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- 浸り -

遅くなって申し訳ないです。


色々と…ね?


ハロウィンやらクリスマスやらで忙しいですね。

*アニー*


「どうぞ。」


メイドが持ってきた真紅色の紅茶を飲む。


……あれからどれだけの年月がたったのだろう―――


今は館も修理し終わって、メイドもいる―――


だが心の穴は埋まるどころか広がっていく―――


ミリアが……大切な妹が見えなくなったからだと言う事は分かっている。


私はミィを常に思えるようにあの部屋は残したままにしている。


私がミリアを殺してしまったも同然だ。


あの時、私が閉じ込めていなければミィは助かっていた。


だから、あの部屋はミィが『いた』という証明となり、

私を戒めるためのものでもあった。


以前メイドの一人に「この部屋は……?」と聞かれたことがあった。


まったく使わない、何もない部屋に疑問を持ったのだろう。


私は「今は遠い存在の私の大切な妹の部屋よ―――」


といった。


そう言いかえしたのは記憶に新しい。


私は紅茶を置き、あの部屋に向かう。




……ここにくるとあの頃の記憶が鮮明に思い出される。


それと同時に後悔も溢れ出す。


あの子には…ミィには何一つしてあげられなかった。


私は…姉失格だ。


私は、ミィの遺体を近くの丘……通称ユアンの丘と呼ばれる場所へ埋葬した。


あの丘はたった一度だけ、私が気まぐれで外に出たことが無かったミィを

可哀想だと思い、あの丘の絵画を見せたことがあった。


その時のミィは綺麗で、無邪気な可愛い笑顔だった。


今は私の大切な唯一つのミィとの思い出の場所であろう。


最も、ミィは絵でしか見たことがないが、それでもミィは

「いつか…行ってみたい。」と言っていた。


「ミィ……もし、あなたがまだいたのなら…謝りたい。」


謝っても許される事ではないのは百も承知だ。


だが謝りたい。


そして、生まれてきて……私の妹で有難うと言いたい。


「……そろそろ戻ろう。いつか今度は丘の方へ墓参りに行くわ、ミィ。」


そして暗く不気味な部屋から一人の少女が消えた―――――

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