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9.悪役令嬢と王妃様と秘密のお茶会。

 ロア様、本日も逃げやがりましたわねと私はため息をつく。

 本日は週1回の親睦を深めるお茶会の日改めロア様の身体強化の日(王子様育成デー)

 なのだけど、ロア様が私から逃げるようになって今回でもう4回目。結局今日も騎士団で私1人が基礎体力向上のための訓練を受けてきた。継続は力なりって本当ね。体力がついてきてできることも増えたような気がする。いずれはやっぱり武器も扱えるようになりたいな。

 それは後々の課題として。

 

「はぁ、ロア様。今頃、一体どこにいるのかしら?」


 ロア様が真面目に取り組んでくれたのは、最初だけ。

 やっぱりお茶にしようと私のことを遊びに誘い、私がそれを断れば体調不良を訴えるようになり、最終的に私の姿を見つけると声をかける前に脱兎のごとく逃げるようになった。

 まぁ、今更だけども、追いかけ回しすぎた感はある。王妃教育の日以外にも魔法省に立ち入るついでにロア様を探して、運良く見つければ、国の歴史だの、語学だの、魔法だのと勉強嫌いなロア様相手に復習がてら習得した知識を披露したりしていたし。

 あれ? 会う予定のない日まで頼まれてもいないお節介をしに行くなんて、もしかして私、軽くストーカーなんじゃ!?

 

「………。やりすぎについては、少し反省が必要かもしれないわね」


 ロア様の為を思って、だなんて王子ルートに行って欲しい私の言い訳でしかない。押し付けがましい私のお節介は、ロア様にとって余計なことだったのだろう。

 自分の立ち振る舞いを振り返り、私は軽く凹む。

 とはいえ私は悪役令嬢。その上国外追放(婚約破棄)希望だし、いずれはロア様に嫌われるようになるのですけれど。

 さすがにこの時点でロア様(無害な美少年)に嫌われるだなんて、心が痛む。


「リティカ、少しお時間あるかしら?」


 難しい顔をして歩いていると王妃様から声がかかった。

 私は慌てて身なりを整え、カーテシーをする。


「メアリー王妃殿下にご挨拶申し上げます」


「ふふ、そんなに堅苦しい挨拶はしなくて良いわ。私はあなたの代母なのですし」


 いずれは本当に義母(はは)になるわけですし、とそう笑う。

 メアリー様は私のお母様と旧知の仲だったらしく、お母様が亡くなってからは恐れ多くも私とお兄様の代母(後見人)になってくださっている。


「それにしても、リティカはここ数週間で立ち振る舞いがとても美しくなったわね」


「勿体ないお言葉です」


 偉いわと褒められて私は素直に嬉しくなる。侯爵夫人からは一度も褒められたことないけれど、分かる人には分かるのよと心の内で侯爵夫人にドヤる。

 そういえばなぜこんなところに王妃様が? と私はキョロキョロと周りを見渡すが、周りに侍女の姿は見えない。


「……メアリー様、また侍女も護衛も撒いてきたのですか?」


「あら、ここは宮中なのだから、大丈夫よ。それに大勢にぞろぞろと付きまとわれては、気が休まらないじゃない」


 メアリー様はふふっといたずらっぽくそう笑う。


「それよりもよかったら、少しお茶にしない?」


 珍しい茶葉を手に入れたのとじゃんと効果音をつけてガラスの瓶を私の目の前に差し出すメアリー様。

 それは王室御用達の品ではなくて、私がいずれ追放される先として目をつけているマリティの一部でしか生産されていない工芸茶。


「最近色んなことを頑張っているリティカにご褒美よ。最近マリティについても調べていたでしょ? あそこの国のお茶文化はとっても興味深いのよ!」


 とドヤ顔で語るメアリー様。


「というわけで私と一緒に休憩しましょ♪」


 そう言って優しく笑うその顔は、ロア様とそっくりだ。

 この親子本当にお茶が好きだなと私はクスッと釣られて笑う。


「喜んで、お誘いをお受けいたします」


 私は淑女らしくカーテシーを行って、メアリー様のお茶会に参加することにした。


 メアリー様が用意してくださったお茶は、お湯を注ぐと透明なポットの中でとても可愛らしい花を咲かせた。

 お茶自体は透明なのだが、甘い花の香りが広がる。


「わぁーすごく素敵っ! まるで魔法みたいです」


「ふふ、喜んでもらえてよかったわ」


 お菓子も用意したのよと私の好物であるアップルパイをはじめ、いろんなお菓子をひと口サイズにしたもの用意してくださっていた。

 さすが国民が憧れるメアリー様。女の子の心理をよくわかっていらっしゃる。


「最近はどう? 何か困っている事は無い?」

 

「みんなよくしてくださるので、大きく困っている事はないのですけれど」


 本当はたくさんある。例えば侯爵夫人からの私に対する理不尽な教育(嫌がらせのような暴力)とか。

 だけど、それの解決をメアリー様(王妃殿下)に任せてはつまらない。この程度の些事、悪役令嬢たる私が悪役らしくやり返すさねばと現在計画を練っているところだ。だから、この件に関してもしメアリー様が何かつかんでいるのだとしても、私はこの場で漏らすつもりはない。


「強いて言えば、お兄様との関係でしょうか」


 淹れていただいたお茶を一口飲んで、私は静かに別件の悩み事を口にする。


「まぁ、セザールとの?」


「私は仲良くしたいと思っているのですけれど、でも私は今までの行いのせいでお兄様にあまり良い印象を持たれていないので」


 これに関しては完全に自業自得だ。魔法省に入ってからは尚更、お兄様から家でも魔法省でも睨みつけるような視線を寄越されるようになった。

 魔術師見習いと言う共通の話題を持ったものの今の私では当然お兄様の足元に及ばず、きっと目障りでしかないのだろう。


「うーん、そうね。セザールは少し言葉が足らないところがあるから」


 私の話を聞いたメアリー様は見惚れる程美しい動作で優雅にお茶を飲み微笑むと、


「でも、私の目から見ればセザールは決してリティカのことを嫌ってなどいないと思いますよ」


 ゆっくりと言葉を選んで、私に話しかける。


「……そう、でしょうか?」


「リティカ、他者(ヒト)の感情は自分の基準で推し量れるものでは無いのよ。もしも本当にあの子が誰かを嫌うなら、自身の視界に入れることすらしないでしょうね」


 そう言われて、お兄様の行動を振り返る。確かに睨みつけるような視線を寄越すようになったけれど、それ以前は話しかけてくる事すらなかった。

 そこにあったのは、諦められたようなどうしようもない"無関心"。

 私の表情を見て微笑んだメアリー様は、


「悩み多きリティカに、私からアドバイス」


 そう言って透明なポットに何か透明の液体を垂らす。

 すると一瞬にして中に入っていたお茶がピンク色に染まり、今度はフルーティな香りに変わる。


「わぁー素敵」


 目を輝かせる私を満足気に見たメアリー様は、


「信頼は自分のこれからで積み上げていくしかないとして、変革を起こすきっかけっていうのは意外と身近な所に転がっているものよ。こんな風にね」


 とアドバイスをくれる。


「レモン水数滴でもヒトを感動させられるのだから、行動力のあるリティカならきっとセザールとの関係を改善できると思うわ」


 その言葉を受け取って私は改めてお兄様との関係改善のきっかけを探してみる事に決めた。

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