- 出会い -
いつもながらの亀更新な作者です。
今回は夜中に半分夢現な状態で仕上げたものですので、
改正版をだすと思います。
*ミリア*
そうだ、アイツさえいなければ俺はこんな事にならずに済んだ。
全部アイツのせいだ。
そう―――目の前にいるコイツ。
アニー・アルテミシア。
わざわざ殺されに来たようだ。
馬鹿な奴―――
アニーは何やら涙を流しながらゆっくりとコチラに歩いてくる。
今更すぎる―――
俺は思った。本当に今更すぎる。
どれだけの孤独を味わったと思っているのだ。
どれだけの苦痛を味わったと思っているのだ。
コイツはその痛みの欠片も理解できやしないだろう。
もっと言えば、コイツは俺を孤独にした張本人だ。
なのに何だ。今更泣きながら俺に許してもらおうとしている。
ムカつく。
もういい。コイツは今ここで殺そう。
本来はもっと苦痛を与えながらゆっくりと嬲り殺したいのだが、
俺はゲームの上のアニーの強さを知っている為警戒している。
ミリアというキャラで隠れていたが、アニーもとてつもなく強い。
ゲーム上ではラスボスとどっちが強いかネット上でよく口論されていた。
通常の魔族等ならば敗北という二文字をその心に刻みつけられるだろう。
だが俺の身体はミリアのだ。
アニーとミリアの力は雲泥の差がある。
かといって余裕をかますことは出来ない。
確かにミリアならアニーを殺す事も容易いだろう。
だが中身は俺なのだ。
全く殺人に慣れていない一般の学生なのだ。
しかも五体満足ではない。
足は片方欠損しており、立つこともままならない。
昨日から視界が回復している事を考えれば眼球は復活しているようだが。
幽閉の時に復活しなかったのはストレスもあったのだろう。
しかしこの状態でアニーに挑んでも互角…いや、負けるな。
下手すれば命を落としかねない。
こんな事で死にたくはない。
やっとあそこを出れて生きるという目的ができたのだから。
こんなところで死んでたまるか。
仕方ない。ここはひとまずアニーに乗ってやるか。
そして回復したらすぐさまアニーを殺して自由になる。
コイツがいる限り、俺には鎖がついたままだ。
それを千切る為には俺の手で殺すしかない。
この様子だ。またあの部屋に戻される事はないだろう。
愛しくも憎たらしいお姉さま、アニー。
俺はあなたの傍にいつまでもいますよ。
――――― 今はね ―――――
*アニー*
見つけた。
やっとだ、やっと見つけた。
あれからメイドに案内されながら森の中を歩いた。
そして今、目の前にミリアがいる―――
足が片方欠損しており、他にも身体中がボロボロだ。
あぁ、かわいそうに。
私のせいだ―――
私のせいでこの子を……
ごめんなさい―――――
いくら謝っても許されることではない。
だが謝らないと気がすまないのだ。
ごめんなさい。
やっと会えた―――
やっと言える。
言いたかった事がたくさん言えるのだ。
私は両手を広げ、ゆっくりとミリアの方へ歩く。
いつの間にか両目から大粒の涙が溢れ出ていた。
ミリアは虚ろな目で私を見た。
一瞬顔を歪ませたが、私の胸に倒れこむように抱きついた。
脆いガラス細工を触るような慎重さで触れるミリアの身体。
ミリアの身体はやせ細っていた。
予想していた以上にミリアは弱りきっている。
ごめんなさい。
「もう……絶対…見捨てない。今度は……必ず守ってあげるからね。」
私はミリアの耳元でそう呟く。
私にとってこれは約束だった。
その言葉にミリアは一瞬反応したが、やはり限界だったのだろう。
私にかかる体重が異様に重くなったと思えば、ミリアが気を失っていた。
「ごめんなさい。そして、おかえり―――ミリア。」
もう、絶対離さない。何があっても―――――
この時、既にミリアは狂気に飲まれていることをアニーは知る由もなかった。
姉妹愛…いいですよねぇ。
実は作者はバッドエンド大好きな人ですのでそういうのが苦手な方は最後の方で脳内フィルターでifを作成していただけたらと。
好きな方、または同士は今後もよろしくお願いします。
どっちみち最後までみてほしいなぁ(チラッ