能力フレンズ
私は目を覚ますと白い大広間にいた。
ただ突っ立っているだけだった。
「ヘイヘイヘイそこの綺麗なお嬢さん。俺たちと、話さなぁい?」
金髪の男と茶髪の男に話しかけられた。
めんどくさいと思いながら、笑いながら答える。
「どうでもいいので、死んでください!」
そう言うと彼らは笑った。
「いきなりそれは草」
wwwが絶対につく感じの物だ。
私は長い黒い髪の毛をいじりながら、周りから見ると、絶対に不気味な笑みを浮かべてこう言う。
「ほんとに殺してあげよっか?」
彼らは少し怯えた顔をして、離れていく。
「ふんっ。つまらない」そう呟きながら周りを見る。
大広間は、規則的に大きい柱が並んでいて、柱には松明のようなものが着いている。
この部屋にはその光しかない。
そして、壁が四つ。そのひとつは鏡となっている。
私は鏡の壁へと寄り、自分の身体を見る。
かなり整った顔付きをして、黒い瞳をしていて、来ている服は軍の服。迷彩柄の服を着ている。
少しブカブカだ。
私の身体は小柄だが、かなり胸がある。
軍服の上からでも凄くわかるほどだ。誰が見てもでかいだろう。
右隣の女性が自分の無い胸を触りながらチラチラと私を見てくる。
「そんな・・・おっき・・・」そう呟いている。
彼女より小さいのにここまで大きいと焦るだろう。
私はなんだか悪い気になって会釈をした。
茶髪の短髪だ。少しブサイクと言うべき顔をしている。服は、黒い長ズボンに白いタンクトップだ。
左隣からも、視線がして向くと、私の胸をガン見している小さな男の子がいた。
服はストライプの長袖に、薄茶のズボン。そして股間のあたりが膨らんでしまっている。
私に見られて焦り、逆方向を向く。
見えた顔はかなり整っており、金髪碧眼の美少年だった。
私は再度身体をよく見る。手首に何かが書いており、私はそれを鏡越しに見る。
しかし、読めないので普通に見ることにした。
Sという文字と時間らしきものと「無敵」と書いてある。
『49:10』と書かれていて、一秒ごとに一桁目が一下がっている。
四十九分後に何があるのだろうか。
後ろで、叫び声が聞こえる。確実に人ではない。
後ろを見ると、空を飛ぶヘビがいた。
そのヘビはガオォと叫ぶ。
「ブッ!アハハっ!」
見た目と鳴き声が合ってなくて吹いてしまった。
黒い巨体の蛇には緑の羽が生えている。
左側から軽い爆発のような音がする。
ブサイク気味の女性が指からポンポンと何かを出している。
「ハァァァァ」
金髪碧眼の美少年が、鏡に向かって手を突き出し、力を込めている。
私の方をチラチラ見てきて、なんか、嫌な感覚に見舞われた。
私は、手首に「無敵」と書かれていたのを思い出し、力を込める。
ガシャッ!とした音がなり、私を黒紫の鎧が包む。
『おおぉぉ』
隣の少年と私の声が重なった。
鎧は鏡で見ると、かなり硬そうでいいのだが、胸がきつい。
力を持つ入れっぱなしにしていた状態から、普通に戻すと、ガシャッ!という音と共に、鎧が外れる。
「んっ・・・」
よくわからない快感に包まれる。
胸が弾む(物理的に)。
茶髪の女性が恨ましい目で見て、少年はまるで変態のオヤジのような目付きで見てくる。いづら過ぎて私は離れる。
鏡がない所には本当に何も無い。
そこらを見ていると、様々な能力者がいる。
私の能力は多分無敵なのだろう。
無敵の基準などが分からないが、使って言って気付こうと思う。
こういうラノベみたいな世界に憧れていたためかなり興奮している。
私は何故かニヤリと笑う。
「あー、楽しみだなぁ!」
何が楽しみかは分からないが、胸が弾む。
人は、全部で26人しか見られない。
私の手首に書かれているSという文字はコードネームというものだろうか。
思い切って人に聞いてみる。
黒髪の黒目のツリ目で黒Tシャツを着て茶色いズボンを着ているまぁまぁかっこいい男の子に話しかける。
「ねぇ、あなた、手首の文字見た?」
「あぁ?手首?」
手首を見ようとする。
「ところであんた誰だよ」
「あっ、私?」
私は手首を見せながら言う。
「私は、S!ただの美少女さ!」
「そうか・・・」
少年は手首を見てこう言う。
「俺は、俺の名前はKだ」
光のともらない目で私を見つめながらそう言った。
私にできた、初めてのフレンズだ!