“NIGHT MARES” 第一夜 『原初からの警報』
深夜になって、風が強くなってきた。
『ゴウゴウ』『ビョウビョウ』と吹き付ける風の音は、
まるで地の底から湧き起こる何者かの怒声のように
も聞こえ、
またある時は窓の外、「入れてくれ」と誰かがすす
り泣いているようでもある。
私は独りきりの部屋の中。
大きな鏡の前に背を向けて、本棚の前、背を丸めて
本を読んでいる。
なぜ自分が怯えているのか不思議に思いながらも、
部屋に侵入しようと窓を揺らす夜の暗い絶叫に、
何度も目を見開いてしまう。
無理に自分を嗤いながら再び本に目を落とすのだ
が、チクチクと肌を刺す不安をぬぐうことができな
い……。
何かが閃いて、私は振り向いた。
鏡の中のもう一人の私がいた。
私がなす仕草を繰り返すべく、閉じ込められた
私によく似たもう一人の私。
けれど私が鏡に背を向けた時、鏡の私もこちらに背
を向けているのだろうか?
おかしな想像に、苦笑いした。
鏡の私も引きつった笑いを返す。
冷や汗が流れた。
なぜならば その目が思いのほか、
残忍な光を帯びていることに気づいたからだ。
様々なジャンルで『自分らしさ』を表現でき、かつ読者に喜んでもらえるエンターテイメントを追求するのが創作の目的です。
目標は漫画家の『横山光輝』先生です。