表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/90

天井

 俺はテルルとマリーと、眠る双子を見守りながら幸せな日々を送っていた。


 その時俺のベッドの横にはテルルがいて、2人で天井を見ていた。


 テルルは今まで俺に、トランという星の歴史をゆっくりと話してくれた。

 トランの人類が歩んだ道、人類の進化の道、前に進むからにはゴールがある。これ以上進めなくなる場所がある。


 それがゴールなのか、ハズレの行き止まりなのか。クリアなのかゲームオーバーなのか。


 進む道の中で発明された3Dプリンター、何でも作れるボロン。まったく同じ物を作れるボロン。



「なあ」


「なに?」


「俺もコピーなんだろ?」


 少しの間があった。でもテルルは起き上がって、コクリと頷いた。


「怒る?」

「いや・・・でも・・・」


「あなたは確かにコピーして作られた。そして作ったのは私たち」


「そうか・・・」


「それであなたが不快な思いをするだろうってことは、私たちにも予想できた」


「俺は、不快なんだろうか・・・まだ少し混乱してる」


「でもね、地球にいるオリジナルと、私の前にいるあなたは、どっちが偽物とかってことじゃないの。両方本物なのよ、体を構成する元素一粒までね」


「地球にも俺がいて、今も生きてるって事か」


「そうね、普通に生きてるはず」


「普通に生きてる・・・」


「あなたをスキャンした瞬間、少しピリッとしたかもしれないけど、それだけね。あなたは山を登ってたんだっけ?」

「そうだ。秋の山を登って、仕事で写真を撮ってた」

「地球のあなたは、そのまま写真を撮って、山を下りて、普通に暮らしてるはず」

「そうか・・・」


 俺は、地球の俺が何も知らず、スキャンされたともコピーされたとも知らず、何事も無かったように平凡な日々を生きてることを想像した。


「なあ、テルル」

「はい」


「俺はこの星に来て、テルルと会って、テルルと車で旅をして、この星の地球には無い珍しいものを色々見た」

「そうね」


「地球と同じ物も多かったけど、同じだからこそびっくりした」

「私たちも地球のテレビを見た時、同じ過ぎてびっくりしたわ」


「そしてここでマリーとも出会って、ここの生活も嫌いじゃない」

「よかった」


「最近じゃストルン少佐とプロメも来て、ここも賑やかになって・・・俺はマリーと子供まで作った・・・」

「元気に生まれるといいわね」


「俺はな、ここに来てからの毎日が、すごく楽しかったんだ」

「私も楽しかった」


「地球の俺と、こっちの俺と、どっちが楽しい人生を送ってるかって言ったら、断然こっちだと思う」

「本当?」


「地球の俺に、交代しろって言われたら、絶対に断るぜ。こんな楽しい出来事、オリジナルになんか、絶対に譲ってやらんって思う」

「そこまで言う?」


「絶対にイヤだね。それにテルルも譲ってやらん」

「俺の所有物みたいな言い方、しないでよ、ね!」テルルが俺の脇腹にパンチを繰り出した。

「イテテ」


 テルルが隣で笑っている。声を出して笑っている。


 俺も笑った。声を出して笑った。2人して笑った。


 俺は心の底から笑った。人生を楽しんで、心の底から笑った。


 俺は、今この人生に幸せを感じてる。


 それがすべてだ。それでいいと思った。



 俺は、愛するテルルを優しく抱きしめた。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ