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- 感触 -

続きです。

*ミリア*


ただ光の方へ向かう―――


―――俺は…ほんの少し外へ出た感触が分かった。


指先に当たる温かい感覚―――――


あぁ、ついに外に出れたのだ―――


だが、懐かしい感覚のそれと同時に限界が来たようだ。


最期に……この感覚が味わえてよかった―――




*アニー*


「ミ…リア……」


あれから、私はどうやってあいつらを全滅させたのかは覚えていない―――


だが、そんな事よりも目の前の現実が受け入れられない……


半壊した館の瓦礫を目の前に…私は信じたくなかった。


この瓦礫の下は……ちょうどミリアを幽閉していた場所だ。


ミリアには暴れさせないために最低限の食事しかさせていない。


つまりミリアは……必然的に生き埋めにされた事になる……。


周りには誰一人としていない。


少し前までは覚悟を決めた多くのメイド達が居たはず……なのだ。


だが今は……たった一人だ。


「ミリア……生きてるわよね…?ミリアッ…ミリア!」


私は必死に瓦礫をどけ始めた。


身体はボロボロだ。


それでも必死で捜す。


大切な……私の…一番の妹のために―――




*ミリア*


目が覚めた―――――


頭が覚醒し始めると共に痛みが伴ってきた―――


だが、心は澄んでいた。


身体はもう壊れており、動かせない。


目が覚めたのに…死ぬのか―――


そう思った時に何か周りで物音がした。


ぼんやりとだが、何か重いものをどけるような音―――


誰かが近くにいるのか……?


俺は助けを求めるために喉を震わす。


「た…す……て…」


伊達に永い間声なんて出していなかった俺は声という声が出せなかった。


だが俺は必死で声を出し続けた。


「た…けて……」


少しすると物音が失くなった…と思うと、今度は聞いた事のある声が聞こえた。


「ミ……!ミリ…ッ!大…夫、…ぐに……けて…るか…ねッ!」


これは…アニーの声だ……俺の……ミリアの姉だ―――


…………今頃…助けてくれたのか―――


……俺を…ミリアを……閉じ込めたくせに―――――


俺はそう想いながら……意識を失った―――――




*アニー*


「ミリアッ!ミリアッ!!」


私は必死で捜す。


もう―――ミリアは死んでしまってるかもしれない―――


そう思うと自然と涙が出てきてしまう……


もうダメなのか―――


そう思った時だった。


「た…す……て…」


声が聞こえた―――


懐かしい……一番聞きたかった声が――――――


私はすぐに声のする場所の瓦礫をどけ始める。


「た…けて……」


声が聞こえる!……ミリアが助けを求めてるッ!


私は必死でどける。


すると瓦礫の下に指先が見えた。


見たかった…ミリアだ!―――


私はまた瓦礫をどけ始める。


瓦礫をどけるにつれて、どんどんミリアの姿が見え始める。


そして完全にどけ終わった私はミリアを抱き上げる。


「ミリア!ミリアッ!大丈夫、すぐに助けてあげるからねッ!」


すぐには助けられない。


館は半壊し、私も限界に近い。


ミリアを助けるのは不可能だった。


だが、声をかけずにはいられなかった。


そうしないと……ミリアが死んでしまうような感じがした。


私はミリアを抱き締める。


ミリアは体の原型を殆どとどめていなかった。


足は片方千切れているし、手は骨が剥き出しだった。


両目は眼球が無く、体は血で濡れていた。


いくら亜人でも、まだ私達は子供だ。


大人の亜人に比べて体力も少ない。


だれが見ても瀕死の状態で、助かる見込みはない。


私は……泣きながらミリアを抱き締めた―――


色々な想いを抱きながら、ミリアを抱き締める―――


会いたかった―――――


やっと会えた―――


ごめんなさい―――


ミリアに言いたい事は山ほどあった―――


だが、神は残酷だ―――


ミリアの体は……しだいに冷たくなっていった―――――

さて、主人公が死んじゃいましたね。


でもご安心を。普通に生き返りますのでw

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