少年少女は魔法使い

0章 何度目?

　桜はとうに散った、5月の始まり。ボクたちは散った花を数えることはない。

　遠くから聞こえる少年少女の笑い声。表では幸せそうに見えるのに。

　人間誰しも願いや望みを持つものだ。それ故に、悩みを生む。

　あの時の記憶もいつか消える。ボクでも逆らえない力だ。ここでどう足掻こうとしたところで、運命は変わらない。すでに決まった道だ。

　…ああ、記憶が消えてゆく。ただ、微かに残った一瞬で僕は思う。

　これは、今は、一体何度目だ？

　…考えるだけ無駄か。

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