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一話 新たな力(1/2)

五章スタートです。

よろしくお願いします。


「例の物は完成したか?」

「ああ……抜かりはないぜボス」


 ここは王城の敷地内にある演習場。俺はカレナリエンに依頼していたディアナ達の武器を受け取る。


「ふむ、これは……この短期間でよくぞここまで。さすが俺が見込んだだけのことはあるな」

「それはボスの指導の賜物。一生ついていきますよ」


「ふ……なかなか殊勝なことを言うじゃないか、褒めてつかわすぞ」


 俺とカレナリエン。二人してハッハッハと笑う。というかローミオンの事をキモいって言ってたくせにお前もノリノリじゃないか。


「……どうでもいいことかもしれませんが、なんで二人ともそんなに芝居がかった物言いですの?」


 レティシアからツッコミが入る。


「あ、いや。なんとなく? こういうのはやっぱり形から入りたいじゃないか」

「折角苦労して作ったんだし、普通に渡すのも味気ないかなって」

「はぁ……もういいですわ。それでその武器は何がどう違うのかしら?」


「レティシアよくぞ聞いてくれた。とりあえずディアナの武器からいくかな」

「え? 私?」


「ああ、これだ。名前はファルシオンだ」


 そう言って俺はディアナに剣を渡す。


「わっ! なにこれ? すごく軽い!」


 ファルシオンの材質は高硬度チタン合金製。チタンは鉄の約半分くらいの比重なので軽い。それでいて硬いという優れた金属だ。


「片刃の剣なのね。それに少し反りがある」


 ファルシオンのフォルムは日本刀に寄せた。やっぱり美少女×日本刀。この組み合わせは鉄板じゃないですか。ディアナに居合い斬りとかやって欲しい。


「ディアナは疾さを活かした方が良いと思ったからな。切ることに特化した武器に仕上げてみた。魔法回路で魔力の伝導効率も上がってるし、魔法付与がやりやすくなっているはずだ。ちょっと試してみろ」

「うん。こんな感じかな」


 ディアナが魔力を剣に流すと、刀身に赤い幾何学模様が走り光り煌く。おおー、予想以上にかっけー、これは俺の中二心をくすぐるぜ。振り回したら某有名SF映画みたいにブオンブオン音が出そうだ。


「ほれ、これを切ってみろ」


 俺はディアナに向けて直径3cmほどの鉄の棒を投げる。ディアナはその棒を見据えて、剣を一閃。鉄の棒はまるでバターで出来ているかのように、何の抵抗もなく真っ二つになって地面に落ちる。その切り口は真っ赤に赤熱し鉄が一部ドロっと溶け出していた。相当な熱量が剣に宿っていることが容易に分かる。


 うわぁ、これ完全にヒートサーベルですわ。ディアナさん人相手にこれやっちゃダメですよ。エグいことになるかもしれないから。


「こ、これすごい。前の剣はもっと魔力を込めないとダメだったのに、このファルシオンは軽く魔力を流しただけでこの威力……。すごいよフェイト!」

「お、おう。気に入って貰えたようで良かった。火属性だけじゃなくて風も同様に強化されてるぞ。あの飛剣エクスカリバーも魔力効率上がってるから連射もできるんじゃないか?」


 それを聞いたディアナはにへらとだらしない喜びの表情を見せる。うーん。剣を貰って喜ぶ女の子ってどうなんだろう……。もっとこう……ねえ? まあ、ディアナらしいっちゃらしいけど。


「なあなあ」

「ん? なんだ? トリスタン」


 今度はトリスタンが俺の背中をせっつく。


「そこにある槍ってもしかして俺のか?」


 そう急かすなトリスタン。がっつく男は嫌われるぞ。どうせナンパでもそんな感じだったんだろう? そりゃ美人局(つつもたせ)のカモにもされるのも当然だよ。


「ああ、そうだ。ほらよ」


 俺はトリスタンに槍を投げ渡す。


「うわっと。あぶねぇ。って、うわ……これ重くないか?」


 トリスタンの槍は柄の部分は普通の鋼だが、槍身部分の材質は炭化タングステンで作っている。炭化タングステンの比重は鉄の倍程あるので重いが、数ある合成金属の中でも最高クラスの硬度を誇る。この槍の一撃を喰らえばどんな重装鎧でもひしゃげてしまうだろう。


「多少重いかもしれないけど、男なんだからそれくらい使いこなせよ」

「え、いやでも。これ結構重いぜ?」


「はぁ、仕方ないな。その槍、グラディウスには【リーンフォース】の魔力回路が刻まれている。だから魔力を流せば力が強化されて問題なく振り回せるはずだ」

「マジで? やってみる。って、おおおお! これは……力が……か、軽い!」


 おりゃぁぁと雄叫びを上げながら、ブンブン槍を振り回すトリスタン。もっと離れたところでやれよ。危ないって。

 トリスタンには得意の土魔法で強化された硬さがある。この槍を持たせて突っ込ませれば、こいつを止められるやつはそうそういないだろう。


「さてっと、次はエレーナの弓だな。ほらこれ、名前はパルティアだ」


「お、おお……これボクが貰っていいの?」

「ああ、受け取ってくれ」


「ん。でもこれ矢はどこ?」


 弓だけを受け取ったエレーナは首を傾げ、頭にはてなマークを浮かべる。


「それはだな。ちょっとその弓を構えて、矢を番えた姿勢をとってみろ」


「ん。こう?」

「その状態で魔力をこめるんだ」


 エレーナが弓を構え弦を引き魔力をこめると、風の魔力で構成された薄緑色の矢が浮かび上がる。


「おおお……これすごい」

「それをあの的に向かって放ってみろ」

「うん」


 エレーナは的というか人を模ったカカシに向かって魔力の矢を放つ。ごうっ! という風のうねりの音と共に矢が高速で飛翔し、標的のカカシを木っ端微塵に粉砕した。うん。威力はバツグンだな。


「すごいこれ。そんなに魔力こめてなかったのに……」

「まあ、特別製だからな。これで魔力が続く限り矢が撃てるぞ」


「うん。元手タダ。すごくエコノミー。良い!」


 さすがはエレーナ。絶対そっちに食いつくと思った。

 ちなみにこの世界での弓の素材は一般的に木材が使われるが、エレーナの弓、パルティアにはカーボン素材を使った。カーボンの方がしなりが効くので楽に引けて狙いをつけやすい。でもその分威力は落ちるかも知れないが、矢は実弾ではなく魔力で出来た矢なので、引きの強さや弦の張りはあまり関係ないと思う。さらにこの弓のすごいところは……


「エレーナ。その弓なんだがな。魔力回路によって、ある程度狙った相手をホーミングして追尾するようになっている」

「ん? どういうこと?」


 またエレーナの頭に、はてなマークがいくつも浮かぶ。


「ああ、簡単に言うと、狙った相手が矢を躱そうとしても、矢が相手を追いかけて当たる様になってるってこと」

「おおお……それほんと?」


「さらにだな。熟練すれば矢を複数本同時に射る事も可能だ。ただし魔力切れに注意な?」


 これでエレーナは固定砲台化するかもしれんな。あ、いや。それよりもエレーナの俊敏性、隠密性を活かしスナイパーとして敵将を射るとか……うーむ。いろいろ考えられるな。


「一度に何発も……それカッコイイ。ボク頑張る」


 実は三人の武器にはまだオートリジェネレート機能も付与している。自動で少しずつ傷や疲労が回復するわけだが、部位の欠損までは治らない。まあ、これを過信して無茶されても困るから黙っておこう。


 さて、これで三人は大幅にパワーアップされる事だろうな。


 これが量産の暁には邪神などあっという間に叩いてくれるわ! ハッハッハ。


 ちなみにだけど。この三つの武器のネーミングについては察して頂きたい……。

 でもな。本当はなミスリルとか、オリハルコンとか、ヒヒイロカネとか異世界定番とも言えるファンタジー金属を扱ってみたかったんだけどなぁ。


《すみませんねぇ。私が怠けて作ってなかったばっかりに》

《ほんとだよ。ダンジョンもないし、お前異世界を何だと思ってんだ》


 まあいいか、ファンタジー金属が使えないなら、知恵と工夫でそれを超えるモノを作るまでだ。


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