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シロの心を

「来てくれたか、シリュウ。 だが、私は1人で来てくれると思っていたが」


「勘違いするな。 俺は、シロを止めに来たんだ」


「愚かだな。 私を心変わりさせるなど……」


「出来るさ、やってみせる」


 ひとりの女が現れる。


「スペルビア様、ここは私が……」


「フェロー、頼んだ」


「了解です。 バシン……あなたの相手は僕ですよ」


「アワリティア……邪魔だ」


 バシンから、光線が放たれる。

 それを、フェローが地の盾で防いだ。

 そのまま、フェローがバシンを掴み、どこかへと連れて行く。


「シリュウ、10分だけです。 それ以上は知りませんからね」


「くそっ、話せ……お前から殺すぞ」


 そうして、2人は消えていった。


「仮面をなくしたアワリティアでは、バシンには勝てんぞ」


「アワリティアでは、そうだろうな。 だが、あいつはフェローだ」


「……で、私をどうするつもりだ? 止められるものなら、面白い。 止めてみせろ」


「なぁ、おまえが記憶喪失だったのは嘘だったのか?」


「いや、あの時点では本当になくしていた。 チョーカーに触れて思い出したがな」


「何があった?」


「そんなことに無駄な時間を割いてもいいのか?」


「あぁ……俺はお前と話しがしたいだけだしな」


「ふむ。 それは面白い。 記憶をなくした理由ね。 ただ、暴食、憤怒、怠惰に囲まれてな。 流石に負けてしまったというわけだ」


「なぜ、おまえが襲われるんだ?」


「7大罪にも、派閥があるんだ。 そして、強欲を失った私は的にかけられた」


「どういう派閥なんだよ」


「人の命を殺めるかどうか……それで、決定的に私とイラは別れたな」


「殺めるかどうか……」


「そうだ……なぁ、五分ほどだったのだが」


「ん? あぁ、さすがに勇気が出なくてな」


「何の?」


「いや、受け入れてもらえなければ……恥ずいし」


「…………?」


「なぁ、目を瞑ってくれないか?」


「なんだ、接吻でもしてみせるのか?」


「おまえが嫌じゃなければ……」


「…………くっ、くっくっく。 はははっ!!」


「笑った?」


「面白い……やはりお前は面白いな。 シリュウ」


「なら!!」


「だがダメだ。 お前から接吻などと」


「ダメか……」


 シロが近づいてくる。

 そして俺の頬に手を当てた。


「私からさせてもらおう。 初めてはそれじゃないと嫌だ」


 そして、唇が重なる。

 鼻が当たり、瞳が合う。

 唇は柔らかで、ほのかに暖かさを感じた。

 そして、2人の顔は離れた。


「……いいのか?」


「あぁ、良いものを貰った。 礼に、お前の仲間になろうではないか」


 そう言って彼女は、腕につけたグラトニーのチョーカーを外した。


「それは……よかった」


 そして、そのチョーカーを宙へ投げた。


「……これで契約は完了だな。 俺が、晴れて主人格様というわけだ」


「は?」


 シロの背中から、12枚の花が現れる。


「シリュウ、君のおかげで、この女の心は弱くなった。 俺が人格を乗っ取ることが可能なレベルにな。 感謝して、俺の前で立つ許可をしてやろう」


 その気配は、突如として代わり、重圧を放っている。


「お前は……誰だ?」


「俺は、ルシファー。 この髪飾りに封印された、悪魔。 そして、シリュウよ。 敬語を使うがいい。 死にたくなければだが」


「ルシファーだと?」


「うむ、その通りである」


「弱くなった心を乗っ取っただと?」


「あぁ、その通りだよ」


 俺は、ふぅとため息をついた後、その場に座り込んだ。


「はぁーー。 緊張した……」


「何をしている。 人間よ」


「ん? あぁ、今のうちに羽を伸ばしておけよ?」


「どういう……なんだと」


 羽が、一枚一枚、散らばってゆく。

 そして、シロの体から光が散っていく。


「まさか……まさか!?」


 そして、その光は消えた。


「俺たちの愛がお前程度に負けるわけがないだろう」

「私たちの愛が、貴様程度に負けるわけがないだろう」


「……おかえり、シロ」


「これは、もういらないな」


 そう言って、シロは髪飾りを外した。


「ほら、これやるよ」


 それは、買い物の時に購入した、髪留めだ。


「いいのか?」


「あぁ、お前に似合いそうだから買った」


「ふふ。 大事にするよ」


 空から、光線がやってくる。


「シリュウ、すまない。 逃した!!」


「死ね!! シリュウぅぅううう!!!!」


 その光線の前にシロが立つと、光の矢で相殺した。


「アワリティア、10分はとうに過ぎている。 流石だな」


「え? スペルビアさま……なにを」


「惚れたが負けというやつだ。 私の負けだよ」


「そんな……そんな」


「すまんな。 バシン、迷惑をかけた」


「……いえ、あなたが決めたことなら、私は構いません」


「よくやりましたね。 シリュウ、さすがです。 どうやったんですか?」


「おいアワリティア、そうくっつくな」


「シロ……嫉妬してるのか?」


「してないが、あまり気分の良いものではない」


「嫉妬じゃないですか……シリュウも隅に置けないですね」


「からかうなよ。 そうだ、シロ。 こいつはアワリティアじゃなくて、フェローだからな」


「フェローか。 懐かしい呼び名だな。 シリュウから離れてくれフェロー」


「嫌です。 彼は僕のものですから」


「ふむ、お互いに悪魔を失ったところで、決着をつけようか?」


「面白いですね。 相手になりましょう」


「……シリュウ、やはり許さん。 覚悟!!」


「えぇーー。 何で俺まで……」


 その地で大乱闘が起き、荒れ果ててしまうのだが、4人のものに罰則として、整地を国が言い渡し、一晩で元に戻るため、問題とはならなかった。

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