弁当戦争 廊下
昼休み。山田と小此木、それと冬海は食堂へ向かっていた。
お題:
ふりかけ 爆弾 青春の1ページ
多分、その日の山田の青春の1ページは、黒色に染まっていたのだろう。
昼休み。
山田は、オペラ座の怪人のような派手な装飾の仮面を顔に付けた小此木と季節に関わらずマフラーを巻きつける冬海と共に、昼食を食べる場所を探していた。
「て言うか、小此木。お前は良いよな、愛人弁当で」
「愛人じゃない。これは我への……辱めだ」
「お前、どんな弁当を食べてるんだよ」
小此木の持っているのは、少し大きめの重箱。それは小此木家の者が作ったのではなく、横にいる冬海が作った物だ。
「ふふふ……。山田君、人を落とすにはまず腹からと言うじゃないですか」
「別に異論は無いけどな。いつも大変だな、冬海」
「いえいえ。大変じゃありません。冷凍食品だけだし」
「まぁ、それでも……」
「おかずや米を詰めるのは、お母さんだし」
「訂正しよう、全然頑張ってないな」
「そう。私が頑張ってるのは……小此木さんを辱める事です!」
「嫌な所、頑張ってるよ!」
そう言う冬海の持つ弁当は、小此木の物より少し小さめの重箱。それでも、女性が食べるにしたら少し多すぎるくらいだ。
ちなみに山田の昼食は、まだ手元にない。何故かと言われれば山田の昼食は購買のパン。
母親が作らないかと言われればそれはない。だって母親は料理が下手だから。
『爆弾じゃないけど、舌が破裂する料理。息子、食べてみる?』
と言われた時は、山田もさすがに命の心配をした物だ。
そんな感じで、3人が楽しく食堂へ向かっていた。
この頃はまだ、3人は知らなかった。
これから食堂で何が待っているのかは。




