表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

序章ー1 【旅立ち】

ザクッザクッ・・・・



照りつける太陽の下、俺はいつものように鍬を片手に畑仕事に精を出していた。



今年はきっと例年以上に豊作になるに違いないと、農業ギルドの仲間たちと一緒にどんちゃん騒ぎで昨日はほとんど眠れなかったけど、最高に楽しかったかた不思議と今日は一段と仕事に身が入る。




そう、来年も2年後も、10年先も20年先もずっとこうやって畑仕事一筋で生きていくもんだとばっかし思ってた・・・・・アイツに出会うまでは。





  序章-1  【旅立ち】






わいわいがやがや・・・・



次の日朝起きてみると家の前が何やら騒々しかった。



俺は人だかりの方へと小走りで向かい、人込みをかきわけ騒ぎの中心に何があるのか目にした。



「え・・・か、かわいい・・・じゃなくて。女が倒れてる・・・・しかも」



道端に倒れていたのは絶世の美女という言葉がお似合いの女だった。


でも普通の女じゃなかった。


なぜなら腹にナイフが刺さっていた、しかも血は一切流れていないのだ。



「おいおい、なんなんだこの女は・・。気味が悪いぜ。」


「おっ、ラクリ!二日酔いはなおったかよ?」


俺に話しかけてきた汗だくのおっさんは、俺の家の隣に住んでいる“ユキチ”。俺が小さい頃から俺に畑仕事のいろはを教えてくれた。


おっと、こんなタイミングであれだが、俺の名前は“ラクリ”。


【パオーン大陸】の南部に位置する『農業都市カレッタ』に住むフツーの農業を営む17歳の男だ。



「ああ、すっかり治ったぜ。昨日体動かしたらアルコールなんて吹き飛んだぜ。」


「あっはっはー。さっすが若いっていいねぇ。」


「ねえねえ、ラクリ。あんたんちでこの女の子診てやったらどうだい?見た所あんたと年近そうだし、、ねえ?」


そう言って俺にむちゃぶりしてきたのはユキチの奥さんの“ナオミ”さんだ。ふくよかな体型でよく妊婦に間違われるらしい。料理がめちゃくちゃ上手い。


「え、なっ、なんで俺んちで!?」


「あんた一人暮らしで寂しいだろう?それにあんたは昔っから女っ気がないもんねー。いいチャンスじゃないかい?命の恩人からの恋愛パターンでワンチャンあるかもよ?」


「ちょっと、おばちゃん・・・言葉遣いが若者過ぎるよ・・。」




てなわけで、俺は道端に倒れているその女(仮にアンジェリカと呼ぶ)の方に近づき、抱きかかえようと膝の下に手を入れた、その瞬間。




ピクッ




「ん?」





ガバッッ!!!




「!!??」






俺に瞬きする暇などなかった。




一瞬の後、俺の背中は地面に触れ、アンジェリカ(仮)によって羽交い絞めにされてしまったのである。




「・・・・・ちょ、なにするんだよ、いきなり・・・。」




「・・・・・あなたを・・・・待っていたわ・・・・・。」



「・・・・へ??」




「今すぐ私と来てちょうだい、戦乱の地【寒空のディスタンス】に。」





その言葉に聞き覚えはあった。



『農業都市カレッタ』から北へ数千km離れた所に位置する、極寒地帯。


そして、3年前から続いている「“クリスタル”を巡る2大国による戦争」の最前線。



それこそが、今俺の真上に乗っかっている美少女が口にした、【寒空のディスタンス】。



でも、もちろん俺には仕事がある。こいつら(作物)を育てる義務がある。




「そんなの無理に決まってるだ・・・・・」





チュッッーーーーー






その瞬間、俺の心はーーーーーーときめきランデブーハリケーンに席巻された。









「ごめんよ、天国の父ちゃん、母ちゃん。俺・・・・・ちょっくら極寒の地まで『愛の行進ラブマーチ』してくるわーーー!!!」







こうして、歴史に残る冒険が始まったのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ