漫才『盗っ人野郎!』
二人「どーもー」
ツッコミ「はい、と言うわけでボクがツッコミでこっちがボケで漫才やらしてもらってます。高校の頃からの同級生で、この道に入って5年目。今日は名前だけでも覚えてって下さいね」
ボケ「とうとう、尻尾出しやがったな?」
ツッコミ「何言い出すの急に。キミの最初のセリフは『こないだヒドい目に会いましてね』でしょ?」
ボケ「かー! 聞きましたお客さん。盗っ人猛々しいとはこのこったァ」
ツッコミ「なんなの? 変なもんでも食べた?」
ボケ「この盗っ人野郎!」
ツッコミ「なんなんだよ。お客さんがたくさん見てる前で、人を盗っ人呼ばわり。何にもしてないだろ」
ボケ「しらばっくれんなー!」
ツッコミ「見てみろよ。お客さんの顔。皆さん引いてらっしゃる。少し落ち着きなさいよ」
ボケ「話をそらすんじゃないよ。5年間だけじゃない。昨日もオレとずっと一緒にいたな」
ツッコミ「いたよ。ネタ合わせした後、居酒屋で飲んだよね」
ボケ「その時、何かのタイミングでオレの財布から15000円盗んだろう!」
ツッコミ「は? 何の間違いだよ。盗んでねーよ」
ボケ「かー。そうやってシラをきるわけだな。常習犯!」
ツッコミ「話が出来ないなこりゃ」
ボケ「昨日の21時頃何をしていた」
ツッコミ「昨日……居酒屋でキミと飲んでまっすぐ帰ったよ」
ボケ「それを証明出来る人は?」
ツッコミ「いや、いないけど?」
ボケ「はい、アリバイ崩れたー! オレ敏腕! これが後に言うアリバイ総崩れである」
ツッコミ「歴史番組のナレーションみたいなの入ったぞ?」
ボケ「正直に言えよ。かのワシントンは正直に桜の木を切ったことを言ったので許されました」
ツッコミ「少しボケることを考えようか?」
ボケ「これだけは言いたくなかったけど、さっき楽屋で君がいない間にサイフを見せてもらった」
ツッコミ「何やってんの? こいつサイテーだ」
ボケ「捜査に協力してもらったんだ」
ツッコミ「断りもなくやっちゃダメだろ」
ボケ「結果、15000円は入ってなかった!」
ツッコミ「でしょうね」
ボケ「何に使った?」
ツッコミ「はぃぃいいい!?」
ボケ「さっき一人で飯食いに行ったろ? 焼き肉でも食ったかニワカ大金持ち!」
ツッコミ「食ってねぇ。コンビニでおにぎりとコーヒーだけだったわ」
ボケ「くー。しらばっくれんな! それでも親友か!」
ツッコミ「親友なら信用しろ!」
ボケ「オー神よ。この男は自分が何を言ってるか分かっていないのです」
ツッコミ「いつからクリスチャンになった?」
ボケ「ジージャス」
ツッコミ「お前だよ。何を言ってるか分かってないのは」
ボケ「分かってるわ。ジージャスはジージャンとかジャージとかの仲間?」
ツッコミ「誰に聞いてんの? お前はどうなんだよ」
ボケ「え!?」
ツッコミ「自分で居酒屋の後に酔っ払ってなにか買ったんじゃないの?」
ボケ「買ってねーわ。家に何もなかったもん」
ツッコミ「じゃ、忘れてきたとか」
ボケ「はは。ありえない」
ツッコミ「じゃぁ、昨日の足取りを追ってみよう」
ボケ「昨日の足取りだな。お前と別れて、ちょっと飲み足りないなぁと思ったんだよ」
ツッコミ「はいはい」
ボケ「それでコンビニで安いビールを一本買いましたよ」
ツッコミ「150円くらいか?」
ボケ「そうそう。そして勢いのついたオレはキャバクラに。ユメミちゃん可愛かったぁ。……あ」
ツッコミ「こいつ……」
ボケ「いや~、こないだヒドい目に会いましてね」
ツッコミ「ネタ始めようとすんな」
ボケ「いや~、ちゃいまんねや。ちゃいまんねや」
ツッコミ「なんだその下手な関西弁」
ボケ「ゴメンね」
ツッコミ「もーいーよ。どうもありがとうございました~。ジャジャン」
ボケ「……ねぇ、ほんとに怒ってない?」
ツッコミ「(微笑)」