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対抗戦開始

「初戦の相手は、アメニックよ。 気を引き締めていきなさい」


 そう言い渡された俺は、長い廊下を渡り、控え室に入った。

 そこは、簡素な出来となっており、安物のソファが座るたびに奇怪な音を鳴らした。

 背の低い机に置かれた茶菓子を貪り、水晶に光を通してスクリーンに映された戦いの光景を見る。


「順当に行けば、3回戦、準決勝でロイヤルスターズだな」


 返答はない。 ただの独り言である。

 なぜかチームのみんなとも部屋を分けられている。

 強化魔法についての対策だと説明があったが真意は謎だ。


「勝者。 フェロー!!」


 スクリーンから、勝どきの合図が上がった。

 音声が、どこから出ているのか疑問となるが、魔法の力ということにしておこう。

 勝どきの合図についてだが、対抗戦のルールは勝ち残りでの戦いだ。

 つまり、大将を任されている俺が戦うためには、4人が負けなければならない。

 俺は、勝ちを喜びつつも、正直落胆もしている。


「調子に乗って最強を揃えすぎたな。 これでは俺の出番がない」


 フェローは周囲に操れるものが無いようで、最初こそ困っていた。

 だが、相手の魔法の所有権を奪い、それをうまく使って制圧することでその日は5連勝を果たした。


 控え室を後にして、受付へ行くと、スタッフに外まで案内してもらえた。

 そこには、4人全員が揃っている。


「おい、フェロー……なんで俺に回さねえんだよ」


「無茶を言わないでください。 次鋒が来ていないことがバレないためには、こうするしかなかったんですから」


「知らん。 それなら明日は俺が先鋒をやる」


「途中変更がきかないから今日困ったんでしょうが」


「とりあえず、今日はなんとかなったが、明日はどうなる?」


 と、シロがいう。


「明日は来るといってましたよ。 スペルビア様」


「あてにならんな……それとバシン。 私はシロだ」


「はっ。 申し訳ございません」


「そうかしこまらなくてもいいが」


 受付時間に間に合わなかったルクスリアは、結局最後まで来なかったようだ。

 彼女が、自分で2番手がいいと言い出したのだが……まさかこうなるとは思いもよらなかった。


「とりあえず、帰って報告するか」


「そうですね。 そこのレズカップル、いきますよ」


「カップル。 私とシロ様が」


「そう寄るな。 私にはシリュウがいる」


「はんっ、あんな男程度が」


 こうして、俺は何も言わないのにバシンからの評価が下がっていくんだろうな。


「ーーというわけで、フェローが5枚抜きしたぞ」


「まぁ、この面子を揃えればね……リザーブにカガリがいるし、豪華すぎるでしょう」


「だな。 じゃあとりあえず、報告を終わるが……」


「まち、3回戦についてなんやが」


 隣に立っていたカガリが静止してきた。


「次じゃなくてか?」


「せや、まぁ国営のとこがくると思うやろと思って見てきたんやが」


「どうだった?」


「メンレイの5枚抜きや」


「だろうな……そんなわかりきったことを話すために止めたんじゃないだろう?」


「あぁ、メンバーリストなんやが……こいつや」


 そう言って、厚紙に書かれた文字を指差した。

 その先に書いてあるのは、レオンという文字だ。


「こいつがなんだ?」


「……この世界で最強とされとる男の名前や。 覚えとき」


「はあ? そいつ、この国の人間なのか?」


「メンレイが誘致したらしいんや。 おそらく、あんた対策やで」


「ふーん。 楽しみが増えたってことだろ」


「なんで笑えるのかうちにはわからんわ……でもまぁ、勝てるやろあんたなら」


「あれ、期待してくれてるのか?」


「勝ってもらわなあかんちゅう話や。 せめて自分に勝ったやつには化け物であってほしいってな」


 カガリの眼光は、間違いなく恨みのこもったものだ。

 やれやれ、根に持つタイプだな。


「わかったよ。 ただ勝つだけじゃダメってことだな」


「あぁ、圧勝してこい!!」


 そう、送り出されて、次の日を迎える。

 そこで、予想外のことが起きた。

 昨日と同じように、ルクスリアが不在のまま二回戦が始まる。

 そして、フェローが、またしても5枚抜きするのだが、俺たちの戦闘が終わった後、それを知った。

 昨日と同じ場所には、4人の他にカガリが立っていた。

 少し、興奮しているようで息が荒い。


「何、ロイヤルスターズが負けただと?」


「せや、クラウンの連中の大将が化け物やった。 レオンが手も足も出ずに負けてったで」


「世界最強よりも強いやつって何者だよ」


「分からん……だが、あいつはレオンを殺そうとしとった。 そう見えた。 審判には止められとったがな」


「そうか。 まぁ、俺がそいつより強ければいいんだろ?」


「せやけど……」


「なに、不安そうな顔してやがる。 よし、全員明日はサレンダーしろ。 俺が5枚抜きしてやるよ。 で、そいつの名前は」


「ギスハーン……やな」


 その名前が聞こえた瞬間、他の4人が、一斉に顔を見合わせた。


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