帽子
テルルとラウンジに飯を食いに行くと、双子が帽子をかぶって肉を食べていた。
帽子はけっこう大きめで、潰れたシュークリームのようなモコっとした形をしていた。
色は少佐が焦げ茶色で、プロメが暗い青だった。
二人の帽子の後ろから、赤い髪がシッポみたいに下に出ている。プロメはそれを三つ編みにしていた。
「それが軍用なのか?」
「軍用のモコソはこういう形をしています」
プロメがそう言うと、帽子が変形して小さくなった。戦闘機のヘルメットみたいだ。
「でも見た目がひどいので、こうしました」
再びプロメの帽子が元の形に戻った。
「帽子が大きい分、顔が小さく見えていいわね」テルルがそれを見て言った。
「お二人のモコソも新しく作りました。性能が上がっています」
プロメがポケットから10センチぐらいの四角形の黒い板を2つ出した。俺の分とテルルの分だ。
プロメはその板をテーブルの上に置いた。プロメがチョンと真ん中を触ると2つはパタパタと大きくなった。
「テルルさんはゴーグルとブレスレット二つになります。これで操作性がかなり向上しているはずです」
「ありがとう、嬉しいわ」
「トミハルさんはゴーグルと空間表示付きサブコンです」
「空間表示?」
「サブコンを机の上に置いて、モード、ニホンゴ、サブコン、空間表示と言ってください」
俺はゴーグルじゃないほうの半分を机の上に置いた。そして俺は言われた通りにその呪文を繰り返した。
「おお、空中に日本のパソコンみたいな画面が出てきたぞ」
「ゴーグルをつけるとキーボードが見えます。指でキーボードを触ると文字が打てます」
「おおすごい!それで、何を打つ?」
プロメは不思議そうな顔をして俺をじっと見て言った。
「・・・日記?」
「・・・」




