偽者の条件
八百刃の偽者がまたまた現れた、今度の偽者は?
「今回はバイダー線の終着駅、バルバールに向かう車窓から」
ヤオが、例の如く『世界の車窓からの』の原稿を書いているのを見て、呆れ顔のマーレが吸射雀と一緒に他の車両に移動し始めた。
『しかし、神の関係者というのは、前回の紅雷といい、あんなのしか居ないのですかね?』
吸射雀の言葉に、マーレが肩を竦ませる。
「おい、聞いたか? 次の町に、あの八百刃様が居るらしいぞ」
「本当かあの、『戦神神話』に出てくる、正しき戦いの護り手の八百刃様がか?」
マーレは、すれ違い様に聞いた言葉に驚く。
「今の話って本当ですか?」
男はあっさり頷く。
「確かな話だ、ここら辺を荒らしていた地泥鯰って、地面を泥にしちまう鯰の魔獣を、滅ぼしてくれたんだからな」
自信たっぷりの言葉に、マーレが首を傾げた。
「この間のお金は、次の原稿料出たら必ず返すから、それまでまっててね」
一緒に電車を降りるヤオの言葉に、マーレが戸惑うとヤオは不安げに言う。
「直ぐにって言われても、返したら宿代も無いんだけど……」
本気に困った様子になるヤオに、大きく溜息を吐くマーレ。
「お金くらい、幾らでも待ちます」
嬉しそうな顔をするヤオ。
「ありがとう。あたし記念品を貰ってくるから」
トテトテと、駅員の所に向うヤオ。
『やっぱ、こっちが偽者じゃないのか?』
吸射雀に言葉に、マーレが悩む。
『八百刃の偽者の話しを、聞いたのか?』
いきなり白牙が話しかけてきたので驚くマーレ。
『貴方も騙されてるんじゃないのか? どう考えても、あれが八百刃様とは思えないぞ』
吸射雀の言葉に白牙が言う。
『あれが本物の八百刃だと言う事だけは、確かだ。疑るのなら、武道獅子に聞いてみるのだな』
貨物室から出てきた武道獅子の方に、視線を向ける。
吸射雀は、武道獅子の頭に移動して聞く。
『武道獅子も、あれが本物の八百刃様だなんて、思わないよな』
武道獅子は答える。
『八百刃様かは解らない。しかし、一つだけハッキリしている事がある』
マーレが聞き返す。
「何ですか?」
武道獅子が強い意志が篭った声で断言する。
『私が会った事がある存在の中で、最強の存在だって事だ。あれに勝てるものは、想像すら出来ない』
驚く吸射雀。
『普段はどれだけふざけていても、あれが負ける所など私も、想像すら出来ない』
続けて白牙が真剣に言うと、緊張するマーレ。
「おーい、行くよー」
緊張を一気に消す、呑気な声を発するヤオに、全員が溜息を吐いた。
「ここって意外と高い」
店の前でメニューとサイフを見比べるヤオを見ながら、マーレが溜息を吐く。
「食事くらい、奢ります」
ヤオは首を横に振る。
「残念だけど、それは駄目。あちきは、自分の崇める人間からお金貰ったり、奢ってもらえる程、偉くないから」
マーレが戸惑う。
「一番安い定食メニューに、目玉焼きついてるから、ここにしようよ」
そう言って店に入っていくヤオを見送りながら、マーレが言う。
「こういう所を見ると、確かに偉いお方だと思う」
吸射雀も頷く。
その時、一人の狼を連れた男がお店に入る。
「亭主、食事をお願いできるかな?」
亭主が慌てて駆けつける。
「当然です、八百刃様!」
周りの視線が集まる。
「ほら、あの御方が八百刃様よ!」
「カッコイイ!」
周りの人間の視線が集まる。
次々に店の自慢メニューが出される中、ヤオが頬を膨らませていた。
「こっちはまだ!」
店員は、そっけなかった。
「今はそれどころじゃないんだ! 八百刃様が来てるんだぞ!」
八百刃様と呼ばれる男は、肩を竦ませて言う。
「そのこは、お腹空かせているようだから、私の方は後で良いので、先にしてあげてくれないかい?」
「御優しい」
「本当、神様になる御方は違う」
そんな賞賛の中、傍に居た狼が白牙を見てテレパシーで会話してくる。
『お前は旅をしている様だが、蠍の魔獣を見たこと無いか?』
白牙は余裕たっぷりな態度で振り返り、嫌味を返す。
『名乗りもしない奴の質問に、答える義理は無い』
狼は、睨む。
『八百刃様の使徒である白煉狼と敵対すると言うのか?』
それに対して、白牙は呆れた様な態度で、元の方を向いて言う。
『何と名乗ろうと自由だが、礼儀を知らぬ奴と話す口は無い』
『滅びたい様だな。ヤオロス! あの猫は魔獣だ!』
白煉狼の言葉に、八百刃様と呼ばれていた男が立ち上がる。
「皆さん、そこに居る猫は、……」
その言葉は途中で止まる。
マーレが不思議がると、白牙が答える。
『喋れるわけないな。普通の人間が、ヤオのプレッシャーをまともに食らっては」
ヤオは、笑顔で答える。
「お気遣い、ありがとうございます」
その笑顔に、慌ててその八百刃様と呼ばれた男は、頷く。
「気にしなくても良い」
その後、なし崩しに白牙の事は無視された。
食堂を出た後、町を探索した後、八百刃と呼ばれた男が言う。
「あの少女は、何者だったんだ?」
思い出しただけで出てくる冷や汗を拭う。
『以前一度だけ見た神と、同等な力を感じた』
白煉狼の言葉に、驚く八百刃様と呼ばれた男。
「もしかして、偽者だって事に気付いているかもしれないのか?」
白煉狼が頷く。
『可能性はあるが、本人が黙っているのだから、気にする必要はないと思うがな』
安堵の溜息を吐くその男を見て、白煉狼が言う。
『ヤオロス、覚悟を決めろ! 奴を万毒蠍を探し出す旅の為には金が必要で、その金を稼ぐために、八百刃様の名前を使って魔獣退治をして、報酬を貰う事にしたんだろうが!』
その男、ヤオロス=バーが頷く。
「誰か助けて!」
その声に、反応するヤオロス。
『飯の種だ、行くぞ!』
白煉狼と一緒に声の方に向うヤオロス。
ヤオロス達が向った先では、ヤオ達が既に居た。
「ヤオさん、これって何なのですか?」
どんどん地上の物を沈めていく、地面を指さすマーレ。
「多分魔獣の力だよ。きっと八百刃様が倒したって言って居た、地泥鯰の仕業だね」
沈んでいく建物の屋根の上で、呑気に解説するヤオ。
『地面の下では、我が爪も届かない』
悔しげな武道獅子。
「少し様子を見てから、改善されないみたいだったら、あちきがどうにかするから、先に逃げてて」
あっさりいうヤオに、少しだけ不安げな顔をするマーレ。
ヤオの隣で、ゆったりしている白牙が言う。
『安心しろ、こいつに勝てる奴など居ない』
マーレが楽駝鳥に乗って避難する。
それを確認してから白牙が言う。
『どうして、直ぐに対処しない?』
ヤオは叫び声でやって来たヤオロス達を指さす。
「あの人たちにも、立場ってあるでしょ」
大きく溜息を吐く白牙。
『お優しい事だな』
そしてヤオが言う。
「八百刃を名乗る責任を持てる人間だと、良いけどね」
『奴が生きていたみたいだな』
白煉狼の言葉に頷き、ヤオロスが言う。
「白煉狼、来い!」
『オウ!』
次の瞬間、白煉狼は、ヤオロスを護る鎧に変化する。
「食らえ!」
強烈な焔がヤオロスの拳から放たれて、地面に大穴を空ける。
しかしそれだけだった。
『何度も同じ手が通じると思うなよ! 二度とお前の攻撃が通用する場所まで上がるかよ!』
地下奥底に潜む地泥鯰の言葉に、悔しそうにするヤオロス。
『とどめをささなかったのは、不味かったか!』
悔しげな白煉狼の言葉に、ヤオロスは諦めず言う。
「諦めるな! ここで諦めたら多くの犠牲が出る!」
必死に拳を振るい続けるヤオロス。
その姿に、周りの住人から応援の声がかかる。
ヤオロスが肩で息をしていると、地泥鯰が嘲りの言葉をはく。
『貴様等の限界などその程度だ! さあ大人しく、私がこの町を滅ぼすところを見るが良い!』
「そんな事は、させない!」
必死に拳を振るうヤオロス。
「はいはい、力を無駄使いしない」
そういってヤオが、ヤオロスの手首を掴んでいた。
「君は……」
ヤオは、両手を大地に向ける。
『八百刃の神名の元に、我が使徒を召喚せん、大地蛇』
ヤオの右掌に『八』、左掌に『百』が浮かび、大地から大きな大蛇が出てくる。
同時にそれに押し出されるよう一匹の鯰の魔獣、地泥鯰が地上に押し出された。
『何だと!』
ヤオはヤオロスの方を向いて言う。
「早く止めをさしなよ」
ヤオの言葉に慌ててヤオロスが、地面に潜ろうとしていた地泥鯰に、炎の拳を打ち付けて滅ぼす。
その場にしゃがみこむヤオロス。
そして、ヤオロスから離れた白煉狼。
『まさか、八百刃様だったとは……』
驚きで言葉を無くす白煉狼。
周囲からの突き刺さる視線に、ヤオロスが打ちのめされて居た時、ヤオが笑顔のまま告げる。
「あちきの代役ご苦労様。さー、被害者を病院に連れてって!」
周りの人たちも慌てて動き出す。
呆然としているヤオロスに、ヤオは近づき言う。
「あなたもサボってないで、被害者を病院に連れて行くのを、手伝う」
『天罰を下さないのか?』
白煉狼の言葉にヤオが首を傾げる。
「どうして? そんなくだらないこと言ってないで働く」
そう言って自分でも大地蛇を操り、地面に沈んだ住宅を、元に戻していく。
「でか過ぎる」
ヤオロスの言葉に、無言で頷くしか出来ない白煉狼だった。
外にも怪我人が溢れている病院の、臨時配給所に隣接された席で、ヤオが事情を聞いていた。
「詰り、妹さんの仇である魔獣を探しているんだ」
ヤオロスが頷く。
『だからといって、八百刃様の名を騙って良い理由にはならないな』
さっきまで、病人を運んでいた武道獅子の言葉に、ヤオロスが頷き言う。
「はい。罰でしたら、妹の仇を討った後受けますので、どうか今回だけは」
ヤオが肩を竦めて言う。
「あちきの名前って騙ったからって天罰があたる事ってないよ。あちきを来る事を信じられず、名前を騙って呼び出そうとした人間には罰を与えたけど、それだって名前を騙った事でなく、信じられなかった事を罰したんだよ」
『へんな本の所為で、八百刃の名前は、有名すぎるほど有名でな、名前を騙ったからと言って罰していたらきりが無い』
白牙がフォローする。
呑気なヤオ達に、その場に居た誰もが驚く。
『懐が深いと言うか、何も考えてないと言うか』
戸惑う白煉狼。
「それでこれからどうするのですか?」
マーレの質問に、ヤオロスが苦笑しながら言う。
「仇の魔獣、あの万毒蠍を探す旅を続けます」
その時、後ろを通った医師の一人がこける。
ヤオはそっちを軽く見てから直ぐに続ける。
「あちきの名前使うのは構わないけど、暴利貪ったら駄目だよ」
その言葉に慌てて否定するヤオロス。
「二度と、貴方の名前を騙るなんてマネはしません!」
その夜、ヤオは一人の医師を病院から離れた広場に呼んだ。
「何の用でしょうか?」
その医師の言葉に、ヤオが少し困った顔をして言う。
「万毒蠍だよね?」
驚くが出来るだけ平然と応える医師。
「何のことですか?」
「違ったら、それでも良かったけど、あちきの勘は合ってたみたいだね」
ヤオの言葉にその医師が反論する。
「私は貴方が何を言っているのか解らないのですが?」
「あちきって、人に化けた魔獣くらい見破れるんだよ」
言葉を無くす医師。
「流石は八百刃様と言う事ですか」
大きな溜息の後、医師は蠍の魔獣、万毒蠍の姿に変化する。
「やっぱり、十中八九そうだと思ったけど本当にそうだったか」
「当てずっぽうだったのですか!」
隠れていたマーレが飛び出てくる。
「あちきでも、名前しか知らない魔獣を、人に化けた状態で判別するなんて無理だよ」
そんな事を呑気に言うヤオの後ろでは、信じられない物を見る顔で、ヤオロスが言う。
「どう言う事ですか?」
『高位の魔獣の中には、人に化ける事が可能な者が居ると、聞いて居たが……』
白煉狼が言った時、吸射雀が言う。
『詰り、ここに居る中で一番高位の魔物は、万毒蠍って事かよ』
白牙が空中で回転して、美青年姿になって言う。
「別に、わざわざ人の姿をとる必要がないだけだ」
「まあ、そうだな」
こっちも武人の様な姿になった、武道獅子が言う。
「変な対抗意識を出してるねー」
ヤオがそんな呑気な事を言った後、万毒蠍の方を向いて言う。
「でも、偶然見つけたって事でも無いのも事実だけどね」
首を傾げるマーレ。
「偶然じゃ無いって、どう言う事ですか?」
「万毒蠍は、医師をやってたんだよ、毒は人を殺すだけでなく、使い方によっては薬にもなる。その力を有効利用していた。話しを聞いたら、かなり重宝がられていた。そんな医師が、あの状況で、休憩とるとは思えない。特別な理由でもない限りね」
その言葉にヤオロスが言う。
「特別な理由なんて解りきっているだろう、自分を追ってきた俺達を殺すチャンスを狙って居たんだ! 白煉狼行くぞ!」
『おう!』
ヤオロスに装備され、白煉狼が炎を噴出す。
「妹の仇、ここでとらせてもらう」
『私にも死ねぬ訳がある。抗戦させてもらいます』
その長い尾を振り上げる万毒蠍。
そして両者の戦いが始まる。
白煉狼を纏ったヤオロスの攻撃は強烈だったが、万毒蠍の動きは素早く、的確で、攻撃力が大きい技は避け、弱い技は、殻で防いで居た。
いきなりの戦闘に驚くマーレ。
「ところで聞きたい、さっき言った訳とは、本当にあのヤオロスが言った訳なのか?」
まだ人の姿のままの武道獅子の言葉に、ヤオは首を横に振る。
「全く逆、ヤオロスっていうか、自分が若く未熟だった頃に殺してしまった者の兄が、無事か確認したかったからだよ。ヤオロスたちが気付いていなかったあの状況だったら、幾らでも方法があった筈だよ」
「言わなくて、良いのか?」
武道獅子の言葉に、肩を竦めるヤオ。
「それを言ってどうなるって訳でも無いしね。因みに、この勝負どっちが勝つと思う?」
武道獅子は少し双方をみてから言う。
「ヤオロスも戦闘慣れしているが、万毒蠍も己をよく知り、有効な戦法を使っている。ヤオロスが言うような奴だったら、勝負は解らない。しかし八百刃が言うとおりの性格だとしたら勝てない。正直、いまだ戦っているのが不思議に思う。相手に殺されてやろうと、おもってもおかしくない気がするが?」
苦笑するヤオ。
「魔獣って、そう言うところあるよね。下手に自分の命に制限が無いから、自分の命の使いどころを常に気にする。まー、だからこそ万毒蠍は必死に生き残ろうとしているんだけどね」
そんな会話をしている間に、ヤオロスが数度目の必殺拳を放つ。
万毒蠍は、それを紙一重でかわした。
「お前だけは、絶対に許さない!」
『仇は絶対とる!』
ヤオロスと白煉狼の強い思いは、地面すら熔かす。
『私もここで滅びる訳には、いかない!』
万毒蠍が攻撃を放った、ヤオロスは大きく跳び避けようとしたが、熔けた地面に足を滑らせる。
万毒蠍の尻尾がヤオロスに迫った。
『しまった!』
白煉狼が、痛恨のミスを嘆いたその時、万毒蠍の尾が、ヤオロスの直ぐ前の地面に突き刺さる。
『抜けない!』
白煉狼の力で、熔けた大地に万毒蠍の尾が、完全にめり込む。
「貰った!」
ヤオロスの渾身の一撃が、万毒蠍に襲い掛かる。
「そこまでだよ」
ヤオがヤオロスの一撃を、あっさり受け止めた。
「何で邪魔するんですか!」
ヤオロスがヤオを睨むが、ヤオが普通の顔で言う。
「妹の仇に助けられたまま終わって良いの?」
忌々しげな顔でヤオロスが万毒蠍を見る。
「何故、外した?」
万毒蠍は何も言わず、尾を抜くと、距離をとるので、ヤオが解説する。
「簡単。殺したくなかったから。今の万毒蠍に人は殺せない。最初から、毒で動けなくするだけのつもりだったのに、クリーンヒットしたら、貴方が死ぬかもしれないからだよ」
「妹を殺したお前が、そんな事を気にすると言うのか!」
ヤオロスの言葉に、万毒蠍が言う。
『私の罪は、許されるとは、思っていない。そして、滅びて許される程軽い罪でもない。私には罪を償い続ける義務がある』
ヤオロスが言葉を無くす。
そんな万毒蠍にヤオが言う。
「だったらあちきの使徒になりなよ。普通の魔獣でいるより、先が長いよ」
慌てて反論するヤオロス。
「何故です。何でこんな奴を使徒にするんですか!」
ヤオははっきりと言う。
「貴方に文句言われる筋合いは無いよ。そうそう、あちきの使徒になった時は、戦いを挑む場合は、あちき通してね」
悔しげな顔をして、その場から走り去るヤオロス。
『何故、助けてくれたのですか?』
万毒蠍の言葉に、ヤオは寂しげな顔をして言う。
「かたき討ちで人は幸せにはなれないよ。それにこうすれば彼の恨みはあちきに集中する。貴方に命を救われた事実を無視してね」
驚くマーレ。
「不要な恨みを買うタイプだからな」
呆れた表情でそう言う白牙。
『いいな、人間の姿になれて』
いじける吸射雀を連れて、万毒蠍を、新たな八百刃獣にしたヤオ達は、宿に帰るのであった。
ヤオ達が乗ってきた、バイダー線のホームに立つヤオロス。
『良いのか?』
白煉狼の言葉に、ヤオロスが答える。
「いまのままでは八百刃様に護られている万毒蠍を倒せない。どうにかして使徒契約を破る方法を見つけ、そして奴を滅ぼすんだ!」
頷く白煉狼。
やって来た列車に乗ろうとした時、ヤオが駆けてきた。
呆然とするヤオロス。
「何の用があるというんだ!」
ヤオは右掌を差し出して言う。
「地泥鯰倒すのを手伝ったんだから手伝い賃払って。あちき本気でお金ないんだから、貰えるお金は貰っておく事にしてるの」
言葉を無くすヤオロス。
そんな二人を離れて見ていたマーレが言う。
「あれって、本気で言っていますか?」
白牙が呆れきった表情で頷く。
『本気だろうな』
交渉の結果、ヤオは、金貨四枚を貰えたが、それを見ていた信望者候補を失う事になった。
「これで、マーレにお金返せて、卵料理食べれる!」
本当に嬉しそうなヤオであった。
○新八百刃獣
・万毒蠍
一万以上の毒を体内で生み出して、尾の針から打ち込む事が出来る。
毒の中には人の治療になるものもある。
生まれた当初は荒れていたが、今は落ち着いて居て、人を救う為に旅をしている。
元ネタ:忍神さん(大感謝)
○その他魔獣
・白煉狼
白い炎を纏い、攻撃できる。
人の体に鎧の様に装備される事も出来る。
ヤオロスの妹に助けられて、一緒に旅をしている魔獣。
元ネタ:エアスト・ノインさん(大感謝)
・地泥鯰
地面を泥に変化させて泳ぎ続ける、迷惑な魔獣。
元ネタ:忍神さん(大感謝)




