浅尾戦争
浅尾美影。
ある日、山田達はそんな彼女の家に行く事になり……。
お題:感想文 ペットボトル 妹
高校と大学の違いと言えば、やっぱりレポートだろう。
山田、小此木、冬海、浅尾の4名は文学の宿題、感想文の宿題を出されたので、皆でレポートを仕上げようと家に向かっていた。
そう、浅尾の家に。
「しかしまぁ、浅尾が場所を提供してくれるとは思わなかったぜ」
体格の良いスポーツ刈りの男性、山田は目の前を歩く浅尾にそう聞く。
「ふふふ。たまには皆で暗黒演武としゃれ込むのも悪くは無いだろう」
と、中二病的な言い回しをする肩の辺りまで伸びた金色の髪に、右目が赤と左目が青のオッドアイ、そして黒のゴスロリドレスを着た美少女、浅尾はそう言う。
「ふむ。我の記憶が正しければ、確か浅尾は文学的表現が苦手だったな」
「そうですね。小此木さんの言う通りです。そして、結婚してくださーい!」
小此木と冬海の両名は、2人でそう言う。
「ち、違うもん! 少し……彼らの理解度が足りないだけだ。要するに我の暗黒度が足りないと言う事なのだろう」
「むしろそれが進めば進むほど、理解出来ないだろう」
昔、浅尾の文章を見せて貰ったけれど、お世辞にも読めた物とは言えない文章だった。
言いたい事は分かるのだが、独特的な言い回しや独自の単語を多く使うので、非常に難解な文章になっているのである。
「今日も、ペットボトルを『水封筒』とか、スーパーボールを『超跳躍弾』とか……。
異常なまでな単語になっているからな。読みづらいったらないぞ」
「それを全部読むお主に、我は感動を覚えるな」
……と。
そう小此木が嘆息を吐く時には、もう4人は浅尾の家に着いていた。
「さぁ、ここが我が現世での住処、浅尾城である!」
浅尾がそう言う家は、とても大きな豪邸である。浅尾が城と表現したのも分からなくもない。
浅尾って、金持ちだったのかと4人はそう思う。
「さてさて、早く家に入れ。特に魔王・山田!」
と、ビシッと山田に指を指す浅尾。それに対して、「誰が魔王だ」と山田はツッコミを入れる。
「山田は気を付けろよ。現世での私の妹がお前との現世での再会を楽しみにしてるからな」
「……どう言う妹なんだよ」
と、山田はもしかして、浅尾の妹が中二病じゃないと良いなと思っていた。
「ちなみに我の妹は、中二病ではない。中三病だ」
「なんだよ、その新単語!?」
なんだろう。もっと不安になってきた。




