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第5話 客人たち

 モルガンさんに部屋に案内されて、私たちは個室に入る。私は6時の部屋。グレースさんには隣の7時の部屋に入った。円形の館には、時計を模した12個の部屋があるらしい。12時の部屋は縦に広く食堂などが配置されている。


 1時の部屋にはこの館の主がいるようだ。そして、2時の部屋にはモルガンさんの私室。3時と4時の部屋には使用人たちが使っているらしい。


 そして、私たちのほかにこの館には3人の客人がいるらしい。

 彼らにはそれぞれ、8・9・10時の部屋をあてがっているとのこと。どうやら、この館で使われていない部屋は11時の部屋だけね。


 さすがに長旅に疲れたから、1時間ほど部屋で休ませてもらう。食事まではあと2時間ほどある。仮眠しよう。朝早く出発したからとても眠い。まぶたが重くなる。用意されたふかふかのベッドが心地良い眠りに誘ってくる。


 おやすみなさい。


 ※


 目が覚めた。部屋が真っ暗だ。もしかして、寝過ごしたのかしら。慌てて窓をのぞくと、自室が塔の陰になっていたことに気づく。よかった、まだ昼間だ。時間経過的に30分くらい仮眠したのかな。このままベッドでくつろぐと間違いなく二度寝する。


 持ってきた本でも読もう。窓から離れて手荷物の入ったバッグを漁っていると、コンコンとノックが響く。グレースさんかな?


「どうぞ」と戸を開けると、黒いドレスを着た冷たい表情の美人が立っている。


「あの……どなたですか?」


「やっぱり、あの紋章。まさか、ここまで大物が来ているとは。ミリア伯爵令嬢ですね?」


「あなたは?」

 こちらは警戒しながら何か武器になるものはないかと部屋を確認する。護身術は、前世の件もあって鍛えているけど。ここは相手がどんな魔法を使ってくるかわからない。警戒し続けなければいけないわ。


「ああ、そうね。申し遅れました。私は私立探偵のマーラ。あなたと同じようにこの館の主に呼ばれた謎解き役の一人よ」

 彼女の素性を聞いて、少しだけ安心する。なるほど、同業者か。たしかに、彼女の赤い目からは、好奇心に身を預けた私と同じ匂いがした。


「ご用件は?」


「あなたと謎解き談議がしたくてね。この前の王太子殿下の殺人事件のお話聞きました」


「はい」


「それで、私は感激したんですよ。知れば知るほど、あなたの推理の緻密さと洞察力の鋭さ。まさに、天才よ。どうやったら、あんなことができたの? あなたの頭脳はまるで数百年先にいるみたい。ねぇ、詳しく教えてっ!!」

 あっ、これただのめんどくさいファンだ。そう思いながら、彼女が私の部屋に侵入するのを防げなかった。これは長くなるやつだ……

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