弁当戦争 一応、終結?
鳥居本。この前、山田に告白してフッたのにも関わらず、未だに求愛行動を繰り返すクラスメイト。
冬海と同じく理由も無く常に巫女服姿で、頭には鳥居の形のマークが付いた工事現場で良く見かけるヘルメットを付けた女性。
鳥居本は手に小さめの弁当箱を2つ持っている。そう、2つ。
「山田先輩、今日は私、先輩のために弁当を作ってきたんです。もしよろしければ、食べてもらえませんか?」
そう言って、鳥居本がふたを開けるとご飯には鮭のふりかけで作ってきただろうハートマークの上にのりで『愛してます』と書かれている。
無駄に手の込んだ弁当である。
「ふふふ。神に仕えし、神官が何を……。私のこそ、最強の食物です」
そう言って浅尾が出したのはさっきのサンドウィッチ。肉やレタスなどがはさまったサンドウィッチである。
後、浅尾。最強の食物って……お前は俺を殺す気か?
「山田先輩、人の名前をきちんと言えない人の食物は食べない方が良いですよ?」
「……悠久の知識を得たこの私、浅尾の料理が神の使いごときに負けるはずがありません」
そう言いながら、お互いを睨む鳥居本と浅尾。
人の名前をちゃんと言えないのは、どっちもどっちである。
山田はそんなツッコミを入れられないほど、2人の気に圧されている。
「「さぁ、山田先輩(血吐鬼)!私の料理を先に食べて!」」
「えっと……」
これはどちらを食べれば良いんだ?
どっちを選んでも、どちらかを喜ばせて、どちらかに怒られそうな気が……。
トン。
「……ん?小此木か」
山田が振り返ると、そこには小此木の姿があった。
肩に手をぽんと乗せた小此木は、山田にこう助言をした。
「諦めて2つとも喰え」
結局、山田は2人の料理を食べ、2人それぞれに喜ばれ怒られたりしたのであった。




