それはやっぱり、君でした。
それはやっぱり、君だった。
僕のとなりで優しく微笑むのは、
僕に精一杯甘えるのは、
僕と共に生きるのは。
それはやっぱり、君だった。
君でないと、いけなかった。
君は一人、僕をおいていってしまった。なんでだろう、今でも、思い出す。
胸にやきついた、あの時間を、色を、匂いを、
光を。
あの、笑顔を。
いつでも君は笑っていて、そう、君は紛れもなく、僕の太陽で。
ちいさな、温かい、君の遺した思い出を抱いて痛みを隠して笑うたび、
ちいさな、温かい、その温度に口づけをするたび、
どこか懐かしいその匂いを深く吸い込むたび、
少しだけ紫がかった瞳の色を覗き込むたび、
いつも、いつも、いつも。
君はあまりにも鮮やかに僕の脳裏によみがえる。
こうも、思う。
君は、ずるいんだ。
僕に、サヨナラさえ、言わせなかった。
もっと伝えたいことは、たくさんあった。
なのに自分だけそれを満たして、僕にさせてくれなかったじゃないか。
そうやってぐるぐると考え続けて、疲れて、泥みたいに眠って。
夢の中でも君は変わらずに、微笑んだまま、僕にサヨナラを、
言わせない。