【実録】父のなろう小説アニメへの疑問を、書き手の娘が答えてみた
深夜にアニメを流し見てた時の実話書き起こしメモ
一般人の父と書き手の私のラノベ談義〜または考察〜
あとは転生前の鬱憤を、異世界で晴らすのが多いかな
最近の転生ばっか
長文ばっか
作者読みとかしなくなりそう
夢枕獏
ワルキューレよくできてる
それは仕事だから!素人は無料だから!
レーベルの差で出来変わりそう
漫画化は博打
雑誌連載→売れなくなるのでは?
お金かかるし手間
ほんとに読みたいのはいくつかで他は惰性
見つけるのはゼロではないけど減りそう
独自の世界観がなくなる
買ってきてすぐ読む
電車そのうち読めばいいな
ワクワク感が減る
ジャンプ土曜日に買えるの買ってた
土曜買えないとガッカリ
一般人の父とぺーぺーなろう書き手の私のラノベ談義〜または考察〜
「最近のって、転生ものばっかだよね」
ふとした会話から出た父の言葉。
それは私よりアニメフリークな彼から出た、その素朴な疑問。
そうしてたわいもない、なろうラノベ系アニメの雑談は始まったのだ。
なお彼は、自分の娘もなろうで小説を書いているとは知るよしもない。
※ただの一般的親子会話
※実録垂れ流し
※一般人の思ってる事が分かるかも?
どちらかと言うと書き手に需要ありそうなので、一応文にしようかなと思いました。
それは、深夜の一幕。
なんとなくダビングで父が録っていた、100分で名著を父と一緒に観ていた。私は普段見無いいのだけれど、続きが気になる感じではあった。
「作品の事知れて面白いんだよね」と、父は言う。たしかに、考察もされてて面白かった。
ちなみに内容は、カラマーゾフの兄弟についてだった。
「文学部でもこんなことやったな。作品の考察に、作者の考えとか見るんだけど。その時作者の人生って言うか、そういうのも調べるから」
「あぁお前、大学でそういうことやってたんだったね。おじいちゃんともそういう話すればいいのに」
父は悪気なく、相手のことをお前と呼ぶ人だ。
母は気にするが、私はお前呼びに特に不快感はない。それは生まれてこの方、呼ばれ続けたせいで慣れたのもあるかもしれない。
だけど、呼び方で人の本質は変わらないと知っているからでもある。
父のこれは、ただの口癖。
良いとは言えないけど。
人を貶すものじゃない。
それだけ分かってれば、他はあまり気にならないので問題ない。
ところでそれより問題なのは。
本好きだと知ると、みんなして同じ話題で話せると思うのは何故なんだろうね?
私の祖父は、文学ガチ勢なのだ。
立派な本棚が部屋を囲む書斎を持つような。
本に埋もれて死ぬタイプの。
しかも詩人なのだ。
なんでもなさそうに軽く言うのやめてください。私は最近ラノベしか読んでないし漫画万歳な若者なのですが?
そう思って、渋い顔を隠すようにお茶を口にした。
「……いやでも、最近時間なくて読んでないし。そういうちゃんとした文学って、時間ないと読めないんだよね。一回読むと手が離せなくなるから」
誤魔化すように答えた回答だけれど、これは本当のこと。
私は一度本を読み出すと、止まれない。
寝る間も惜しんで読んでしまう。
そして、寝れなくなるわけだけれど。
ちゃんと落ち着けるところで読めるなら、軽い本は2、3時間で読み終わる。でも重さによって変わるし、ハードカバー、お前はダメだ。
ハードカバーのものは割と時間がかかるので……もちろん、ぶっ続けで読むので、他のことができなくなるのだ。
本が好きだ。
だから、本を読まない。
……なんとも複雑な上に意味がわからないけれど、忙しい日々を過ごすには手をつけるわけにいかなかったりもするんだよ!
しかしそんな内情を知らない父は、顔を顰めた。
「お前のそれはさぁ、ネットとか動画に時間取られてるからなんだろ? そういうのやめて時間取らないと、ずっと無理だぞ」
これには、思わず苦笑い。
……さぁここで、その大半はネタ集めと空想の旅なんですよーと言って。理解が得られるか? 私は知ってる。
まぁ無理ですよね!
私の本を読まない理由の1つに、執筆活動が入るんだけど……。一瞬、言うか? と迷って、言うのをやめた。
ははは、と乾いた笑いでお茶を濁す。
父も特に気にしてはいないので、ダビング一覧を見て次観るものを探している。その一覧、見事にアニメだらけです。アニメ好きだねー。
「あ、これ面白かったよ」
そう言って父がつけたのは、とあるアニメ作品。後で調べたら、モンスター文庫から出版されてる漫画もある作品だった。
「転生ものなんだけどー。進化の実を食べて成長していくやつでーー」
その話、聞いてないわけではないけれど。
主人公たちが話してる画面を見つつ。
私がその時思ったのは。
あ、声優さんしもんぬと花澤さんだわ。
あとなろう作品だ。
これですよ。声優に反応してしまうのはオタクの性なのでスルーしてもらうとして。……まぁ、なろう作品ってわかりやすいからね。
「ていうか、最近転生もの多すぎじゃない? そんなのばっかりだよね」
ぼーっとアニメ鑑賞をしていたけれど、父がつぶ貝のアヒージョ缶を開けながらそう言った。テーブルの上には、すでにハイボール缶が開けられている。
「一個食うか」と言われたので、とりあえずひとつ口に運んだ。うん、わりと美味しいんじゃなかろうか?
ちなみに現在午前1時を回っておりますが。まぁでも、なんとなく話に付き合っている私。
当然、父の疑問の答えを私は知っている。
なので、素知らぬ一般人のフリをして。
そっとその疑問に答えてあげる。
「『なろう系』だからでしょ。小説家になろうのおかげで、転生もの、流行だからね」
テキトーに流すために発言している。
なんとなくしかわからんでしょうし。
だから私の視線もテレビに固定されたまま。
もぐもぐと、口だけは忙しく動いている。つぶ貝、歯応えがあるなぁとか思いつつ。しばらくまたグダグダと、そのアニメを観ていた。
てっきりそれで終わると。
そう思っていたのだけれど。
彼はそれでは納得いかなかった様子で、「んー」と唸っている。
私は察した。
あ、転生ばっかで飽きてるのね、と。
まぁ気持ちは分からんでもない。
父はアニメ好きだけど、一般人。ラノベも読まない人だ。そんな人がどう思うかは、察しがつくと言うもので。
だから、その一言も予想がついた。
「流行りなんだとは思うけど。なんていうか……独自性がなくない?」
それはまぁ、どの流行りでも言えることだけどね、とは口にしなかった。
例えばファッションだってそうで。
今年のコートはこれが流行り! とかになると、街中それで溢れる。都会ほどそうだろう。同じような格好ばかりになるのは、ある意味必然。
つまり、小説の精鋭がアニメ化するなら。
それは都会に溢れるコートと同じこと。
それが加速すると安物の量産になるーーなろうで言うなら、ざまぁ短編量産みたいなもんですけど。
でもまぁ。突然その流行を知らない人が見たら「同じように見える」のは、ファッションもアニメの内容も変わらないと思う。
なのでここは簡潔に。
「小説家になろうの影響で、転生転移が当たり前みたいになってるからね。さっき観てたのも、なろうのだよ」
ちなみに「さっき観てたの」は、100分で名著の前に観てた、異世界と現実の食堂が繋がるやつです。おとん、アニメ見過ぎである。
「あれは好きなんだけどねー」
「いや、これだって好きだから観てるんでしょ」
「まぁそうだけど」
「まー、異世界での料理系は美味しそうだし楽しいよね」
笑って丸く納めにかかりつつ、一応本音でもある。だって私はなろう系好きですもの!
好きだから書き手になってんだよ!
だから答えられるんだよ!
なんで答えられるのか……という事を、疑問に思わないのか?
どうやら素面っぽく見えても、父君の頭はあんまり回ってないらしい。まぁ良いんだけど。私には都合いいんだけど。
缶の中身は、私には分からない。
見えないから。ストロングな事はわかる。
でもどれだけ飲んだか不明だ。
手を伸ばさなきゃ、実際飲んでる人しかわからないーーま、同じように。なろうの事は、なろうをやってる人にしかわからないだろうねぇ。
言うて大して酔ってはいないと思うけれど、お酒のせいか今日の父はよく喋る。
「でも転生の先は、たしかに考えられてるなって思うけどね。そこで差別化されてるって言うか。だからーー」
「転生が前提になってる?」
「あーそれそれ」
そうか。一般人からしたらそこも引っかかるのか。
なろうに染まってる私は、今更そこには引っかからないけど。やっぱり、一般人からしたら不思議なんだろう。
なので話にちょっとだ付き合うつもりで、ステンレスカップのお茶を回しながら口にした。
「あぁいうの、ネット小説が始まりだから。今それが流行りなんだよ。逆に流行りに乗らないと読んでもらえないから」
「でももっと独自性あったほうが良くない?」
「まぁ……。だけどお母さんも動画見る時、関連動画ばっか使うじゃん? あれと一緒。似たようなのが、ネットは特に好まれるんだよ」
父がアニメを見ている横で。母がオーディション系番組から生まれたアイドルを、YouTubeで観ているのはよく見る光景。
機械音痴かつあまり機械を覚える気がない母は、全て関連動画から飛ぼうとする。
それが、楽だから。
それは、なろう内でも言える事。大抵ランキングか、「これを読んだ人はこんなのも読んでいます」みたいなので読む。
それならば、似たようなのが増えるのは道理だ。
これには一理あったようで、納得いかなそうながらも「なるほどね」と父は言った。ま、気持ちはわかるけどねー?
「あと、なんか転生した時にチート能力を得るか、取った能力をどんどん強くさせていくようなのが多いよね」
父よ。
それを世間では『俺tuee』と言うのだ。
でも足りないので補足する。
「あと知識を活かす系のと、ほのぼのスローライフ送る系のね」
「あーうんそれそれ」
お父様の見ていらした食堂のあれは、ほのぼの系ですね。転生じゃないけど。転移に近い?
2人ともお酒とお茶を飲みつつ、アニメ観てるんだか談笑してるんだか状態で話している。まぁこの人、いつも片手間なんだよなぁ。
表情もあるんだかないんだか分からない、淡々とした具合で話とお茶とお酒だけがすすむ。
「まぁ成り上がるのが多いからね。夢があるんじゃない?」
「たしかにねー」
夢を見せるのはある意味、物語の宿命的要素でもある……と私は思う。
なのでそこは別にそれでいいと思う。大きな括りで言えば、ファンタジーとは異世界的なもので。それが取り入れやすいから、異世界は人気なんじゃないかと思ってる。
「でもさ、それならドラゴンボ◯ルだってある意味異世界じゃん?」
そうだね!
そしてそんな大作と比べます⁉︎
「別に漫画じゃなくても、FFだってドラクエだってそうだし……鳥山明は、独自の世界観作れてたわけじゃない?」
だから比べる対象がなぁ……?
そもそも土台が違う……。それは高級パティスリーのケーキと、コンビニのクリーム挟まったパンを比べるくらい違うんだけどね?
まぁうん、わかるよ!
異世界転生が溢れてて気に入らないんだろ!
父の場合は面白ければこうやって観るので、気に入らないというより違和感が正しいけれど……。一般人が首を捻るのも分かる。
だってなろうと違って、アニメ見る人は異世界転生好きじゃない可能性あるもんね。
だから優しくそっと。
訂正を加えておく。
「いや、漫画とラノベじゃ違うでしょ。漫画はまず絵で見てもらえるけど、ラノベはそうじゃないし」
「んー」
「そもそもネット小説は、名前がない素人が書いてるんだよ。読んでもらうためには、流行りに乗るしかないよ。素人に求めちゃダメだよ」
場合によってはスコッパーがいる。
だけど過疎ジャンルの過疎と言ったらない。
みんな気になるところしか見ない!
と、自信を持って言えるのは私が書き手だからですけどもー⁉︎
だけどお父様、ご納得いかないご様子。
「でもなー。才能に素人とプロ関係ないし」
「けどネット小説は、ランキングとか関連でみんな読むから。雑誌みたいに、とりあえず読んでもらう事ができないんだよ」
「まぁ……たしかにたくさんあるもんなぁ。ジャンプは惰性でも読むけど」
大きく頷く私。
興味持ってもらわないと、読まれないんですよ……! そのために作者は努力してるんですよ! 分からなくていいけど分かって‼︎
そんな言えない気持ちを秘めつつ、話を若干逸らす。
「それに異世界転生は、感情移入しやすいんじゃない?」
「感情移入?」
「うん。ほら、みんな元々はこっちの人だから?」
「でもさ」
うん。やっぱりまだ不満があるらしい。
「」
アニメの終わり際。父はつぶ貝のように、歯切れが悪いーーいや、不満が溜まっているのか。また別のことも口にした。
「あと、タイトル長すぎじゃない?」
……まぁうん。そう思うよねー?
なろうでも毎回議論起こるもんね。
……そう。ペーペーと言えど、私はその理由を知っている。
タイトル長すぎの理由は書き手が一番知っている。
検索の時みんなタイトルしかほぼ読まないからだよ。
プロモーションの場だよ。
名前が売れててみんな手に取ってくれるなら、多分長文タイトルにはしませんね。小説はね、漫画や図書と違って、視覚情報が少ないからね……知名度のない素人は、長文タイトルが手っ取り早いのだよね……。




