潜入戦争 そして伝説に
「ふさわしい、これが、阿久津には」
と、生徒会に当てられた部屋で今日も2人で作業をしていた阿久津に、日高がいつものような特徴的な会話文でがそう声をかけて物を渡してくる。
白い、癖っ毛が付いた長い金髪にエメラルドグリーンの瞳をした中性的な顔立ちで、高身長で服の上からも分かる非の打ち所の無いスタイルをした、美人の女性である所の日高の手に握られていて、青い蝶ネクタイを付けた水色の制服を着ているどこにでも居るような黒髪ショートの男性、阿久津い渡されようとしている物体。
それは確かに日高が持つより、阿久津が持っている方が良い品だった。
ただ、今この場で阿久津が受け取るのは、微妙な品だが。
「日高」
「……?何、阿久津?」
可愛らしく、小さく首をかしげる日高。
「これはなんだ?」
「エロ本」
日高は聞かれた質問に、堂々と答えた。そう、阿久津が持っている、山田が持って来ていた物。
それはHな気分にさせる、あのエロ本だった。
「そうじゃねえよ!なんでここで、エロ本を俺に渡すかが聞きたいんだ、俺は!
なんだ、遠回りな嫌がらせか何かか!」
「辱め?」
「それだったら、余計悪いぞ!」
「違う、辱めとは。訂正、前回の、これは!」
「前回の訂正……?もしや、俺のロリコン疑惑のか!」
前回(生徒会戦争)にて、阿久津は日高にロリコン疑惑を持たれているのである。
「持って来てもらった、居るから、従弟が」
「可哀想だな、その従弟さん」
あったら、話があいそうだと阿久津は思った。
「治す、これで!」
「いや、そう言われてもな……」
元々、ロリコンではない阿久津は、治すと言われてもどうすれば良いのか見当がつかない。
返答に困っていると、
「そう……。無理か、これじゃあ……」
と、日高はエロ本を高らかに上に掲げて、
「だって、ロリ率が高い」
「それは弟さんのせいじゃないだろ!」
まさかこんなことに使われるとは丸っきり思ってないだろうなと、阿久津は思った。




