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能力戦争  作者: 赤羽 千菜
第一次戦争
6/17

何度か目の戦争

 青白い光が晴れ、戦場が見える。

 沢山の人が叫び、横へ別れていく。

 時間を見る『59:58』


「始まった・・・」


「たろうが一番前、その次にみおとさくらで行って、ゆうきが着いていく。最後にみのりとゆきと俺だ!」


『了解!』


 妙に統率された動きでみんなが叫ぶ。

 前線三人は走り出す。少し遅れて後ろから着いていく。

 ちょうど戦場の真ん中くらいで立ち止まる。敵の軍が見える。


「たろうは最前線へ!さくらは遠くから雨を降らしてみおはその前で待機!みのりは遠くで、音の壁を張り巡らせてくれ!全て、殺さない程度で!」


『了解!』


 たろうはビクビクしながら前へ出て、その後ろでは紫色の雨が降る。その後ろでは黒光りする刃が蠢いている。


「ゆきはこっちで戦場の確認だ」


「んー」


 敵地へ向かって右にある山へ進む。

 そこには沢山の自チームの味方がいた。味方は俺達には目もくれず進んでいる。

 強そうなものも、大多数に囲まれてすぐに死んでいる。中央を見る。たろうがしっかり壁となってくれている。

 強者対たろうでいるため、明らかに劣っているが、たろうは不死の能力を持っているため傷を受けていない。

 雨に突っ込み、痛みに苦しみ倒れる者が続出する。しかし、死んではいない。

 目当ては相手の戦闘不能状態だ。

 雨に当たらない人が何人もいるが、音の壁で潰されていく。

 身体がバキバキに折れているが、前のように消え潰されてはいない。

 俺は黒目の人を探す。能力を渡す能力者とSを探す。

 敵地のフラッグの前にSがいる。Sは、笑いながらこちらを向き、手を振ってくる。


「場所はバレているがまだ来ていない。来る可能性もあるから、気をつけて」


「ん。どこにいるー?」


「あそこ」


 俺は敵地のフラッグの前を指さす。

 Sは、こちらへ向かって歩いてきている。

 山の方は雨が降っていないため、山の上から向かうことが出来る。

 Sは山の上へ向かう。流石に雨を通るのは諦めたようだ。

 俺らは戦闘態勢に入る。

 Sが消える。

 後ろで銃の構える音が聞こえた気がした。

 俺は右にいるゆきを右手で思いっきり押す。


「っ!?」


 ゆきは驚く。

 山と荒野に銃声が鳴り響く。

 首の後ろに痛みが走る。

 銃弾は首を突き抜ける。

 死んでいない。銃のリロード音がなる。

 俺は音がする方へ右の拳を向ける。

 「アハッ!」そんな声が聞こえた気がした。

 右足で回し蹴りをする。確実に決まった。

 しかし、Sは視認出来ない。つまり、透明化か。透明は、特殊型じゃないのか。

 ゆきが俺の右足へ近づく。

 銃声が響く。ゆきは腹から血を出し、俺は膝を折られる。


『っ!』


 足が軋み、首元にも痛みが走っている。

 ゆきに指示を出す。


「ーーー!」


 声が出ない。風を切る音がして、ゆきが鼻血を出しながら飛ばされる。

 「アハハハハハッ!」笑い声と風を切る音、銃声、俺達を殴る音しか聞こえない。

 俺の目の前に長い黒髪が見えた。

 風が発生し、俺は遠くに飛ばされる。

 山に生えている木にあたる。

 生きている。しかし、声も出せず、痛みしか感じないため、死んだ方がマシだと思う。

 しかし、今回こそ勝たねば。

 ゆきが、上空へ飛ばされる。

 ゆきは、Sの後ろへ瞬間移動で飛ぶ。

 山に大きな穴が生まれ、二人とも消える。

 多分、空へ飛び、能力を奪うつもりだろう。

 俺は、その間に中央を見る。

 戦闘不能になった敵が大量にいる。

 死者もかなりいる。しかし、こちら側はかなり傷を負っているが、誰も死んでいない。

 +114514点。

 何かが落下してきた音がする。

 落下してきた方をむくとゆきが倒れている。

 ゆっくりとSは降りてくる。


「なかなかいい作戦だねぇ。「死に戻り」さん。でも、タイミングが悪い。掴まれて直ぐに能力が変えられるタイミングだからね」


 俺はSを睨みつける。


「アハッ!いいねぇ!その顔!ゾクゾクする!」


 ゆきの手がピクリと動き、どこかへ飛ぶ。


「あー、あの子逃げちゃったァ・・・どうするぅ?戦う?それともぉ、逃げるぅ?」


 不気味な笑みを浮かべながら聞いてくる。

 ゆきは戻ってくると信じ俺は、立ち上がる。

 俺はニヤリと笑い、こう答える。


「上等だゴラァ!」


 音になってるかは分からないが、しっかりと伝わっている。


「じゃ、やろっか!」


 Sは笑い、見えない速度で飛び上がる。

 地面を抉っていく。そこら中に穴が空いていく。

 土が俺に飛び散って少し痛い。しかし、俺はしっかりと見る。


「ねぇ、知ってる?人って注意深く見るほど、しっかり見れてないんだよ?」


 後ろから声がして、めちゃくちゃ雑な説明をされた。

 俺は戦闘態勢を構える。

 脇を引き締め、思いっきり腕を振る。折れた足が軋みながら、しっかりと右ストレートを、決めていく。

 「決めるのだけは上手いんだ!」音にならない声を発し折れた足でもう一度蹴る。

 俺は顔をすごい速度で殴られる。

 能力で、多分飛翔などでスピードを高めているだけだろう。

 Sの指が砕ける音がし、俺は吹き飛ぶ。

 かなり頬が痛むが、受け身を取り立ち上がる。

 すぐに戦闘体勢に入り、Sへ向かって突っ込む。

 Sは、腰元から一丁の拳銃を取り出す。

 生成系は、能力を変えても、物自体は残るようだ。


「楽しかったよ。じゃあね!」


 銃声と金属音が響く。


「何してんだ!クロ!少しは俺たちを頼れ!」


 黒光りする爪が見えた。

 みおにお礼を言おうとしても、音が出ない。


「あっ!新キャラ登場!?いいタイミング!」


 Sの腕から黒光りする爪が出る。五本の爪はそれぞれが違う動きをして、みおを襲う。

 爪で全てを受け止める。

 かなり大きな金属音がする。

 Sは嫌そうな顔をして、笑う。


「ゆきちゃんだっけぇ?透明使ってるんだねぇ・・・」


 Sは後ろへ離れ一本の木を切る。

 足音がする。

 透明化したゆきが飛んできたようだ。


「なんだあいつかなりやり手だぞ!」


「えへへ。まぁ、今更気づいても遅いけどね」


 Sの爪の形状が変化する。変化した形はまるで、刀のようだった。

 黒光りする刃が何本も刀の根元から出ている。


「さぁ、君たち数人対、僕。Sという男が一人だ。君達は勝てるかな?」


「勝てるに決まってんだろ?俺たちナメるな」


「そうだよSさん。私達を舐めてもらっちゃあ困るよ」


 ゆきは透明化を解きながら言う。

 俺はニヤリと笑い音にならない声で言う。

 今度はしっかり聞いてもらえると信じて。

 大きく息を吸い、俺は話しだす。


『さぁ、戦争をしよう!六人対、最強の一人と!』

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