流するわけにはいかない。

 一緒になって捕まってしまっては迷惑だから。


「うーんと……てか、俺の懸賞金っていくらだろ」


 俺が考えて行動できない理由は簡単だ。

 集中力がないから。

 一瞬だけ、時間を止めるような集中をすることは簡単だが、継続ができない。

 それが俺なのだから仕方がないが。


「いや待てよ。 いいこと思いついた」


 そして、そういう人間に多いパターンとして、思いつきで行動することが多い。

 しかし、人は訓練されるもので、所謂、直感タイプの人間は、その思いつきの行動がうまくいくことが多いのだ。

 今俺が思いついたアイデアが完璧なように。


「となればみんなと合流だ」


 ただしその選択が正解かどうかは後にならないとわからない。

 後悔が先に立つことはあり得ないのだ。


 俺は、掲示板の紙を剥がし、みんなのある宿にたどり着く。

 みんなは俺の顔を見て好き勝手いうが、俺は真っ直ぐにこう言った。


「俺を捕らえて金をもらえ。 俺も捕まらないといけない理由があるからな」


 はい、そこは気のいい仲間たち、当然ボコボコにされました。

 そして、そのまま突き出された俺は、首都圏へと輸送をされた。

 たどり着いたは裁判所。

 この国は、どうやらどんな人間でも裁判を受ける権利があるそうだ。


「シリュウ、君何か残す言葉はあるかな?」


 裁判官の言葉に俺は答える。


「ランスロットが裏切り者だ。 俺ははめられたんだ」


 それ以上の言葉は許されず、俺の処刑は確定した。

 中世の裁判は本当にクソだということがわかった。

 痴漢冤罪が魔女裁判と称えられていたがそれと同じだ。

 ちなみに、刑の内容は火あぶりだ。

 魔女裁判も大概にしろ。

 それに俺は、火あぶりじゃ死なねえし。


「まぁ、このまま処刑の日を待つほど素直じゃないんだけどな」


 俺は、脱獄を覚悟した。

 逃走経路を確認しよう。

 まず、俺たち死刑囚がいるのが、独房だ。

 都市のはずれに作られており、見張りは昼が3人夜が2人だ。

 ステルスミッションになるな。


「メタルギァーは得意だったんでね」


 俺は、音を立てずに檻を破壊することに成功する。

 俺の能力を使えば、こんな鉄を溶かすくらい簡単なことよ。

 そうドヤ顔のまま、檻の外に出ると、3人の男に囲まれていた。


「どこへ行こうというのかね?」


「お腹が空きまして……夜には帰ります」


「はははっ。 お前たち、捕らえろ」


 ステルスミッションは失敗だ。

 と、思うじゃん。

 俺は、右手で右の人を殴り、そのまま左の人を殴った。

 2人がこれで気絶する。

 前の見張りは、こちらを見て笑顔を作った。

 俺も笑顔で返す。

 そして、殴って気絶をさせた。


「さて、城はあれか」


 目撃者を全員倒せばステルスだとよく言われたものだ。

 俺は、大きな城を目指して進んでいく。

 義理はないが、俺を指名手配なんてしてくれたランスロット君には礼をしてやらないとなあ。

 俺の拳はどんどん力を増していった。

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