6・7層が意外と拍子抜けだった。
「6層も7層もなんか拍子抜けだった」
壊れた自爆ブリキ人形。
視界妨害メインのブリキカメラ。
正直言って拍子抜け。
確かにD級上位じゃ攻略できないとは思う。
爆速で自爆してくる自走爆弾。
背中の無限ネジ巻きを斬り捨てて、背中の信管を抜く。
それが自爆ブリキ人形こと、ランナー。
奇襲して来てはシャッターをきって視界を妨害してくる嫌がらせ野郎。
名前はパパラッチ。
でも、正直もっと強いかと思っていた。
{拍子抜けぇ……?いや確かに思ったよりは弱かったけど………どっちにしろ化物じゃん}
{やっぱ人外}
「次……8層か。そろそろ中ボスぐらい来そうだなぁ。手応えないしさっさと来てほしいな」
最悪逃げるから、馬鹿強い敵来てほしいなぁ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
{ボス部屋キタァァァァ}
{ボス!ボス!ボス!}
8層に登ってきたとき、その先に見えたのはだだっ広い部屋。
ガラス張りの外は、青空。
上から下まで、一面の。
まるでこの場所が地上の見えない程の天空に存在するのかと錯覚するほどだ。
中心には、バラバラに破壊されたブリキの人形。
「………絶妙に怖くない?このブリキ人形」
顔はピエロっぽい塗装だけど、ところどころ剝げてる。
どいつもこいつも絶妙に錆びれてるんだよね。
………なんか動いてるよね。
絶対に動いてるし、全然ボス出てこないし、多分こいつがボスだよね。
部屋の中心に足を進める。
このダンジョンの上下階層の移動手段はエレベーター。
撤退するときは気を付けないとね。
バラバラなブリキ人形が盛大に動き始める。
腕、足、胴、頭。
それぞれが独立して、本来あるべきだった場所へと蠢いていく。
30秒もすれば、バラバラになる前の姿を取り戻す。
「うーん、絶妙に怖いのと一緒に不気味もセットになったね」
{ボス目の前にして実況ですか。余裕ですね()}
{ワンパンとか辞めてね?}
「別に倒せるとは思ってないよ。倒せるなら倒すけど、一応偵察のつもり」
初回挑戦で倒せれば御の字くらいのノリ。
一応本気で戦うけど、辛勝もしくは苦戦くらいの感覚だと思う。
今までの難易度で順当に行くならね。
モンスターが奇声をあげる。
名前は…………錫の傀儡師
傀儡師ねぇ。
召喚系の戦闘スタイルがメインかな。
ボスが右手に持っているラッパを吹く。
それに呼応するかのように、上空から未塗装のブリキ人形が降りてくる。
腕が欠損した人形。
明らかに異形の人形。
10体程度の召喚された人形に、完全な状態のブリキ人形はなかった。