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能力戦争  作者: 赤羽 千菜
第一次戦争
2/17

二回目の戦争

 俺は目を覚ます。


「知らない天井だ」


 俺は死んだ。それは覚えている。

 ベッドに座り、部屋を確認する。よく分からないドアや窓もなく部屋には大きな画面と、強い光を発する電気だけ。

 一体ここはなんなんだろう。

 画面に触れる。画面には『おはようございます。あなたは、死んだ存在となりました。』と書かれている。

 何を言っているのかサッパリ理解できない。

 俺は沢山書かれている説明を無視して『同意する』ボタンを押す。画面が変わり、画面には人の写真が出てくる。何人ものだ。

 俺を見つけた。

 写真を押すと、俺の情報が見れた。


「名前・・・クロ、年齢十七、能力「死に戻り」・・・か。なら、死んだ記憶のある俺は、能力を使った・・・ってことか・・・」


 死んだ記憶以外すべて失っている。

 ベッドへ振り返ると、ベッドの下にトランクが置いてあった。

 トランクを開くと、Aと書かれた上に『記録帳』と書かれた一冊の手帳と、ペンが置いてあった。

 手帳を開くと俺の文字で色々なことが書かれていた。画面だったり、部屋だったり能力についての考察が沢山書かれている。

 画面を見ると『8:21』と記されている。

 この数は一秒ごとに1減るらしい。つまりカウントダウン。

 隣の部屋から爆発音やよくわからない音がする。

 俺はその音をなにか理解出来ぬまま手帳を読み進める。

 特に重要そうなことは書いていなかった。

 トランクを再び開くと、Bと書かれた一冊の手帳が入ってあった。

 俺はBの上に『A→B 完全版』と書いておいた。

 Aの考察の間違いを示すためだ。

 トランクには、この三つしか入っていなかった。

 Bの手帳を開き、まずは開いたところに『間違いは斜線』と書き、次のページからは、能力や、自分についてわかったことを少し書く。

 記憶は死んだこと以外引き継げない。ノートを頼りに、情報を集める・・・?

 名前・・・クロ、年齢・・・十七、能力・・・死に戻り。

 あと『7:22』・・・。説明書みたいな、契約書みたいなのを見てみようと、ボタンを探す。人の写真も見ながら。

 見つからないが、気になる人を見つけた。少年か少女か分からない、金髪の子だ。

 気になった理由は、この世界では珍しいはずの俺と同じ目の色をしているからだ。


「名前はゆき、年齢は十九、能力は「強奪」・・・?何か相手の物を盗む・・・という能力か?だがそれなら、強奪じゃないよな・・・」


 能力についての細かいことは書かれていないため、知ることが出来ない。

 Aに、ゆきについての特徴と、もちろんだが名前と年齢と能力と能力についての考察を書いておいた。時間は『3:21』だ。さっきからやけに下一桁が一かニだな。

 これも・・・関係あるか?ということでAに書いておく。「二と一の関係性あり?」と。

 手帳はやけに綺麗だ。汚れや傷がひとつも付いていない。

 俺は手帳に傷を付けようと心の出ていないペンで破り裂こうとした。うまく真ん中にあたり、普通なら二三ページ破れてておかしくないが、傷一つついていない。

 普通に破ろうとしても、どのページも破れない。

 Aに「手帳は百パーセント壊れないかも?」と書き記し、画面を見る。

 時間が『1:00』を切っていたので、俺は時間を待つことにした。手帳を持ちながら。


「ゆきの強奪・・・能力を奪う・・・とかあるか?」


 ということでAの雪のページに追加して書き記す。「能力を奪う・・・?」「ペナルティ・・・」「デメリット・・・」など書いて、次に書けるようにした。

 書いている途中に青白い光に包まれた。

 咄嗟に手帳とペンを掴む。

 俺はついさっきまでいた部屋と似た。でかい部屋に飛ばされた。

 Aしか持ってきていないので、Aの時間のページに、「零になると、飛ぶ。でかい、似たような部屋。」と書き記し画面を見上げる。時間は『10:00』で止まり、人の写真が約五秒ごとに変わっている。これも書き記しておいた。

 やけに静かだ。静かすぎて少し気味悪く感じる。

 他の人も青白い光に包まれ飛んでくるようで、みんな着いた途端に画面を見上げていた。

 ピリピリとした空気が流れていた。


「みんなぁ!なんでそんなに暗そうにしてるの!元気出そうよォ!」


 叫ぶ少女が一人いた。明らかに声が届かない距離だ。俺は走り少女の方へ向かう。

 人に当たり毎回「すいません」と謝る。

 近づくとなんだか、一瞬重たい感覚に襲われた。


「なぁ。お前、能力は?」


「ん?初対面の人にいきなりお前だなんて失礼だにゃぁ。まぁ、教えてあげるよ!私の能力は、「音」だよ!私が発した音はどこまでも飛ばせて、そして、音が超音波並の速さに・・・って言うのかわからないけど、まぁ、よく分からないけど、音で人を殺すことも出来るよ!こんなんでいいかな?」


「あぁ。十分だ。ありがとう。」


 俺は、叫んでいた少女から離れながら手帳に聞いたことを記していく。

 「ピンクツインテール、能力「音」。自分が発すればどこまでも音を広げられ、音のヘルツ?を上げることで、他人を傷つけられる。見えない防御壁も作れる・・・?」と書いておく。最後に書いた理由は一瞬重たくなったためだ。

 傷つかない程度に壁を張ることも出来るのだろう。と考え、逆に傷つけることもやろうと思えばできる・・・?と考えたからだ。

 俺は、さっきの部屋で気になった少年か少女か分からない人を見つけた。確かな前はゆきだ。

 俺はゆきの黒目に見つめられた。雪が走ってくる。


「よぉ。君はなんも能力使ってないけど、使わないの?」


「うん・・・目立たないからね・・・あと、色々聞きたいことあるんだけど・・・メモしながら聞いてもいい?」


「うん!いいよ?」


「じゃあ聞くね。この部屋と画面の数字が終わったらどこへ飛ばされ、何をするのか」


「ちょっとちょっと!多くないですかねぇ・・・」


 苦笑いしている。さすがにこの量はきついか?


「うーん。書いていたことしか見てないけど、この部屋は、戦争に参加する仲間たちを見る部屋だね。時間が終わり飛ばされる場所は戦場で、敵のフラッグをとるために争うんだ。時間は六十分。百人対百人で戦う。みんな能力を持っている。簡単にこんなんでいいかな?」


「ありがとう助かる」


 俺はメモる。とにかく言われたことをメモり、能力や名前について聞く。


「あと、君の名前と、能力について聞きたいな。」


「名前?名前はゆきで、能力は・・・「強奪」・・・」


「言いたくないことでもあるの?能力で。」


「よぉ!兄ちゃん達!俺はみずき。能力は炎さ!君たちは?あと、話しかけたのは、仲いい人が欲しいからで・・・」


 前回炎を出しまくって最初の方に死んだ人だ。


「離れよ・・・」


 小声でゆきに話しかけられた。


「すみません私たち元々知り合いでー!」


 女の子みたいな声を出して、居づらい雰囲気をかもちだしてゆきが手を引き逃げる。


「能力について・・・だよね。能力は「強奪」。あまり話したくないけど、君ならいっか。私は、十秒間触れた相手の能力を奪うことが出来るんだよ。でも、君の能力は多分奪えない」


「多分って・・・?」


「あっ!時間だよ!そろそろ。精神統一でもしよう。」


 いつの間にか時間が『0:35』になっていた。

 俺は簡単にメモをした。なぜ奪えないかは次に書くとして。

 ゆきが青白い光に包まれた。


「待ってる」


 そう言い残し消えた。俺も包まれる。

 目を開けると、目の前は荒野だった。

 左右に山があり、真ん中から攻めあってください。みたいな作りになっている。


「みんなぁ!聞いて!みのりだよ!えっと、今、能力「指揮」の人が近くにいて、その人の、命令を伝えるからね!まずは皆!この戦争は、フラッグがやられたらダメだから、守り型の、能力者は、手前に沢山いて!もちろん、前線にも沢山必要。そして、攻撃型は、とにかく攻めて!以上!頑張ろう!」


 てきとうな命令だから、多分、そんな能力はないのだろう。

 話しかけるために下がる。


「あっ!君はさっきの!」


 ピンクツインテのこの周りには誰もいない。


「あっ!指揮なんていないの。バレちゃった?でも、まとめる人がいた方がいいよね?」


「まぁ、そうだな。端から、強い人を向かわせた方がいいと思う。と伝えに来たんだ。その方が取りやすいと思うから」


「あー。そうだね。ありがとう!」


「みんなぁ!聞いて聞いて!端からも攻めて行って!なるべく強い人!」


 みんなが一つになり、叫び、三グループくらいに分かれて、真ん中、端に向かっている。防御は、黒光りする壁と、音の壁のみだ。


「君は行かなくていいの?」


「行かなきゃだけどな。ちょっと怖気付いちゃって・・・」


「そっか・・・その気持ちわかるよ。ま、私と一緒なら大丈夫だし、一緒に行こ!」


「う、うん。あと、この手帳にメモリながら行くから途中で遅れるかも。ごめんね」


 俺は見える範囲のマップを書く。みのりは覗く。俺は何故か咄嗟に隠す。


「戦い型ではないの?」


「そうだね。戦いはあんまり・・・」


「ふぅん・・・」


 俺が書き終わった時にみのりは俺の手を掴み笑う。

 手を引き、外に出され、真ん中の道を走らされる。


「行こ!みんな待ってる!」


 そう言って、走る。巨人と呼ぶようなものがいる。武器で殴るが、音の壁に遮られて、巨人の武器は壊れる。


「シネ!」


 そう巨人が叫び、足を出す。踏み潰そうとしているのだ。足が、二メートル程上で、消えていく。音の圧に潰されているのだ。

 ゆきを見つけた。ゆきは、死体を長い間触り、次の死体へ向かい、10秒ほど触り、離れる。腕から氷を出し、敵へ向けて飛ばす。

 次に気になった人は、黒い髪に赤い目の少年で、黒い鉤爪をつけている。鉤爪は、五メートル近く離れた所まで伸びて、相手を切り刻む。しかし、遠距離攻撃には、対処が難しいようだ。


「下がって!」


 そう言われみのりに後ろに飛ばされる。

 まだ何も理解出来ていない。更に音で結構後ろまで飛ばされる。

 みのりは、赤い髪の少女に腹を触られ身体が一瞬でバラバラになっていく。俺は逃げるしかなかった。飛ばされた方向に逃げ続けた。

 手帳に殴り書きで、ピンクツインテをみのりと書き換え、ゆきの能力について、死体からも奪えると追加し、黒髪赤目の少年の能力を大体で書いた。赤髪の少女に触れられると分解させられることも書いた所で足音が聞こえる。右腕に力を入れ、待機する。


「クロ?私、ゆきだけど、大丈夫?さっき逃げてたけど・・・」


「あ、あぁ。大丈夫だ。問題ない」


 フラグというやつだろうか。

 ゆきは俺の前に立つ。血だらけで左腕がなくなっている。


「お前・・・大丈夫か?」


「ちょっと、きついかも」


 笑いながら言うが、目が一切笑っていない。

 俺は恐怖に震えた。


「私ね、そこの山の分身する人を倒しに行くところなの」


 確かに山の奥から同じような人が出ている。俺は咄嗟にメモった。

 黒い仮面をかぶっていて、かなりガタイがいいので、多分男。能力分身。仮面は口の部分が空いている。

 ある疑問がひとつ生まれた。何故、そこに、分身能力者がいたのか分かったかだ。


「な、なぁ。なんで、そこに人がいるってわかったんだ?」


 ゆきは答える。


「単純だよ。勘さ!」


「それなのにそんな正確に・・・」


 ゆきは笑う。何も言わない。

 俺の顔がどれだけ怖かったのであろう。

 ゆきが笑い頭を撫でてくる。


「そんな怖い顔しないで。安心して。私は大丈夫」


「全然・・・大丈夫なんかじゃ・・・」


 ゆきは俺の頭を撫で、消える。

 多分瞬間移動。

 さっきゆきが指を指したところで爆発が起きる。数百メートル離れているのに、黒い仮面と黒いマントをつけた死体が飛び、血の雨が降る。

 俺の体が赤く染まっていく。

 黒い仮面を着けている者が高く飛び上がりこちらへ向かう。空中で同じ人が仮面男の背中から何人も出てくる。ゆきが飛び上がる。

 分身はほぼほぼゆきへ向かう。本体を守っているのだろう。

 飛んできた仮面男が、こちらへ手を向ける。

 グロい音がなり、仮面男の腕が折れる。ゆき自身を抑えている分身全ての腕もバキバキに折れる。


「グァァァァァ!」


 仮面男は叫び口を裂けるまで開き俺の左肩に噛み付く。


「グッ!」


 俺は噛まれた。血が大量に出る。

 俺は追いついていない思考がやっと追いついた。

 ゆきは複数の能力で分身全てを殺している。

 俺は右腕で仮面男を殴る。

 仮面男の分身が出てきている時に殴ってしまったため分身一つだけを殴った。

 仮面男の首に手が置かれる。

 仮面男の首が吹き飛ぶ。


「ね?大丈夫だったでしょ?」


 俺は、手帳を拾いメモを始める。気持ち悪い。そう感じながら書く。


「またメモ・・・か・・・」


 足音がする。赤い光に包まれた足が見えた。

 モスキート音がする。

 俺は砂浜の上に手帳を持ち倒れていた。

 地図を書く。


「あっ、起きた?」


 声のする方へ向く。

 黒髪ロングで、黒い目をしている。この人も珍しい人間だ。


「観察をする力はあるようだね」


「何を言っている・・・」


 俺は立ち上がろうとする。

 俺の足首から先がない。


「ぁ・・・・・・」


 俺は周りを見る。俺の隣にはゆきが倒れている。

 ゆきは血だらけだ。かなり心配だ。

 ゆきは目を開ける。口が震えながら開かれる。


「大・・・丈夫・・・・・・」


 ゆきが潰れ、ゆきがいた場所は血溜まりになる。


「は・・・?」


「いいねぇ!その顔!おもしろい!」


 俺は驚きと悲しみを隠せない。

 手帳に手を伸ばす。


「あー、次に情報を残すのかぁ。まぁ、いいよぉ。一分三十秒だけあげるよ」


 俺は黒髪ロングの特徴と、ゆきに触れた瞬間ゆきの身体が潰れたことを書く。


「あと五秒ー。四、三、二、一。はーい終了!」


 首を触られる。

 不快な気分にさせられる。吐き気がする。体の力が抜けていく。


「これで、次は確実にある程度動けないよね!」


 彼女は笑いながら言う。最後に見えた物は『21:37』

 意識が遠のく。

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