表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/37

第23話 違和感の正体

 ふたりに別れを告げて廊下をひとりで歩く。


 やっぱり執事長さんは嘘つきだ。彼は不自然すぎる。

 そもそもパートタイムの執事に館のマスターキーを預けるだろうか。それも女主人は、窓から身を投げたんだ。部屋の鍵を開ける必要はないはず。だから、私たちは主人の私室を探すように誘導されたんだ。


 裏切られる可能性だってある。わざわざ外に身を投げるなら、カギは自室に保管しておく方がいいはずだ。彼女は相当用心深い性格なのは自明の理。なぜなら、彼女は自分の素顔を決してさらしていないのだから。


 この館の客人たちすべてに顔を隠していたほど用心深い彼女がパートタイムの執事長に計画の要であるマスターキーを預けるなんてリスクが高い行動をとるだろうか。いや、取らない。


 つまり、彼だけは主の顔を知っているんだ。本宅の執事長。それが彼の正体だろう。この館のゲームマスターの役割を担っていると考えればつじつまが合う。彼がこの状況を作り出した共犯者だろう。


 だが、時計塔の殺人の犯人であるかについては、まだわからない。

 

 そして、私は偉大な助手さんに協力を仰いだ。


「グレースさん、起きてる?」

 彼女の部屋を叩く。彼女が私の切り札だ。


「どうぞ、ミリア様」

 青い寝間着姿の彼女が笑いながら出迎えてくれる。


「助けて欲しいの」


「わかりました。もうそろそろ声がかかると思っていましたから」

 彼女はすでに準備を整えてくれていた。これならすぐにわかるわね。


「いいの?」


「ミリア様の頼みを断るほど、私は冷たくありませんよ」

 グレースさんは優しく笑った。高位闇魔術を使う準備を粛々と完成させていく。


 魔力分析。それが彼女の特殊能力だ。特定の人物の魔力系統やその特徴を解析する。

 膨大な魔力を消費する関係上、数か月に1人しか解析できないため、本当の意味での最終手段。


「これを使って」

 私は、対象者の髪の毛を渡す。


「わかりました」

 彼女は作っておいた魔方陣の中央にそれを置いた。


 低い声で詠唱を始めると、部屋は光りだして、グレースさんに集約した。


 儀式が終わると、疲れ切った彼女は頷く。


「この対象の能力は……魔力の発動を探知する能力ですね。カテゴリーは、闇魔力」

 

「ありがとう。これで真相に近づけるわ」

 疲れ切った彼女に手を貸して、ベッドに連れていく。彼女はすぐに眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ