仮面の理~25~
秩序は守られた。
いや、秩序を守るために新たな秩序を作ったというべきかもしれない。
界號はそのために義王の衣服を身にまとい、仮面を顔につけた。
これから数年、十数年、数十年、界號は義王を演じなければならない。時として誰かが演じる義王に仕えねばならない。それだけではない。この仕組みを自分の子、自分の孫へと伝えていかなければならない。その仕組みこそ秩序を守るための新しい秩序なのだ。
『中原の秩序が保たれるのなら苦労など厭わぬ』
覚悟はできていた。物心ついて自分が生まれた界家がどういう家柄か知った時から。自分が界公となった時から。自分が義毘を殺してしまった時から。
すでに義毘が亡くなって半年が経過している。事の真相を知っているのは界號と賈陰のみ。誰も不審に思っていない。
それであるならば、この新しい秩序はこれからも秩序として保たれるだろう。
界號は祖先達がそうしたように義王に成り代わるあらゆることを書き記した。こうしておけば子孫達も困らぬだろう。
『未来永劫、続けねばならん』
大丈夫だ。自らが作り上げた仕組みは完璧だ。
数十年、数百年過ぎても、義王の正体が暴かれることないだろう。
義王が中原の象徴として君臨し、現実の政治に関わりを持たなければ。
界號は確信をもって今日も義王を演じるのであった。




