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おはよう。

ベットから飛び起きる。

まるで真夏かのような大量の発汗が、小さくなり、少女と言うべき体に不快感を与える。

今は5月。

いささか季節外れすぎるか。


「またあの夢か…………クソったれ」


あの時の感触が未だ明確に手に残っている。

もう半年だってのに。

刃こぼれした刀が肉を切り裂く………、いや、引き裂く感覚。

首の骨の関節を引き剥がす……刀の手応え。

微笑みながら胴体から………千切れ落ちる頭………部………の……

吐き気を催して、近くのゴミ箱に吐き出す。

とても少女から出るとは思えない嘔吐きと記憶の酸臭だけが、部屋を支配する。


息が荒い。


吐けば吐くほど、記憶の残滓が鮮明に精神を嘲笑う。

まるでその時の判断を責め立てるかのように。


10分は経っただろうか。

やっと吐き気が収まる。


ゴミ箱に入っていたビニール袋を縛ってゴミ袋に突っ込む。

未だ体には汗の不快感が残り続けていた。


「シャワー浴びるか………」


風呂場へと足を進める。

その行為が、不快感と共にあの地獄を収めてくれると信じて。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いささか最悪な朝。

あのあと、話をのらりくらりと躱してなんとか露音を追い出した。

そのまま寝たらこの有様。

しかも組合の人から鬼電が来ていた。

着信音は直ぐ気付く方なんだけどね………


現在時刻AM6:00。

恐らく世の高校生はそろそろ起きて学校に行く準備をする頃合いか。


着信音が響く。

組合の人………じゃない。

学校か………しかも神津先生から直電だし………


[はい、夕月です]

[………まじで変わってんのか]

[組合から連絡が行きました?この通り女の子になりましたよ。それで、何の用ですか?]

[ん、ちょっと書類関係で学校に来てほしいんだ。服は………私服でいいぞ]

[わかりm]


返事の途中で電話が切れる。

相変わらず返事が始まったら切るんだよな………あの人。

根がいい人だからあんま強く言えないけど………


はぁ………着替えて学校行くか………


服は、昨日の検査待ちついでに近くのモールの量販店で購入済み。

別に男だったときからおしゃれは嫌いじゃないしね。

むしろこの美少女を好き放題着せ替えできることに興奮すら覚えるまである。

………流石にキモいか。




着替えて家を出る。

黒のオフショルダーの長袖。

オリーブと灰色のチェック柄スカート。

あと、ロングの髪を束ねる黒ベースにシルバークロスのチャームのついたヘアゴム。

我ながら美少女の素材を活かした素晴らしいコーデだと思う。


正直、あまりにも可愛すぎて視線が痛い。

特に女子高生。

まるで人形でも見るかのような目で見てくる。

なんならうちの学校の生徒だしね。


私立冬幸高等学校。

ダンジョンが不安定なものだってわかってたから中卒はまずいと思って。

それで、ダイバーの収入で強引に入った学校。

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