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これからどうしていくの?

これからどうしていくのか。僕はそのことについてよく考える。考えざるを得ない立場にいるから。

読者の皆さんの中に、僕と同じような境遇で苦しむ人がいれば嬉しく思う。僕は1人じゃないのだと思えるから。

僕は現在大学生だ。いわゆる難関大学と呼ばれるところの理系学部に所属する大学生。

僕の属する学部では毎年、学部卒業生のうち約8割が大学院へと進学する。

なので、学生の認識としては、学部と大学院は完全な地続きであり、滑らかな道で接続されていて、特段の事情がない限りはそこを逸れることはない、といったところだ。

それはある種、環境の呪縛といったようなものであると思える。

そして不幸にも、僕はその8割の枠の中に入り損ねることになるであろう人間だ。

「なんとなくで学部を選択した」ことがここに来て鋭い牙を剥き始めた。

学部で学ぶ内容にはほとんど興味が持てず、日々の実験や課題が苦痛でしかないのだ。

それは思えば、受験する前から分かっていたことだ。

大した興味もない学部学科に入って、その後はどうするんだろう?

けれど僕は受験勉強に没入するあまり視野が極めて限定されたものになっていて、そんな大事なことについて一々考えることはなかったのだ。

専門として学んでいることに興味が持てないことほど苦しいことはない。

なんのために今自分はこの難しい課題に取り組んでいるのか?そんな事が分からなくなる。

こんな状態では大学院に進学したところで、研究に追われる日々の中で自分が内側からバラバラと崩れてしまうことは目に見えている。

なので、大学院進学は考えていないが、大方の人間が進学を選ぶ中で、あえてそれと違う選択をするというのは勇気を要することだ。

僕は精神的な弱さにかけては群を抜いていて、少数派の道を胸を張って堂々と歩めるとは到底思えない。

けれど、大多数の波に押し流されるようにして道を選んだところで、沈みそうになりながら必死でもがくだけの苦痛に満ちた毎日が待っていることはよく分かっている。

つまり僕は頑丈な2つの壁に挟まれて押し潰されそうになっている。

双方からとてつもない圧力をかけられて、僕は内臓を全部吐き出して潰れてしまいそうだ。

右も左も進めないなら、上から垂れてきた綱にしがみついて上に登り、押し潰されないようにしてはどうだろう。

そう考えた僕は何もかもを投げ捨て安易に「中退」という道をも選ぼうとした。

けれど、よく考えてみると、そうしたところで事態は一向に良い方向へは転がっていかないのだ。

大卒と高卒の待遇の違いというのはまだ根強く残っているはずだ。

「中退」という綱はあまりに頼りなく脆いものなのだ。

何か一芸に秀でていればそれを武器にして戦っていくこともできるのだろうが、僕には何か1つこれといった技もない。

要するに、「勉強しかできない」タイプだ。

コミュニケーション能力に乏しく、人脈を適切に利用して社会をうまく渡り歩いていけるようなタイプでもない。

勉強だけはできると言ったが、それでも天性の理解力を持っているというわけでもなく、繰り返し教科書を読み問題を解く中で、成績を徐々に上げていったタイプの凡才だ。

部活動にも所属せず、とにかく勉強に打ち込むことによってなんとか勝ち得た合格だ。

受験期に入ってもなお部活を続け、学校行事にも積極的に参加してきた容量の良い人間とはわけが違う。

不器用でのろまな人間だ。

そんなわけで、いくら両側からの圧力に耐えきれないからといって、安易に紛い物の綱にしがみつくわけにはいかない。

つまり僕は完全に身動きが取れない状況にいる。

僕の興味は専攻から遠く離れたところにあり、日々の課題は苦痛で苦痛で仕方ない。

しかしながら、それから抜け出すこともできない。

それらを1つ1つ潰していった先にある将来の輪郭も、不明瞭なものだ。

大学院に進学せずに学部卒業で就職する人間に一体何ができるのか?こういった過剰とも思われる考えが僕の頭にこびりついて離れない。

専攻とはかけ離れた類の就職先を見つけるか?

それは1つの手だ。

けれども僕は、難関大学の理系に通う大学生で、当然のことながら親族からの巨大すぎる期待を背負っている。

そんな重荷も捨て去ってしまいたいが、僕にはそれができない。

実際は大して期待されていないのかもしれない。

けれど僕にとってはその期待が過剰なものに思えてしまう。

「これは誰の人生だ?自分の生き方を決めるのは自分じゃないのか?」何度もそう考えた。

しかしながら、僕の中の弱虫が激しく暴れ出してそれを許さない。

狭い狭い掃除ロッカーに閉じ込められたような閉塞感を感じながら生きている。

「これからどうしたらいいんだろう?」その問いは僕の頭の中で激しく点滅している。

強烈で不快な光を放っていてそれを無視することはできないし、真正面から向き合うこともできない。

多分、今はただ目の前の課題を1つ1つ潰していく他に道はない。

ただ、その毎日がとても苦しい。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。

もし同じ悩みを抱えている人がいるなら僕は一人でないと思えますし、また、読者様も、この悩みを抱えているのは自分だけではない、と思えるはずです。

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