【エッセイ】朽ちゆきて、甘く香るは。(完結作品)
落ち着く図書館の正体のひとつは、「香り」かもしれません。
図書館が好きだなと思いました。
どうして好きなんでしょう?
考えたことはありますか?
ただ本が好きなだけであれば、「本が好き」で事足りますよね。
もちろん、図書館には本がたくさんありますから、本が好きな人間からしてみればさながらテーマパーク。とても壮観で、心は惹かれるのですけれど。
でも、それだけじゃない気がしました。
本も好きですが。
“図書館”が好きなのです。
私はあの空間が好きなのです。
本を見るだけであれば、本屋さんでもいいじゃないですか。そう、本屋さんも好きなのですけれど……少し違うのです。説明に大変困ります。
なにが違うんでしょう?
自由に本を読めるから?
みんな静かだから?
そうだけれど、そうではなくて——たとえば本を読まなくても、私は図書館の空間が好きなんですね。
テスト勉強をした赤本の並んだ高校の迷路みたいな地下図書館。レポートをたくさん書いたステンドグラスが綺麗な大学の図書館。大きな窓から日が差し込む吹き抜けが開放的な職場の図書館……。
地域の図書館にも行きますが、個人的には学校の図書館の方が好きかもしれません。作業できるから? いやそれならカフェでもいいわけで……。
好きだった席を回顧して。
考えました。思い出しました。
図書館の香りが好きでした。
図書館には、特に学校の図書館には、香りがあるんです。甘くて、少し埃っぽいともいえるような。なつかしくて居心地のよい香り。
これはおそらく、本の匂いなのですけれど。
新書の揃う本屋さんではしません。
真新しい紙とインクの香りはします。
もちろん、それも悪くないですけれど。
この独特の、図書館でのみ感じられる、古書の香りでしょう。
私はあの香りを、ずっと焼き菓子のような香りだと思っていました。調べてみたのですけれど、
紙の本は、使用により劣化し。
日に焼かれ、色褪せて。
私たちとともに時を重ねながら。
あのなんともいえない、なつかしくも心地いい空間を造り出し、たしかにそこに息づいているのかもしれませんね。
朽ち行きて 甘く香るは 古本の 時を重ねた 息遣いなり(タイトル回収)
や~なろうで投稿するにはタイトルが文学的すぎるんだよね。テンションがあってないかなと思って投稿しなかったのかな(現在の感想)




