魔法少女戦争
魔法少女のマスコット。
それが発見された所で、また一波乱が起きてしまうのだった。
お題:
人形 目安箱 鉛筆
「これ、どうですか!?小此木さん!」
「うーん……。塗りが甘いなー」
6月の雨降るマイナスのこの頃。
スポーツ刈りの男性、山田が教室を開けると、小此木と冬海が2人で机の上の物を見ている。
オペラ座の怪人のような派手な装飾の仮面を顔に付けた男性と、部屋の中だと否応にも目立つマフラーをしている女性が、真剣な眼差しで1つの物を見つめている光景は、あまりにも場違いと言う感じがする。
「なにしてるんだ」
正直言えばかかわりたくなかった山田であったが、友達であるために無視する訳にもいかない山田は2人に近付く。
「おぉ、来たか。山田」
「おはようです、山田君」
声をかけると2人は山田に挨拶をする。
「いえ、少し人形の確認です」
「そう。ちょっと我は山田、貴様への届け物の確認でしてね」
「人形?届け物?」
その二言に全く心当たりが無かった山田は、机の上に載っている品を確認する。
「なんだ、これは?」
そう。
机の上に載っているのは、魔法人形のフィギュア。
青の水晶を胸に付けた桃色の露出度が高い服を着た、17くらいの魔法少女のマスコット。
「魔法勉強少女レッスンちゃんのマスコット。鉛筆や消しゴムなどの筆記用具を使って、悪の帝国・怠け者衆を倒すと言う、今人気の全年齢対象のアニメです」
「全年齢対象ね……」
こんな巨乳が少し見えそうな格好をしているのが、全年齢対象で本当に良いのだろうか?
「ちなみに、この格好で10歳らしいです」
「10歳!?」
これで!?発育良すぎだろ!?
「落ち着け、山田。我の予想から察するに、変身と共に身長だけ伸びてると考えるのが妥当だろう」
「それはそれで問題があるぞ!」
「そうですよ、小此木さん。そして結婚してー!ここは髪だけ伸びたと考えるのが妥当でしょ?」
「ハゲなのか!?彼女はハゲなのか!?」
ちなみに彼女の髪の長さは短く、肩の上の辺りまでしかない。これで髪だけしか伸びてないのだとしたら、
「つまり、160cmくらいのDカップの10歳の美少女。ただし、ハゲ」
「それは可哀想すぎる!?」
違和感ありまくり、まくりまくりだった。
「なんか日高先輩がこの前のお礼と言う事で、山田君にあげるみたいですよ?
さっき、持って来られたところです。相変わらず、たどたどしいまでの片言でしたけど」
「あれは片言ではなく、本人の素だ。あれで文章表現の講義、成功してるから分からないんだよなー」
まぁ、あの従姉は文章だとお嬢様が書いたような丁寧な文章を書くから凄いんだけど。
にしても、と山田は思う。
(エロ本持ってきてやった例が、まさかのこれって!?)
さすがの山田も引いてしまう。
「そ、それは……!?」
と、ここでもっとややこしい人物が話に加わってきた。
まぁ、一番この話に加わりそうな相手である。
日本人にあるまじき金色の髪。右目が赤と左目が青のオッドアイ、そして黒のゴスロリドレスを着た中二病真っ最中の女性、浅尾である。
「こ、これは!毎週木曜深夜25時10分からABS放送にて好評放送中の黒動画、『魔法勉強少女レッスンちゃん』の動作人形!
『暗黒の目安箱』や『マウス3rd』、『Q4』などが色付き動作人形を作るのに対し、それを壊すように色を付けずに売った衝撃作!それの色を全てきちんと、塗られたここまで完成された品を見るのはすばらしい!」
なんか凄い興奮している。
……あ、そうだ。
「浅尾、良かったらその魔法人形、居るか?」
「おぉ……!さすが、血吐鬼!話が分かるな!」
いや、だってさ。
そんなの持って、学校に居られないだろと、浅尾に気づかれずに1人思う山田であった。




