【異世界小説】転生から始まる破滅的魔王計画〜人生に絶望しているのに転生させられたので、破壊してから自滅することにしました
人生に、良いことなんてあるもんか。
どこにでもいる平凡人間なオレは、とりあえず人生に絶望していた。
幼稚園が人生のピークで、順調に人生の階段を踏み外している。今日も今日とて外回がつらい。
あぁそうだ。つらいならやめちまおうか?
そう思って勇気ある一歩を踏み出したのに。
女神とやらに転生させられたんだが?
あん?勇者になれる?
ふざけんなオイ絶対イヤだわ。
人を勝手に駒だと思いやがって。
オレは今度こそ気持ちよく破滅するために、全てを破壊する魔王を目指すんだよ‼︎
だから懐くなお前ら!やめろ‼︎慕うな‼︎
人生に、良いことなんてあるもんか。
幼稚園が人生のピークなオレは、順調に人生の階段を踏み外している。今日も今日とて仕事がつらい。
あぁそうだ。つらいならやめちまおうか?
そう思って勇気ある一歩を踏み出したのに。
女神とやらに転生させられたんだが?
あん?勇者になれる?
ふざけんな絶対イヤだわ。
今度こそ気持ちよく破滅するために、全てを破壊する傍若無人な魔王を目指す!陰キャなめんな‼︎
「はーい、今月のノルマもよろしく頼むよー! 特に林君! 君には期待してるからなぁ‼︎」
はっはっはと笑いながら、バシバシ叩かれる肩。
いてぇよクソ室長め。力加減とか考えたことなさそうな、ツルッとした頭を一瞬鋭く睨みかけて。慌てて力なく笑った。
「いやー、ちょっとキツイっすねー」
「またまたー! よく言うよ! あんな営業成績出しておいて!」
若干苦笑いのままヘラヘラしてみるが。今度はオレの背中を叩きながら、壁に貼られた先月の実績表を指さした。
そこに如実に現れるただの数の羅列。
騙した人間の数が正しいか。
それとも押し付けられた仕事の数か。
何回目だこのやりとりという、朝の恒例行事だ。
しかし上司の言葉なので、周りも「すごい」だの「さすがだよな」だの囃し立てる。ふざけんな、てめぇらがやんねぇ尻拭いだ。
意識高そうな顔つきの社員たちも。
高そうなスーツを着てるお偉いさんも。
頭弱いくせに厚顔無恥に威張る客も。
全てが、なんかもう無理だ。
「はー……フツーに辞めてぇ……」
会社の屋上で柵にもたれながら吸うタバコと、香りの薄れた缶コーヒーだけがこの世の救いだった。いや、現実逃避の材料か。
営業に行くとかテキトーに言って、立ち入り禁止になってる屋上の鍵を拝借している。
便所かここしか1人になる場所がない。
便所は時間で混むし、何より臭いしなぁ。
よってここは、格好のサボり場所だ。
どうも柵が低いらしく、転落防止のためとか言って立ち入り禁止になってるけど。
つか、このくらい付け替えろよと言う感じだが。当社はエコに配慮する企業ーーもといただのケチだから、金かけねぇんだろう。
だけど、だからこそ。
空が広く感じられる。
この古いビルだからこそだろうか。
吹き上げるビル風は激しいが。フリーデスクで仕切りもない効率的なデスク……別名、監視デスクや、人混みよりよほど息ができる。
アホ面かましてても、
そこそこデカいこの会社の実態は、外ヅラの良い腹黒みたいなもんだ。
つまるところ、ブラックってやつ。
ただ人間は長いものには巻かれろっていう考えなのか、謎の安心感でも感じちまうのか。売り上げは業界3位くらいだった。
「全員アホかよ……。なにブラックにやりがい感じてんだよ……。客は客で大きいから安心できるとか宣うし」
ひとり孤独に灰色の空へ吐き出しているのは、煙と愚痴だ。こうでもしないとおかしくなる。
「この金額で良さをアピールしてこいだぁ? 無理に決まってんだろクソハゲ……。客大事にしろと数こなせは並列できねぇんだよ」
今日も今日とて、寂しく上司の愚痴大会だ。
洗脳しきられた同僚たちとは話が合わない。そもそも、正常な奴らはとっくのとうに消えてしまっているのだ。それが正解だよ。
純真無垢、真面目が取り柄だけだった新卒のオレは、逃亡し損ねたわけだが。その末この会社の、上司の傀儡にされている。
残ってる奴らの頭はおかしい。
ゲーム感覚で数を上げるやつか。
人様の空気とか読めないやつか。
もしくはオレみたいな、人身御供だ。
人身御供は尻拭いばっかさせられる。だってこの3パターンで、本気で謝れるの人身御供だけだから。バカみたいだ。
自分のやったことじゃないことに謝って。
その上で、新しい契約とってこい?
頭どうなってんだよ、脳までツルツルか?
『オレはやってたぞ!』
上司の殴りたくなるドヤ顔の無限リピートが止まらない。
お前の時代バブルだろうが。
だから毛根も不景気なんだよ。
肥えてんのはお前の腹の脂肪だけだ。
とにかくこの仕事には理不尽しかなかった。
つーか、人の心を持っているやつは死ぬしかない。当社の退職理由一位は、精神疾患でございます。この意味わかるだろうか?
つまり、そこまでやんないと辞めさせてもらえない、ということだ。
会社の頭がおかしいのだ。
少し休めば「どう思う?」と聞く上司。
それを朝礼で毎回されれば、まぁ病む。
オレだって、毎朝どれだけ布団から出られないことか。だけど謎の罪悪感から、ゾンビのような足取りで来てしまうのだ。
自分のところで保険もあるくせに、本当に入りたい保険は入れない。社内に筒抜けだからな。
「お、君この保険入ったんだ?」とか、笑顔で声かけてくるアホしかいない。
おめぇそれ個人情報だろうがと、血管ブチギレそうになった事は片手では済まないだろう。他者のことだが。
しかしまぁ一番の悩みは。
そんな会社でそれなりの成績があることだ。
「これやっといて!」
「この人、苦手なんだよね。変わってくんない?」
「あの人辞めちゃったから、引き継ぎよろしく!」
最初に任された仕事とは異なる事が、どんどん増えていく。そして毎回、担当者変更の謝罪から始まる。よろしくじゃねぇわ。
しかも謝るのが必要な客は、こっちに不信感があるか気難しい。それを解いていかないとならないこっちの身を、考えたか?
お陰でオレはもう、常時胃痛持ちだ。
その上で。信用してくれた客に。
アホみたいに契約つけろって言うんだ。
「絞れるだけ、搾り取らないとね!」
宗教の教祖かよっていう、アホ上司の笑顔と張り切った声がリフレインする。お前の血液絞って献血しても元が取れないんだが?
数が増えていく外回りのおかげで、昼休みも食事する暇もない。あとお客様へのお詫びの品は自費だし、交通費も限度額がある。
そのくせ北の客が南へ行けば、そこまで追いかけろとか言う。アホかよ。担当変えろや。
結果荒れ果てた胃と減退した食欲、そしてタイムレスで済む合理さから。
タバコ至上主義が出来上がってしまう。
この喫煙所の少ない時代なのに。
かく言うオレも喫煙者だし。
ストレスの多い所には、タバコしか娯楽がないのだ。しかもタバコミニュケーション取れないと、上には行けないとまで言われる当社。
辞めたいって、何回言ったかなぁ。
マジで言ってんのに笑って流すもんなぁ。
それか飲み会説得コースになるか。
もしくは理由拒否コースな。
「……タバコって、ブラック会社と似てるよなぁ……」
ため息は、煙のせいで灰色だ。
誰も聞いてないから言える独り言だ。社員の前で言ったら、睨まれるだろう。大体喫煙者だから。
じわじわ蝕み脳を鈍らせる。
快楽はこれしかないと思わせる中毒性。
そっくりだと思うんだけどなぁ。
ただオレのように「なんとなく」で。
惰性で続けてる人間は。
これが好きだと思える日なんか、多分来ない。
惰性で吸っていたタバコが、持ち手ギリギリまで来たので缶に放り込む。ジュッと音がして、黒い液体がさらに汚れていった。
「……ゴミみてぇだな」
缶の
行く前に終わってるなぁ……。
思いつきで書き始めて放置しましたねこれ。
いやぁ悪い癖といえばそうなんですけど、スイッチ入ってる時に人に話しかけられたりとか、他のことしなきゃいけないとかあると心折れるんですよね。どうしても書きたいと思うもの以外は、そのまま放置が多いです。




