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もしも平女に転生したら

作者: 雨樋 朔

ある日朝起きたら、平安時代の女性「平女」に転生していた。私の前世は楽器屋で働いていた24歳の女、清水紫音。別になんともない不満のない人生を送ってたんだけど、唯一の心残りとしては、彼氏いない歴=年齢であることくらいだ。この一つの要因のせいで、私の人生は薄っぺらく感じる。彼氏がいないだけでこうも悲しいものか、恋愛というのは恐ろしい。まあ、そんなこと言ってても辛く悲しいだけなので、開き直って平女ライフを楽しもうと思う。

「とりあえず、気が滅入ってるから外歩こうかな」

「ちょっと待ちなさい。どこへ行くのです?」

声をかけてきたのは私の平安の母(多分)だった。

「ちょっと外を歩こうかと」

「あなた、そんな格好で行くのですか?」

「だめなのですか?」

「そんなこともしらないの?異性に顔を容易く見せちゃいけないこと知らないの?」

「なにそれめんどくさい」

実際顔を隠さずガンガン外に出る女性もいたんだとか。そういった人は気が強い人だったらしい。しかし私は歩けるほどの度胸の持ち主ではないので、外出は諦めて家では、顔を隠すことにした。

今思えば十二単重いし、髪の毛も重いしでいいことない。恋もしたいのに。


平女になってから一週間たったある日。私の元にある噂話が回ってきた。最近集団で私の家の周りをうろうろする貴族の男が現れたそうだ。その男は隣の寝殿に住む貴族らしい。外に出ないからわからない。一応平安時代の警察に助けを求めようとしたが、母曰く平安時代の求婚らしく、日常茶飯事なので助けを求められなかった。いや怖すぎだろ!女性があまり外に出ないからって(人による)そんな恋愛方法ある!?今まで恋愛したことないのにアブノーマルな恋愛しなきゃいけないの?怖い。怖すぎる。理解できない。


その2日後

視線を感じるようになった。色んな方向からたくさんの人がこちらをみている気がする。このことを母に相談してみた。

「最近視線を感じるようになったんだけど」

「あれじゃない?垣間見じゃない?」

「垣間見?」

「文字通り垣の間から好きな人を覗くっていうやつ。これも結婚するためのステップよ」

「キショ!」

流石にやばいでしょこれは。令和だったらアウト。平成でもアウト。昭和は知らん。これは結婚するためのステップというより、犯罪でしょ。プライバシーの侵害もくそもないわ。ていうか垣間見るの語源って垣間見からきてるのか。いやいらん情報!どうでもええわ!


さらに2日後

私の家の周りをうろついて、垣に勝手に穴を開け垣間見るやつから和歌が届きました。これは今で言うプロポーズだ。そして私が返歌を送り、男性が私の家に来れば結ばれる。そのあと、後朝の文(きぬぎぬのふみ)(感謝の和歌)を送る。これを送らなければ一夜限りの関係にしたいという意味になるそうだ。その後3日家に通えば結婚が成立する。けど私は一応心の中は平成生まれの人間。流石にこんな恋愛は本望ではない。あと和歌がなにを言いたかったのか、わからなかった。私でもわかる。こいつ和歌の才能がない。なので私は返歌を送らないことにした。


一週間後

「あんたいつになったら結婚するの?」

「いつってそもそもこんな結婚の仕方望んでないもん」

「どうしてこんなふうになってしまったの?」

いやそもそも私平安の人間じゃないんだし、平成生まれの人間にはわからん。

「あの向かいの寝殿の子はもう3回目の結婚をしたじゃないの」

「は?」

平安時代は一夫多妻制で妻の方も何人も夫がいる人もいるようだ。これ私の感覚がずれてるのかはわからないけど、平安の恋愛の価値観ってどうなってんの。

平安時代の恋愛の価値観に疑問を持った途端、目の前が真っ白い光に包まれた。しばらくして目を開けるとそこは知らない天井があった。平安時代の寝殿造でもなく、自分の家でもない。辺りを見渡すと病院のような感じの部屋にいた。

「あら、目を覚ましたようね」

聞き慣れた声だ。

「お母さん!お父さんも!」

「あなたどうだった。平安の暮らしは?」

「なんで知ってんの?」

「知ってるも何も、平安時代にタイムスリップさせたのは私たちの仕業よ」

「え、なんでそんなことを」

ここまで無言だったお父さんが口を開いた。」

「お前もそろそろ結婚を考えて欲しい。でもお前は24年間、結婚の話どころか彼氏すらもできたことがないじゃないか。だから平安時代の異質な恋愛の価値観を見せて、こんな時代に生まれなくて良かったなって、今の時代はちゃんと人を選ぶことができるぞってことを実感してもらいたかった。そして今も昔も結婚しなかったら親がうるさく言うことも実感して欲しかった」

「だからってそんな」

「口答えするんだったら、さっさと孫の顔を見せなさい。」

私はこの日初めて両親に嫌悪感を覚えた。

恋愛は人それぞれの価値観があっていいと思う。だからみんなも自分の価値観を押し付けないで、認め合って欲しい。私は両親を反面教師として生きようと思った。

平安時代の恋愛の仕方を古文の先生に教えてもらったので、もしも平安時代にスリップして恋愛をしたらという物語を描こうと思いました。授業中に物語考えるのなんてたわけですね。ちなみに平女は平安女子の略称です。平安女学院とはなんの関係もありません。オチ雑でごめんなさい。

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