召喚
「暇だな・・・」
「何か面白い話しろよ軍曹」
「やめろよ、そういうのが嫌でサラリーマンにならなかったんだ」
「何の仕事してる?」
「山に登って写真を撮ってる」
「それで金がもらえるのか?」
「まあな・・・」
俺は話が得意じゃない。俺の話はすぐに終わってしまった。
「つまらんな・・・」
「よし、アニメ見よう!」少佐が大きな帽子を脱いで言った。
「アニメ?」
「ストルンは日本のアニメが大好きなんです。アメリカの映画も好きですが」
「あたしのモコソにはアメリカのアクション映画と日本のアニメが沢山入ってるんだぞ!」
少佐は帽子型のモコソを、救急車の真ん中のベッドの上に置いた。
「40年前の古いアニメとかあまり見たいと思わないんだが・・・」
俺が来るまでは、40年前の古いテレビ放送を見てたってことを思い出しながら俺は少佐に言った。
「いや、テルルが受信を切っちまったけど、1回ネットのデータを大量に受信しただろ、あの中にネット配信の動画データが大量に入ってたのさ」少佐が帽子をポンポン叩きながら言った。
「あの後、ストルンから、なぜ切ったーってクレームのメールがすごい来たのよ」テルルが思い出しながら言った。
「まあでも、かなりのコレクションが出来たぜ」
少佐が腕組みをしながら威張って言った。
「そりゃ良かったな。それで、何を見るんだ?」
「うーん、そうだなあ」
ストルンはベッドの上に置いた帽子型モコソを操作し、空間表示ディスプレイを出した。
空中にリアルなモニター画面が浮かぶ。俺のモコソにも付いてる機能だ。そこにアニメ一覧のようなリストが出ている。
「この空中に浮かぶ画面の仕組みはどうなってるんだ?」
「それはですね」プロメが説明してくれた。「赤、青、緑、黄色、白、黒に反射する6つの鏡面を持つ微小な立方体の金属を、磁場と静電気で空中に浮かべてひとつひとつを個別に回転させて制御しています。触ってもいいですが、吸い込まないでください」
「さすが天才ね」
「全然わからん・・・」
「よし、やっぱり新作がいいもんな。今の一番のお気に入りを見よう」少佐がリストから1つを選んだ。
少佐がベッドに置いたディスプレイは、みんなで見るには適さなかった。みんなでベッドを囲んで座っているのだ。
プロメが救急車に備え付けの、恐らくは心電図を見る時とかに使うであろう大きめな天井から吊るされているモニターを、運転席との空間を仕切っているカーテンの前に移動させた。
天井にはレールが付いていて、モニターはそのレールをウィンウィンと音を鳴らしながら移動した。
その大きめなモニターにアニメが流れはじめた。
俺たちはそのアニメを見ながら、食べ物を食べたり立ち上がって運動したりして時間を潰した。
俺は最近のアニメというのを初めて真面目に見たが、最近のアニメは絵がきれいで動きも滑らかで、戦闘シーンの迫力もすごく、びっくりしながら見た。
そして少佐にたまに感想を言った。
少佐は本当にこのアニメが好きらしく、「ここがすごいんだよ」とか「ここの演出は絶品だ」とか俺たちに解説してくれた。
画面の中では、見えない剣を持った美人の女剣士が体のデカいヘラクレスみたいな筋肉の塊の敵と戦ったり、蒼い髪の槍使いと闘ったり、佐々木小次郎と闘ったりしていた。
「日本人ってのは召喚したりして戦わせるのが好きだよな」
「そうなのか?」
「それと、召喚されてどこかに行くってのも好きだな」
「そうなのか?」
「最近じゃ、召喚されて行ったら何故か最強ってのが人気があるらしい」
「そうなのか」
「軍曹もある意味、召喚されたクチだな!」
「そうなのか・・・」
「軍曹も最強なら良かったのにな!」少佐が楽しそうに笑った。




