告白戦争 下駄箱前
ある日、山田が学校に登校して下駄箱を開けるとそこには、謎のラブレターが!果たして、今回はどんな騒動が起きてしまうのか?
お題:
ラブレター、ソーセージ、跳び箱
ある日。
学校に山田が登校してくると、向こうの方で考え込んでいる知り合いの姿が見えた。
恐る恐る近付き、山田は
「うっす、小此木」
と軽い挨拶をした。
オペラ座の怪人のような派手な装飾の仮面を顔に付けた、少し高身長の男性。どこ出身かも分からない住所不定の謎の生徒、小此木は
「ふむ、愚民よ。今日も我にとっては良き日になりそうだ」
と、どこの王族と呼べるかのような挨拶を山田に返す。
「うむ、一応この馬鹿に聞いてみるか」
まるで山田を馬鹿にしてるかのような言葉であるが、この程度では山田は怒ったりしない。
もう慣れてしまっているのだ。改めて時の流れは残酷だな、と山田が思っていると、
「なぁ、山田。貴様の下駄箱に、妙な物は入っていなかったか?」
「あっ?妙な物?」
妙な人ならば、目の前に居るが。
「ああ。今朝、我はいつものように、例のごとく、道を歩いて学校に登校してきたわけだが。
下駄箱を開けると、このような物が入っていたのだ」
そう言って、小此木が山田に見せたのは……魚肉ソーセージ。しかも食べかけ。
「なんだ、これは?」
「いや、俺が知るか」
山田はそう思いながら、下駄箱を開けると、なんと中には赤い血文字で『ラブレター』と書かれた手紙が入っていた。
「いや、怖ぇよ!」
謎の手紙を靴と交換して、下駄箱から取り出す山田。
「まぁ、とりあえずこんな事をして来そうなのは、俺の知り合いにたった1人しか居ない」
山田の脳裏には、夏だろうとマフラーを巻くあの少女の姿が浮かんでいた。
「行くぞ、小此木!」
下駄箱の前で必死に魚肉ソーセージが食べられるかどうかを思案している小此木を連れて、山田は教室へ向かった。