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それはやっぱり、君でした。  作者: せみまる
プロローグ
3/70

それはやっぱり、君でした。



 それはやっぱり、君だった。


僕のとなりで優しく微笑むのは、

僕に精一杯甘えるのは、

僕と共に生きるのは。


それはやっぱり、君だった。


君でないと、いけなかった。



君は一人、僕をおいていってしまった。なんでだろう、今でも、思い出す。


胸にやきついた、あの時間を、色を、匂いを、

 光を。

 あの、笑顔を。


いつでも君は笑っていて、そう、君は紛れもなく、僕の太陽で。


 ちいさな、温かい、君の遺した思い出を抱いて痛みを隠して笑うたび、

 ちいさな、温かい、その温度に口づけをするたび、

 どこか懐かしいその匂いを深く吸い込むたび、

 少しだけ紫がかった瞳の色を覗き込むたび、


 いつも、いつも、いつも。


 君はあまりにも鮮やかに僕の脳裏によみがえる。


 こうも、思う。

君は、ずるいんだ。

僕に、サヨナラさえ、言わせなかった。


もっと伝えたいことは、たくさんあった。

なのに自分だけそれを満たして、僕にさせてくれなかったじゃないか。


そうやってぐるぐると考え続けて、疲れて、泥みたいに眠って。

夢の中でも君は変わらずに、微笑んだまま、僕にサヨナラを、


言わせない。

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