友軍との遭遇
ガサガサバキバキ
森の方から音が聞こえた。
エーデルは咄嗟に自分の銃を構える。
神威も構えようとしたが銃を戦車の中に置いてきてしまっていた。
ーーしまった!
咄嗟に焚き火から火のついた木を取る。
だんだん物音は近づいてきた。
「エーデルは出てきてみろその頭をブチ抜いてやる」
と、言わんばかりの顔をしている。
すると、森の方から
「撃たないでくれ。」
と人の声がした。
エーデルは安心したのか、いつもの顔に戻り銃を下ろした。
神威も火のついた木を焚き火に戻した。
森の方から出てきたのは3名の兵士とM3スチュアート、そして三号戦車だった。
「いやーまさかこんなところに人がいるとは思いませんでした。」
と、部隊長のような人が言う。
「私はアルベルツ・エーデルと部下の神威だ。そちらは」
ーー部下!?・・・まぁ確かに部下と言われれば部下ですけど。
「なんと!エーデル大佐でしたか!全員整列!」
すると疲れてるであろう兵士がいっせいに横に並んだ。
「敬礼!」
皆ビシッとエーデルに向かい敬礼をした。
「やめろやめろ。今はそんな時じゃないだろ。」
「ハッ、直れ休んでよし。」
部隊長がそう言うと皆座り込んでしまった。
「だいぶ疲れてるようだが。部隊名と自己紹介をしてくれるか。」
「ハッ、第23補給部隊、階級は軍曹、名前はベレスネフ・ボリースで出身はピユーシ連邦であります。」
ーーピユーシ帝国?どこだったかな。
胸ポケットから世界地図を取り出し確認する。
ボリースは不思議そうにこちらを見る。
ーーロシア・・・か。
「そうか。ピユーシ出身か、雪などで足は鍛えられてそうだな。」
「ハッ、自分もそれを生かそうと補給部隊に入ったのであります。」
「そんな固くならなくていい。」
「ですが・・・大佐ですし。やはりこう・・・」
エーデルはため息をついてからこう言った
「なら命令だ。楽にしろ。上官命令は絶対だろ?」
「・・・分かりました。」
そう言うとボリースは地べたに座った。
「あの〜」
手を挙げながら神威は言った。
「どうした?」
それに対しエーデルが言った。
「ベレスネフ・ボリースさんですよね?」
「そうだけど。」
「どっちが名前でどっちが性ですか?」
「!?そりゃぁベレスネフが性でボリースが名前だろ。」
そんなの当たり前だろと言わんばかりの口調でそういった。
ーー前が名前で後ろが性だった気がするんだけどな。まぁ英語は嫌いだったからな。気のせいかな。
「まさかとは思うが私の名前がアルベルツだと思ってたのか?」
「えぇまぁそうなりますかね?」
そういった途端、疲れていた兵士も揃って皆で笑い出した。
「君はほんとに面白いやつだな。なぜそう思ったんだ?」
エーデルが神威に向かって聞き返す
「いや、あの・・・そう習った覚えがあって。」
そう言い返すと
「まぁ間違ってはいないな。」
エーデルがそう答えた。
「え!?」
「元々はそうだったがジパングの文化やら技術やらで色々と変わったんだ。今だって変わってないところもあるし、名前が長いところもある。だから君とこうして言語も同じだから会話もできるんだよ。」
ーーそういう事だったのか、来てからなぜ会話ができるのかとか、文字が一緒なのかと思ったが、これでハッキリした。
「でも、今でも昔のままの所とかありますよね。名前や文字、言葉も」
ボリースが続けてそう言った。
「まぁ取り敢えずこうして味方と落ち合えた。それに分かるか?神威君は今任務を達成したんだぞ?」
「・・・あっ!」
「そうだ。燃料が手に入るんだ。」
「大佐は燃料が欲しいのですか?それならまだありますし、我々の戦車の燃料も出せば結構な量はあります。それに、もう我々の戦車は弾もありませんし、痛みすぎて使い物にもなりませんから。」
「そうか。それはありがたい。」
「いえ、大佐の力になれるのでしたら。で、一体どこに向かってるんですか?」
「港に向かっている。」
「港?」
「そうだ、港だ。もう我々には戦える戦力がない。一度本国に帰ろうと思う。」
「大佐は逃げるというのですか。ハハハ、そんな馬鹿な大佐は英雄ですよ。英雄が逃げるなんて・・・」
「私は英雄になった覚えはないし、英雄だと言った覚えもない。それに、英雄だとしても戦力がないのにどう戦う。」
「あの戦車は!あの戦車なら倒せるじゃないですか!」
「あの戦車だって弾も残り少ない、それに軍曹お前に燃料を頼んだ。そして、私とこの神威しか今いないということは、どういう事かわかるな?」
「撤退する分の燃料もない。補給部隊は全滅し、基地もやられた。」
「その通りだ。つまり我々は負けたんだよ。」
「我々はどうしたらいいでしょうか。補給できるにしても、もう前線に補給を求む部隊もない。」
「簡単なことだ我々と一緒に一度撤退する。」
「撤退・・・ですか。」
「そうだ。補給部隊が戦いに行って何になる。負けるのがオチだ。我々の戦力部隊が負けたんだからな。」
「ですが、ですが私は、まだ戦っておりません。」
「補給部隊は戦うのが仕事じゃない。味方に物資を届けるのが補給部隊の役目だ。だが、補給を求む部隊どころかこの先の部隊は全滅している。分かるか?」
「分かりました。なら、一つ約束してください。」
「なんだ?」
「私をあなたの部隊に入れてください。」
「ほう、志願理由は」
「奴らを、奴らをぶっ潰したいんです。」
「いいだろう。なら私からも一つ約束させてくれ。」
「何でしょうか?」
「今から撤退するのはわかっているな?」
「はい。」
「私の部隊に入るまで死ぬな。いいな?」
「分かりました!」
自分は二人の話が終わるのを、自分の近くにあった青く光る石をいじって待っていた。
この後、皆で寝ることになったのだが、エーデルだけ戦車内で寝ることになったのは言うまででもない。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
作者のかるびぃんです。
燃料を手に入れた神威達、この後無事に港につくことは出来るのか・・・
お楽しみに




