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暗い部屋

作者: 七瀬 碧月

 思い出したのは理科室に並んでいたコウモリやトカゲのホルマリン漬けだった。

 腐化を防ぐために、浸して物体を保存するための液体。

 綺麗な肌色の皮膚、曲線美の胴と胸、多種の色を持つ髪と瞳…

 世界には見るだけで惚れ惚れするような完成された人間が居る。

 今、目の前にはいくつもの瓶が並んでいて、その中には沢山の美が入っている。

 僕はそれらを通り過ぎていくつもの鍵で固く閉じられた部屋へ向かう。

「んー!んんー!!」

 扉の先には手足をイスに縛り付けられた女の子がいる。猿轡をしているため、満足に言葉も話せない。

 何か言いたそうなので猿轡を外してやると、大声で怒鳴られた。

「こんな事をして、許されると思ってるんですか!今すぐ解放してください!今なら間に合います!」

「何を許してもらうのかな?それにこんなに綺麗な物を手放す筈が無いよね?」

「なっ!手放すって…私は物じゃありません!」

「うるさいなぁ…ご飯も風呂も寝る場所だって用意してあげてるじゃないか…これ以上何が不満なのさ…」

「常に手足を拘束されて、食事も無理やり…お風呂なんて脱がされて貴方に体を拭かれる…これの何処に満足できると思ってるんですか!」

「だって、それ外したら君…逃げようとするでしょ?前に外してあげたら逃げたの覚えて無いの?」

「…何でこんな事をするんですか」

「君は可愛い体を持っている、だから常に近くに置いておきたい…分かるでしょ?」

「分かりませんよ…それにこんな事されて逃げないほうが可笑しいです」

 そうそう、今までも皆逃げようとするんだよね…衣食住も保証されて、欲しいものは何でも上げてるのに、何で皆逃げようとするんだろう…

「君は欲しい物を手に入れたのに、わざわざ手放したりするの?しないよね?」

「そういう問題じゃ…んむぅ!?」

 猿轡を付けなおして口を塞いでも、まだ何か騒いでいるけど無視しよう

「それじゃあご飯の用意してくるから、大人しくしててね?」

 僕はそれだけ言って、部屋を出る


「全く…もう一ヶ月も経つのにまだあんなに元気があるなんて珍しい…瓶や保存液も無限じゃないし、あのままで居て欲しいなぁ…」

 棚に所狭しと並べられた瓶の中には、綺麗な目が入っていた…

お読みいただきありがとうございました! この即興小説シリーズ(日刊)の他にも2作品書いてます! 「自己犠牲錬装術師の冒険譚」(仮題) 「人形の彼女と紡ぎ手の僕」 是非お読みください!(上記の2作品は連載・非日刊です)

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