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01 その者、実は

 

 もう三年も前になる。それは突然やってきた……。



「うおああアア――! な、なんだ、これは――!」



 そう、俺は三年前に妙な光に包まれてこの『異世界アルトメリア』にやってきた。にわかには信じられなかった、長い夢を見てると思ったさ。


 だけど……ここは殺伐として、容赦のない世界だった。


 魔物が存在し、命を奪われる世界。

 魔法が存在し、スキルがある世界。

 人、ドワーフ、エルフ、獣人、様々な種族がいる世界。


 ギルド、騎士団、盗賊、傭兵……荷物持ち。色んな職業がある世界。


 ――俺の職業は荷物持ち。


 この世界には幾つもの迷宮があり、富と名声のため冒険者達は日々、迷宮攻略に挑む。


 ――そう、俺は冒険者の荷物持ち。


 ここはガルダ大陸の東、Aランク迷宮『スカイライド迷宮』



「ほらっ、そこの貴方。たしか名は『アオイ』と言ったわね、早く来なさい。それが貴方の仕事なんですからね」

「はーい、わかりました。今ね、急いで行きますから、お嬢さま。」

「まったく。リズベルももう少し役に立つ荷物持ちを見つけてきなさいよ」

「あら、そんなこと言うなら次からはセイシアがギルドに行ってきてよね」


 二人の美少女が呆れた顔で俺を見ていた。……いいね、最高だ。


 俺は『飯崎葵(いいざきあおい)』。地球という惑星にいた頃の名前だ。今はアオイと名乗っている。歳は18だ。


 そしてこの世界での今の職業は――荷物持ちだ。


「くっ、でもなんだって迷宮に入るのにこんなに荷物がいるんだよ。世界旅行にでも行くのかっての」

「あら? 何か言いましたか?」


 セイシアと呼ばれた若い女冒険者。歳は俺と同じくらいだろう。

 何処かのお嬢さまのような感じがする。見た目はかなりの美人だ。整った顔にスラリとした体系。金髪碧眼と美声、なんかそれだけならどっかのお姫さまみたいだ。


 しかし――高飛車で俺を見下している。


 もう一人も若い女冒険者だ。名前はリズベル。こっちは銀髪翡眼だ。リズベルも歳は俺と同じくらいでかなりの美人だ。ま、リズベルは美人というよりは可愛いといったほうがいいだろうな。


 しかし――俺を雑魚だと見下している。


 とにかく二人とも滅多に見かけないような美少女だ。


 そして、セイシアは女剣士。軽量の鎧とマント、武器はレイピア。

 リズベルは女魔法使い。ローブにとんがり帽子、武器はロッドだ。


 それだけなら一端の冒険者。普通だ。


 だが、しかし。彼女らの装備品は他の冒険者とは比べ物にならない位に凄い。何が凄いかって、……装飾がド派手だ。


 武器も鎧も帽子もマントも無駄に豪華。いくら女冒険者だからってやり過ぎだろ。迷宮で王族とコンパでもする気なのか?


 まぁ、だからって彼女達が弱いのかっていったら真逆なんだが。

 俺はこの世界にきてから多くの冒険者の荷物持ちとして迷宮に潜ったからわかる。


 この二人はトップレベルの冒険者。かなりの手練れだ。大体、迷宮へは五人以上のパーティーメンバーを組み潜入する。


 それがコイツらはたったの二人! と、俺。


 たったの二人でガンガン進む。猛然と迷宮を攻略していく。立ち振舞いや、雰囲気から中々の冒険者だとは思ったがここまでの強さとはね。


「ほら~、アオイくん! またセイシアに怒られるから急いで! 魔石の回収したらもう行くよー」

「急いでまーす! リズベルさん、もう少し」


 俺は今しがた倒されたオーガから魔石を取り出す。

 このランクの魔物を易々と倒す美少女二人。凄いね、惚れ惚れする戦いだったよ。


 それにこの迷宮はまだ攻略されていないAランクの迷宮。

 どんな魔物が潜んでいるかも、どんなトラップがあるかもわからない。それを恐れることなく進む。


 いや~、美少女で強気の二人組。これは人気もでますよ。


 そりゃあ、普通に考えて俺と彼女達の強さを比べたら月とスッポン位にかけ離れてるさ。なんせ俺は迷宮に挑む冒険者達の荷物持ちなんだから。

 それにこの二人は最近じゃ街で噂の冒険者だ。そんな二人と俺を比べたら?



 まぁ、実は――そんな荷物持ちの俺の方が断然、強いんだけどね!




お読み下りありがとうございます。迷宮攻略に攻略に挑む冒険者達、そんな世界でアオイはどう生きていくのか。よかったらブクマ、評価お願いします。

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