生徒会戦争・前編
生徒支援会、通称生徒会。そこで話をしながら、作業を進める2人の物語。
お題:
タウンページ 電子辞書 体育倉庫
小高大学の生徒支援会、通称生徒会。正式名称は、生徒支援サークル。
学生達が学校で楽しく居られるように活動する生徒が作ったサークル。
生徒会とは違って委員会ではなくてサークルなので、役職は無いのである。
完璧な生徒支援サークル。
今年で20年以上の伝統あるこのサークルに2人の人間が居た。
1人はどこにでも居るような黒髪ショートの男性。
青い蝶ネクタイを付けた水色の制服を着ており、青い瞳は今処理している書類を向いている。
彼の名前は、阿久津。小高大学3回生の、生徒会のベテランである。
そしてもう1人、白い肌、癖っ毛が付いた長い金髪にエメラルドグリーンの瞳をした幻想的な女性。
中性的な顔立ちで、高身長で服の上からも分かる非の打ち所の無いスタイルをした、美人の女性。
ボタンが付いた黒のシャツの上に黄土色のジャケットを羽織り、花柄のスカートを履いた彼女の名は、日高。小高大学3回生の、成績優秀でスポーツ万能の完璧な美人。
「しかし、日高さん。男と2人で居るのに、何の心配もしてないんですね。
学園一の美人の人は、襲われなれてるから余裕そうで宜しいですな」
と、阿久津は日高を皮肉ったような言葉を並べる。
「何も心配しない、私は。そんな事をしない、阿久津は」
と、日高は語順を逆にした独特の喋り方で答える。
「俺は男と見られていないのか、全く最悪だな。と言うか、他の人は何をしてるんだか。
さすがにこの量の書類は2人ではきついぞ」
阿久津は軽くタウンページ2冊分はありそうな積み上げられた書類の山を叩く。
サークルの許可申請用紙から、学食の新メニュー考案まで。平凡な物から色物まで。
多種多様に揃えられた、書類の山である。
「問題は無い、私達ならば。出来ますから、何もかも、2人ならば」
そう言いながら、日高は2枚ほど書類を置き、さらに書類を10枚ほど取って処理を進める。
全く作業が早い物だと、阿久津は思う。
「辞書か、何かかよ。お前は」
「動く、電気で、脳は。だから、あってる、電子辞書で。好き、しめさばが、私は」
「なんだよ、その最後の1文は」
全く持って関係ない。何故、ここで好きな物をカミングアウトするのかが理解出来ない。
「知りたがる、私の情報を、他の人は。だから……」
「俺も知りたいかって?」
確かに日高はとても美しい。だからと言って、全員が全員、お前に興味を持っている訳ではない。
「残念ながら、お前に関して俺は全く興味が無い。全ての男がそうだなんて、勝手に思うなよ」
と、阿久津が言うと、日高はしばし考えるそぶりをして、こう言った。
「ロリコン?」
「断じて違う!」
どうして日高に興味が無いと言っただけで、そうなってしまうのかが分からない阿久津は大きな声を上げた。




