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小高大学雑記録  作者: アッキ@瓶の蓋。


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卒業戦争

浅尾(あさお)の家に向かった俺達は、浅尾の妹である浅尾美寅(あさおみとら)と出会った。



お題:

卒業 告白 桜の木の下

見かけ倒し。

浅尾(あさお)に関してはその言葉は的を射た言葉であるのだけれども、彼女の家は完璧なまでに見かけ倒しでは無かった。浅尾の豪邸はきちんとした、まともすぎる豪華なきらびやかな物だった。

中には豪華な調度品、無駄に豪奢な肖像画が壁にかけられており、赤いカーペットがかけられている階段に長髪金髪の美少女が居た。

腰の辺りまで伸ばされた金髪に、黒のゴスロリドレスを着た美少女。やはり浅尾の家族なのか、浅尾をそのままほんの少し幼くしたような少女。それが僕が抱いた印象だった。



「むっ……美寅(みとら)か」



そんな少女を見て、浅尾は声をあげた。



「やはり知り合いか……」



と、俺、山田はそう言う。そう言うと、「はい、中学3年生の妹の美寅です」と浅尾は妹を自己紹介した。そう言えば浅尾が、「妹は中二病ではなく、中三病です」とか言っていたな。



「どうも、美影(みかげ)姉さまの妹の浅尾美寅です。お姉さまのお友達の方ですか?」



うん。非常に稀な、大人しめの人格だ。まぁ、中学3年生の女性の人格はこの程度だろうし。



「ふははは! じゃあ、遠慮なく上がらせて貰うとするか!」



「おおっ、流石ですね。小此木(おこのぎ)さん! その大胆不敵な態度、流石です! そして結婚してください!」



……そう。俺の周りに居るのはこの2人、小此木とか冬海(ふゆうみ)とかだしな。



「ふぅーむ。さすが美影姉さま。友の方々も変な人ですね。あぁ、桜の木の下に埋めたいなぁ」



「……あれ?」



おい、ちょっとおかしな言葉が聞こえたぞ。可笑しな、と言うか物騒としか言いようが無いのだけれども。



「浅尾美寅。家族の事をこう告白するのは恥ずかしいけど、彼女は殺戮衝動が強いの」



「殺戮衝動……って」



いや、色々と可笑しいよ。

今回で最終回なのに、最終回でもまともなキャラじゃないのかよ。



「人生は全て死に向かっているでしょ、お友達の皆様。だから私は、死に対して非常に興味があるのです。

殴って殺したり、刺して殺したり、雷や炎などで殺したり。死は本当に大事です」



「お、おい。流石の我でもこれはカバー出来んぞ」



「そ、そうですね。小此木さんの技量を持ってしても、これは無理……ですね。そして、結婚してください!」



「結婚、つまりそれは人生の墓場に二人で行こうと一緒に行こう?と言う隠語ですか?

……さすがですね。もう死後を話してるなんて」



いや、冬海は別にそう言った話をしたい訳じゃないと思うぞ。



「なぁ、どうにかしてとめろよ。姉なら」



「……いや、山田さん。あれは無理ですよ」



そう浅尾姉と一緒に話して居たのだけれども。それをあざとく聞きつける浅尾妹。



「むっ、あなた様が美影お姉さまが良く話す血を噴き出して世界を腐らせる破壊の使者である魔王・山田ですか!?」



「お前、妹にどんな紹介してんの!?」



少なくともこの自己紹介の仕方は無い。同じ大学の人の知り合いの紹介がどうしたらそんな紹介になるのか非常に不思議である。



「貴方様にあったら是非とも聞きたかったことが! どうやって、このややこしい性格のお姉さまの相手が出来るようになったんですか!?」



「おい、本人の姉が居る前で話す話じゃないだろ、それ」



「山田様にあったら是非ともお頼み申し上げたい事が!」



もうこの時点で嫌な予感しかしないのだが。



「一応、言ってみろ」



「是非とも、お姉さまを中二病から卒業してほしく……。中二に歳が近い私はともかく、お姉さまの痛いですので!」



だから本人を目の前にして話す事じゃないって。




「後、中二病はたとえ中二だろうが中三だろうが痛いものは痛いから」



「そ、そんな……! 姉さまが19までは大丈夫と仰りましたのに……」



浅尾よ、そんな歳まで中二病は改善する気は無かったのかよ。



その後、僕達はテスト勉強にいそしんだのであった。

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