プロローグ
『 ピッピッピ…ジリリリリリリリリリリ』
朝8:15に機械音が部屋全体が震えるような音を、自らの体を揺らしながら懸命に伝える。それを無慈悲にも片手で頭を叩き、動きを止め、体を起こす。
「ふぁ〜あ…てそんな呑気にしてる時間じゃない!」
慌てて少年は学校へ行くため、学生服に着替え準備を始める
「あーやっばいな、今日出す課題のせいで夜遅くまで起きてたのがだめだったかー」
少年はそんなことをぼやきながら支度を済ませるとすぐに階段を降り、玄関で靴を軽く履きつま先で一、二回トントンと地面を蹴る。そして、少し乱れた学生服で急いで学校へと向かう。
少年の名前は神成 遥樹。数日前に高校三年生になったばかりの普通の高校生。この人生特に恋愛もなく、部活などの青春とも無縁な状態。そんな彼が一番楽しいと思っていることは学校で友達と話してる時間というこれまた普通なものだった。
急ぐ足は交差点に差し掛かり直前で信号が赤になってしまう。
「だいたい学校まであと半分くらいかな、こんな時に赤信号に引っかかるなんて、最悪だな」
学校に家から走って十五分程度なので、八分程走っているが息切れしている様子はなくまだ走れるようだった。
「もうそろそろ信号変わるかなっと」
上隣の方の信号が赤になったのを目で確かめると、目の前が青になる前にダッシュで飛び出す。
が、次の瞬間
『プ〜〜!!』
左耳を通るトラックのクラクションが意識と体を止め、顔だけが振り向く。
次の瞬間、彼は死を覚悟し目を閉じる。周りの音はもうクラクションの音でさえきこえない、これが死ぬ瞬間なのかと思った。
視界が暗いままで時はすぎるが一向にぶつかる気配がない。それどころかまるで草原が風で軽く撫でられたような心地よい音が耳に入る。
「あ、あれここもう天国なのかな?」
そう思い恐る恐る、目を開けていく。そこで彼が見た景色は考えられない景色だった。