五話 新兵器開発
感想ありがとうございます!
あと、時間軸が前後してすみません……
時は一旦1ヶ月前に戻る。俺達はマイアから屋敷を追い出された後、レティシアの別宅の改修を行い、使徒の調査や対策を練っていた。
うーん。カレナリエンに原理を一から教えて、技を習得させながら屋敷の修復をしたかったけど、あまり時間は無かったのでほとんど俺一人でやってしまった。
一応カレナリエンは連れてきていて「技は見て盗むものだ」と言ってはみたものの、ちょっとばかり無茶だったかもしれない。
案の定、カレナリエンはオーバーヒート状態。頭から湯気を出して、放心状態となっている。
「何やってるのかさっぱり分からないんだけど……」
「いろいろ順序すっ飛ばしているからなぁ。悪かったな。これについては少しずつ理解していこう」
やっと再起動したカレナリエンが俺に恨みのこもった目を向けながらつぶやく。
「まあ、これは女神様の知恵だからね。私達がそう簡単に理解できるものじゃないのかもしれないけど……」
正確には女神の知恵ではなく、現代科学の英知なのだが……。まあいいか。
「でも、作業はこれで終わりってワケじゃないんでしょ?」
「よくぞ聞いてくれた我が弟子よ。この俺が屋敷の原状回復だけで満足するとでも思ったか?」
「はぁ、そんなもったいぶった言い方しなくていいから。で、何するのよ」
なんだ、ノリが悪いぞカレナリエン。いつものエロボケはどうしたんだよ。
「とりあえず屋敷の地下に研究施設を作る。その研究施設で今後使徒に対抗するための魔道具や武器を開発するつもりだ」
「え? じゃあその私達の愛の巣であんなことやこんなことするのね?」
「ああ、そうだ。もうこれで俺たちの嬉し恥ずかし研究ライフを邪魔されることはなくなる」
「さすが師匠。いっぱい可愛い子を生み出しちゃうよ」
二人は腰に手を当てハッハッハと高笑いをする。カレナリエンもエンジンがかかってきたみたいだな。うむ。良きかな良きかな。
「……二人で何をやってるんですの?」
そんな二人のやり取りをジト目で睨む人物が若干一名。
「レティシアちょうどいいところに来てくれた。見てくれ、屋敷はすっかり元通りになったぞ」
「そのようですわね。相変わらずすごいとしか形容のしようがありませんが……さすが使徒様といったところですわね」
あの幽霊屋敷が新築同然に生まれ変わったわけだからな。驚くのも無理は無いだろう。
「とりあえず今日のところは、宿屋から荷物を運び込んで、最低限の生活用品なんかを調達しようか」
「そうですわね。皆で手分けすればなんとかなりそうですわ」
「というわけでカレナリエン。今日の作業はこれで終わりなんだけど……そうだ。お前もこの屋敷で泊まる?」
ふと思ったのだが、カレナリエンを王城敷地内にある研究棟に帰すのは危険な気がする。
「え? いいの?」
「私としては別に問題なくてよ」
「じゃあ、決まりかな。引っ越しも手伝ってくれると助かる」
「あ、うん。分かったよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんなこんなで数日後。見事に地下研究施設が完成したわけだが、ちょいとばかり広くしすぎたかもしれない。これは隣の敷地まで入っていると思う。でも、地下の様子なんか分かりっこないから問題ないだろう。
「師匠。無駄に広くないっすかこれ?」
「そうだな。でもこれには理由があるんだよ。今回は本格的にゴーレム作りに取り組もうと思ってな。そのゴーレムの戦闘試験を行うためにある程度の広さを確保する必要があったんだ。後は、ディアナ達の戦闘訓練のためかな」
「ふーん。なるほど。でもなんでゴーレム?」
「使徒が何人いるか分からないけど、他の国にも当然潜んでいると思うんだよね。あの帝国とか」
「あー、帝国。ありえるね」
「俺が邪神だったら、軍事国家の帝国は真っ先に押さえるね」
「じゃあ、そのゴーレムは帝国の軍隊と戦うことを想定してるの?」
「そゆこと。最強のゴーレム部隊を作って、帝国軍を圧倒し。サクッと使徒を倒してしまおうって作戦だ。王国軍はあんまりアテにならないし、カガリの祖国ヴィッドガルも早く開放してやりたいし」
「うん。そういうことならさっさと作ろう。で、ベースはストーンゴーレムなの?」
「ああ、ストーンゴーレムがベースになるけど、こいつ重くて動きが遅いのが欠点なんだよね。だからできるだけ軽量化した上で、風魔法を応用してホバー推進するようにする」
「あ、あの師匠が作った乗り物を応用したやつだね」
「そうそう。これで滑るように戦場を駆ける事ができるようになるはずだ」
「うわー、機動力のあるゴーレムって反則よね。敵が気の毒に思えてくるわ。でも軽量化したらその分攻撃力が落ちちゃうよ?」
「その落ちた攻撃力を補える武器を用意すればいい。例のレールガンを小型化して腕に装着する」
「え、確かにそれなら攻撃力は問題ないけど、魔力はどうするの? レールガンの消費魔力半端じゃないよ?」
「その問題はクリアできそうだ。まず、威力を抑えて投入する魔力量自体を少なくする。お前も戦場で見ただろ? あの威力なら多少抑えても十分武器として機能する」
「ふむふむ。それで?」
「あとは消費魔力を抑える。電流を流すレールに【アブソリュートゼロ】を付与して絶対零度まで温度を下げ、超伝導状態にする。これなら電力消費を抑えられるし、発熱もしない。クールダウン時間も必要なくなるから、連射も可能になるかもしれない」
まあ、節約できた魔力と【アブソリュートゼロ】の起動のために投入する魔力量との兼ね合いになるだろうが、冷却機構としても機能できるので有用なはずだ。あー、でも絶対零度となると銃身が冷えすぎるし、中に霜が付くよな。いっその事、銃身、砲身の中は真空にして外部と隔てるか。
冷やす所、温度のコントロールを魔力回路できっちりと制御すれば、実現できると思う。魔法技術サマサマだ。
俺がそんなことを考えていると、カレナリエンが頭を抱えて唸っているのに気付く。
「……ぜったいれいど? ちょーでんどー? また良く分からない単語が出てきた……。これも女神様の知恵なのね?」
「まあ、そんなもんかな? 原理の詳細までは理解する必要はないと思う。そんなものがあるんだ程度でOKだ」
「うー、分かった。要は使えればいいんだし」
「そういうことだ。まあ頑張れ」
女神様の知恵って言葉便利だな。
ついでにカラーリングは紫と黒っぽくして、目はモノアイに。それから近接戦闘用にヒートサーベルを装備させてっと。
《それ、まんまド○じゃないですか》
《いやいや、ハイパーバズーカじゃなくてレールガン仕様だからギリセーフだ》
《何がセーフなのか良く分かりませんが、あまり趣味に走って目的見失わないようにしてくださいね》
《いやー。遊び心は必要っしょ》
「あ、でも師匠。これ魔力の供給はどうするの? 遠隔でずっと魔力を送って操作するの?」
「いや、それだとゴーレム部隊の意味がなくなるし。ゴーレム操るんなら自分で戦った方が早い」
「じゃあ、どうすんのよ?」
「お前の研究室に転がっていた魔道具の中に、魔力を蓄積できるヤツがあったんで、その回路を拝借させて貰った。それでも魔力の補充はしてやらないといけないけど、魔力が残っている間は単独で行動が可能になるはずだ」
自律行動するためのプログラムは別途作らないといけないですけどね。最初は簡単なものからやるか。
ターゲットを指定してそれを倒すみたいな単純命令に従うゴーレムを作ろう。カレナリエンの研究室にある文献を漁って、ベースとなるような魔力回路を探してみるつもりだ。
「さっすが師匠。これなら無敵の部隊ができるんじゃない?」
「まだできるかどうか、やってみないと分からないな」
「でも、意地でも完成させるんでしょ?」
「ああ、当たり前だ。お前にも協力してもらうぞ」
俺達はこれから一ヶ月、さらなる使徒との戦いに備え、着々と準備、トレーニング、研究を進めていた。
だが、ある日意外な訪問者がフェイトの元を訪ねてくる事になる。
次の更新は10/23(月)を予定しています。
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