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転移使いと○○の旅 ~独特な魔法が宿る『町』巡り~  作者: ザ・ディル
最終章 1節 『時の村』

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4話 2011年3月11日14時46分

*勇者VS魔王with『時の魔女』の戦いは激動と化す*

*結末は思わぬ方向に転がっていた*


*同時刻、日本のとある2人は変わらぬ日常を過ごしていた*


*****

 

 2011年3月11日。岩手県大船渡市(おおふなとし)綾里(りょうり)海水浴場。

 2人の大学生が、砂浜の手前――コンクリート製の階段に座り、海辺の景色を眺めていた。

 江良(えら)瑠璃美(るりみ)。女性にしては長身。()い長髪をなびかせながらも、眼前に広がる水平線の景色をぽけーっと見ている。

 代田(だいだ)青葉(あおば)。彼は隣の彼女よりも身長は高く、長身痩躯、小顔であり二重の青年。彼は日記にペンを走らせていた。


「大学生活も来月から2年生だねー、あっくん」


 長髪の黒髪を靡かせた彼女は隣の彼に明るく声をかける。


「ああ、お前もなんとか2年生になれるな。ったく、後期の単位は1週間前にノー勉だよ助けてって泣きわめかれたってびっくりしたんだからな」


「ごめんってば。でもさ、そんなこといって勉強親身に教えてくれたよね。私はそんなあっくんが好きだよ!」


「……そうか」


 ぶっきらぼうに答えている青葉だったが、その耳は赤くなっており、それを見た瑠璃美はにんまりと笑みをこぼしていた。

 彼は彼女を意識してないといわんばかりに目線を日記帳に落として、つらつらとペンを走らせ続ける。

 彼女はぐいっと彼の顔に近づく。


「ところで今日はどんな日記書いてるの? 今日は一緒に散歩しただけだと思うのだけれど?」


「ち、近いな。ルリ、お前はパーソナルスペースがないのか?」


「パーソナルスペース? よくわかんないけれどね、私はあっくん好きだからそこに個人的な空間はないよ!」


 瑠璃美は身体を青葉に密着させる。


「ほぼほぼ分かっているじゃないか! そんなにひっつくなー……」


 顔が真っ赤っ赤になっている彼を見て、再び笑みをこぼす彼女。

 そして真っ赤っ赤になっている彼は意固地になり彼女を見つめることはない。それでも彼女の最初の質問には、一拍置いて答える。


「散歩の日記も書こうとは思っている。だが今は、今日の夢を書いているんだ」


「夢?」


「ああ。茶化さず聞いてくれるか?」


「もっちろん!」


 ドンと胸を叩く仕草を見せる瑠璃美。

 それを見て、青葉はぽつりぽつりと話し出す。


「魔王城に、魔王と魔女がいた。それを退治する勇者が戦っていた。あまりの大規模な対戦の前に魔王城は瓦解し、そして――」


 彼がその言葉をいう前に、目の前に何かがパサリと落ちた。

 2人はその音に反応して眼前を見る。

 古びた日記帳があった。


「これ、あっくんが落とした?」


 目の前の日記帳を拾う彼女の問いに、青葉は首を横に振る。


「俺ではない……。だが、この日記帳は気になる……よな?」


「ええ」


 その好奇心ゆえ、2人は目の前に落ちた日記を拾い、パラパラとめくって内容を眺めていく。

 日記帳の中身はとんでもないことばかりが記載されていた。あまりの内容に、瑠璃美が目を丸くしながらつぶやく。


「これ……勇者の日記帳にしか見えないよね……?」


「……ああ。仲間を集めて楽しかった記載。『聖剣エクスカリバー』。勇者の明記はないが魔王を倒すと書いているし、そうとしか見えない。……だが、勇者なんているわけないだろ?」


「あっくん、夢の内容は勇者と魔王が戦っていたのよね?」


「そうだが……。本当にそのとおりか、最新のページを読めばわかるかもな」


 青葉はごくりと生唾を飲みつつ、日記の最新ページまでめくる。

 そこには今日は魔王城を襲撃する内容が書かれていた。


 だがそれと同時に、突発的な異常事態が青葉と瑠璃美を混乱に陥れる。


「勝手に文字が浮き上がってない!?」


「ありえない……独りでに日記が書かれるなんて……」


 文字が勝手に浮き上がって、続きが記載される。


*勇者が魔王に勝つことは不可能になった。魔王は能力、不死を獲得したからだ。挙句、魔王は他の能力も手に入れようとする*

*その最果て――なんでもできる能力。その一歩手前の概念改変能力まで会得する*


「概念改変能力? 何よそれ……?」


「言葉そのままなら概念――コンクリートは硬いという概念を改変してコンクリートを柔らかくする、とかじゃないのか?」


 日記の記載は止まらない。

 

*魔王だけでなく勇者も能力を手に入れる。封印能力。概念改変された存在に封印で改変を阻止する*

*『時の魔女』も転移という能力を手に入れる*


「概念改変、封印、転移……物騒どころじゃないな。こんなのが現実にあったらだが……」


「……あっくん、冗談になっていないよ」


*魔王は概念改変を自身が存在している世界だけでなく、異世界にも広げる宣言をする*


 なおも日記の記載は筆記媒体がなくとも自動で紡がれる。


*異世界に向かうための1つの方法を強引にこじ開け、解を得る*

日本のどこか(﹅﹅﹅﹅﹅﹅)にはきさらぎ駅がある*

*その駅は異世界の列車に乗られて異世界人が行き来できると*

*ならば日本に行くことは容易いと*


 2人はその記載を見て、確信する。


「「まさか日本(ここ)に!?」」


 それと同時に大地が揺れ始める。

 その揺れは大きく、激しく、轟く音が聞こえるのではないかと錯覚するほど、異常な揺れだった。

 横に揺れているのか縦に揺れているのか考えることもできないほどの揺れ。その中で2人は手をつなぐ。お互いがお互いを離したくない、そんな想いが行動に現れていた。


 あまりの揺れで手放された勇者の日記帳はさらに自動で記載がされていく。


*きさらぎ駅行きの列車で魔王たちは移動する*

*そして日本にきた*

*きさらぎ駅行き列車を強引に使ったことで、本来の○○県に移動できず、東北地方の海に3人が現れる*

*その勢いで世界最大級の地震と津波が発生した*


 日記を読む場合ではない2人はこの地震の恐怖に支配されていた。それでも手を離さないことで、自身が1人になるものかと、ぎゅっと力強く2人は手を握り合う。


「あっくん!」

「ルリ! 離すな!」


 手を握ったまま、今度はさらに離れないように身体同士を密着――抱き合う。

 地震は少しずつ弱まっていた。

 それを確認すると青葉はいう。


「海側が震源地なら津波の可能性がある! ここから離れるぞルリ!!」

「ええ!」


 2人は立ち上がろうとする。

 しかし、立ち上がることは叶わなかった。


『魔王を封印するぞ『時の魔女』! 魔王の暴走で世界もろとも滅びたくはないだろ!?』

『……それはそう。封印するには何をしたら?』

『近場にいる人間を依り代に、封印を施す。僕とお前ごと封印だ』

『私ごと?』

『お前の時間操作がないと魔王なんて怪物は封印できない! 直接封印能力と時間停止を使わないと魔王は暴走し続ける! できるか『時の魔女』!?』


「な、何この声?」


「……わからんが、勇者が魔王を封印しようとしてる……のか?」


 突如、第三者の声が聞こえるものの、明らかに周辺に人はいなかった。

 それでも声は聞こえており、その度に勇者の日記に内容が記載されていく。


『やってみる。……私と波長が近い人がいる。……隣にもう1人いるからこの2人を転移する。あとは勇者、封印よろしく』


 青葉と瑠璃美、2人は転移した。


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